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みんなで

「ねえ、リュウ、今日は作業お休みにしない?」


 シンシアがちょっと無理してる俺を気遣う


「スイーツでも食べ行く?、手伝ってもらって、送り迎えまで、おごるぜ!」


「私、ラーメンがいい、小林屋で!」


「おいおい、聞き捨てならないなぁ、ラーメンなら俺も行くぜー!」


どこからともなく現れたマイクが、しれっと俺の肩に腕を回してきた。


「マイク……お前、いつからそこにいたんだよ」


「『小林屋』って単語が聞こえた瞬間からさ。あそこの味噌は外せねえだろ?」


マイクの能天気な明るさに、俺の肩の力が少し抜ける。


だが、隣から冷気が漂う……。


シンシアがジト目でマイクを射抜いていた。


「……マイク。あんた、空気って言葉知ってる?」


「え? タイヤの空気圧ならいつも気にしてるぜ、シンシア」


「そうじゃないわよ!」


シンシアが呆れたようにため息をつく。


二人で行くはずだったスイーツ(の代わりのラーメン)が、


いつもの「JDM仲間」の集まりになりそうな予感だ。


「まあいいわ。リュウ、小林屋に行くなら、ベッキーとエミリーも誘ってあげたら?


ふたり、リュウに差し入れしてたし、お返ししなきゃでしょ?」


シンシアの碧眼の奥には、優しさが垣間見える。


「そうだな……みんなで食ったほうが美味いしな」


「……リュウ、まあいいわ……」


シンシアが小さく呟いて、エクリプスの鍵を指先で回す。


バスタオル事件の気まずさは、いつの間にか「小林屋のラーメン」という共通言語に溶けて消えていた。


「よし、決まりだ! 俺は親父に断ってから行く。現地集合な!」 マイクが嵐のように去っていく。


俺とシンシアは、再び二人きりになった駐車場で、白いエクリプスに寄りかかる。


「……明日から、頑張らないとな」


「あんまり、あせらないで、私手伝うから」


そう言ってシンシアが見せた微笑みは、シアトルの雨を忘れさせるくらい、あたたかかった。


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