代償
F-150の奴ら
「てめーちょっと油断しただけだー。覚えてやがれー」
負けるなんて思ってもなかったのだろう。
俺は何もなかったように
「エミリー、家まで送るよ」
「ありがとう。ごめんね迷惑かけて、ずっと彼らしつこかったの」
ずっと黙ってるシンシア
「じゃあね、本当にありがとう。シンシアもありがとう」
「ううん、私は何もしてないわ」
エミリーが降りて、シンシアは助手席に乗る。
ずっと黙っていたシンシアが
「……エンジン壊したでしょ?」
エミリーに余計な心配をさせたくなくてだまってたが、
この変な振動と力のなさ、おそらく1気筒死んでる。
「リュウはまちがってない、でもどうするの。ランサーしかないのに」
「動くうちに帰ろう。明日、エンジン開けてみる。
悪いが明日、学校へ乗せてくれないか?」
「それは、もちろんいいけど、手に負えないほどのダメージだったら……」
自宅に到着、実はシンシアの家は隣だったりする。
「明日、私も手伝うから、あまり自分を責めないで。じゃ、おやすみ」
俺を責めないシンシア
俺はボンネットを開けたまま、しばらく動けなかった。
爺ちゃんの写真の前に大好きだった“ラッキーストライク”とランサーの鍵を置く
「ごめん、爺ちゃん」
我慢できなくなり涙があふれる。
一緒に仕上げた車を壊してしまった。
このまま、作業を開始したらもっと壊してしまうのでは、
なんて思うほど弱気な自分に驚く。
今日はなにもしないほうがいいと思ってベッドに横になった。




