スタリオンのエンジン(G63B)
朝、いつもより、かなり早く起きてしまった。
ガレージに移動する。ボンネットを開けたままのランサー
いつもと違う匂いがして、”昨日”を再確認させられる。
湯を沸かして、うすいインスタントコーヒーをすする。
つなぎに着替え、木箱の中身を確認しながら出していく。
出したパーツを、ガレージの床にひとつずつ並べていく。
銀色のインタークーラー、レビック、太いパイプ類。
NISSAN「GENUINE PARTS」の箱。
GT-Rの燃料ポンプだろう。
MAZDA純正部品の袋が出てきた。
重い……RX-7のブレーキか。
そして、真っ黒なヘッド。
浮き上がった文字で、TURBO。
「……爺ちゃん、前に言ってた“スタリオン”のG63Bエンジンなんだね」
「リュウ、おはよ」
すでにつなぎ姿のシンシアがきた。
「……すごい。こんなにたくさん入ってたのね。」
「ああ、爺ちゃんどこまで先見えてたんだよって……怖いくらいだ。」
天井レールの端に寄せてるチェーンブロックを、
ランサーの真上までゆっくり移動させる。
シンシアは作業用のライトをエンジンルームに向けて照らす。
照らされて、“惨状”がはっきり見える。
爺ちゃんの手紙。「それでいいんだ。」という声が、ふとよみがえる。
昨日とは違う。
いまなら素直に言える。
「……いままで、ありがとう」
小さくつぶやいた。
「……まずは、G62Bを降ろさなきゃ」
配管、補器類を外してゆく、固着して緩みにくい箇所も多い、
あせらず根気よく作業。
電装系、冷却系、油脂系、駆動系、プロペラシャフト、
あっそうだ、シフトノブも回して取る。
じゃーじゃらじゃら、チェーンブロックのフックにチルダーを下げて
G62Bエンジンにかける。
じゃーじゃー、少しづつフックがエンジンを上へ持ち上げる。
なかなか、離れてくれない、エンジン外周をライトで照らして再確認。
やっとエンジンとランサーが離れる。
「よし、ゆっくり、そっち下げて」
チルダーで角度調整して、エンジンを取り外す。




