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餃子と嫉妬
「親父さん、工具貸して欲しいんだけど……もちろん小林屋の餃子券3人前つけるから」
「おまえの頼みじゃ断れねえが……餃子も5人前だ」
「だと思った、ありがとう、暗くなる前に終わらせよう」
ランサーのトランクからつなぎを取り出し、素早く着替える。
前回の作業で少しオイルが染みてる革手もはめる。
廃車予定のプリウスから触媒を外し、ベッキーの車に仮付けしてみる。
同じ型のはずなのに、微妙に合わない。
年式か北米仕様で差があるのか……でも、溶接と長穴加工で接続できるな。
ちちじゅーばちばちばち、この箇所の溶接で接続完了……どーせなら
「マイクー、あそこの鉄くずかごのマッドガード、いらないんだよなぁ」
「あそこにあるやつは自由に使ってくれていいぜ。だよな、親父」
「おう、好きにしろー」
「ここのボルトに共締めして……できたぜ」
「ついでに盗難防止のガードもつけてみたぜ」
ベッキーの20プリウス。エンジンをかけてみる。
静かなエコカーに戻った。
涙目のベッキーが、汚れたつなぎのリュウに抱きつく。
「リュウ、本当にありがとう……私、私……」
「おいおい、服が汚れちゃうからよせよせ」
ちょっと、むすっとするシンシア。
でも、その場ではなにも言わなかった。




