鉄板パスタは上等
今日は、前からシンシアと約束してた作業の日だ。
エクリプスGSR-4のリトラクタブルライト―――いわゆるスーパーカーライト。
その半目キットを取り付ける。
ついでにボンネットを少しだけ浮かせて、空気の流れを作り、
エンジンルームの熱を逃がす。
なるべく冷えた空気をエンジンに吸わせることで、
ほんの少しでも馬力を上げたい。
今日はシンシアもつなぎを着ている。
なぜか、彼女にみとれてしまう……
いやいや作業を進めなきゃ。
よしっ……ダイヤルを回してみる。
おー、自由にライトの開け具合を変えられる。
俺は閉まる寸前で、ほんの少しだけ開いてる角度が好きなんだ。
「シンシアー、飯いこーぜ」
「私、DENのパスタがいい」
ランサーターボに二人で乗り込む。
雨上がりの赤い空がもうすぐ落ちる。
DENに到着。
カランカラン。
「あれー、エミリーじゃない。バイト始めたのー?」
エミリーはニヤッとして言った。
「そんなことより、夜もリュウと一緒なのね」
シンシアは慌てて手を振る。
「今日は、たまたまなのよ?そうそうたまたま」
「はいはい、そーゆーことにしといてあげる」
二人でDEN看板メニュー、鉄板パスタを食べる。
「やっぱ、まちがいないやつ。うまいっ」
「うんうん、おいしっ」
カランカラン
ガラの悪そうな二人組が入ってきた。
その瞬間、エミリーの表情が固まる。
なぜか彼女が怯えてる。
「今日はもう上がる時間だろー、送ってやるから早くこいや」
「そうそう、俺たちの自慢のフォードに乗してやんよ」
「私、自分で帰れるので大丈夫です」
「俺たちの言うこと聞いといたほーがいーぜぇ」
「あんたら、彼女嫌がってんだろ」
「うるせーおまえにゃ関係ねーだろ」
「女がいるからって調子乗ってんじゃねーぞ」
「お前の車、あのオンボロ日本車だろ、だっせー」
「あんた達、いい加減に」
「おまえ、ゼロヨン勝負だ。勝ったほうがエミリー送るでいいな」
シンシアが息をのむ。
「上等だ、あんた達には負けない」




