初日
豪雪地帯から始まり、無限回廊、溶岩、沼地と4つのエリアを抜け、現在砂漠。
荒れ狂う砂塵、ではなく太陽に似た何かに照らされ、温度は50℃近いだろう。
あれからblueは気が入ったのか集中し続け、14時間で半分近くを踏破している。
半分近くというのも俺の感でしかないがこの手のlabyrinthは何度も経験がある。
宝珠にも力の限界があるってことなんだろう。
「流石に限界みたいだな、一度長い休憩を取る」
「わかった」
「素直にいうことに従うじゃないか」
「あんたの凄さは骨身に染みて分かったよ、なんでも言うことを聞くさ」
やっと理解を得られたか、よかったよかった。
俺は足元に一粒のタネを落とした。
「それは?」
「さっき沼地で拾ってきた植物の種だ、こいつに根を張らせる」
「どうなるんだ?」
「こうなる」
魔力を吸って成長した種は一本の木になった。
以前経験したことが役に立った。
「木陰で休むぞ、眠れる奴は眠れ」
それぞれが木陰で休憩し、リナの出した氷塊を枕にしたり目を瞑って眠りについたりしている。
最初に目を覚ましたのはリーシャだった。
「休まないの?」
「休んでいるだろ」
「見張り?」
「ああ」
「後で代わる」
「俺の代わりは務まらない、黙って眠れ」
「寝ないの?」
「俺は300時間は眠らなくても何とかなる」
「…意味不明」
「俺もそう思う」
再びリーシャは眠りにつき、次に目を覚ましたのはリオンだった。
「…感謝する」
「気にすんな、仕事だ。」
「あんたがいなかったら俺たちはすぐ死んでた」
「だろうな、とは言えお前らにこの手のlabyrinthは早すぎる、戻ったらあのおっさん一発殴っとけ」
「ギルマスか?」
「あのおっさんお前らだけじゃ無理なの察して俺を寄越しやがった」
「俺たちのためか」
「俺はlabyrinthから戻って二日寝たらまたlabyrinthだぞ、やってられるか」
「…感謝している、俺たちだけじゃどうしようもなかった」
ユウカも目を覚ましたようだ。
「感謝は行動で示してくれればいい」
「そうするとしよう」
ユウカはそそくさと眠りについた。
やるべきことがしっかり見えているな。
それを見たリオンも目を閉じ眠りについた。
2時間ほど経ってリナが目を覚ました。
「辛くはないんですか?」
「慣れた、眠気はない」
「どうしてそこまでするんですか?」
「そこまでとは?」
「自分を犠牲にするんですか?」
「俺はlabyrinthの中では誰も信用していない、黄昏の瞳のメンバーであってもだ」
「…」
「俺は自分が死んでも仲間を守るつもりで行動している、それを仲間に求めるのも期待するのも、ましてや俺と同じことをしろと言うのも酷な話だしできるとも思っていない」
「なら恩返しはさせてください」
「恩を感じるならlabyrinthが早く攻略できることを祈ってくれ、先が見えないのがlabyrinthの怖いところだからな」
リナは何も言わず再度横になった。
普段なら女の子の寝顔を見れる機会もそうそうないだろう。
labyrinthの中では仲間を守ることを優先しているとはいえ、人一倍生きることに必死な俺は生存本能からか、性欲が高まる。
ユウカの寝顔には若いながらも大人の魅力が、リーシャとリナの寝顔は少女の無防備な寝顔、そりゃ性欲も増す。
とはいえ油断はできない。
labyrinthの中でイチャコラしようもんなら死亡フラグが先に立ってしまいそうなもんだ。
「そろそろ起きろ」
全員を起こし、バックから全員に携帯食料を配る。
「こんなに辛いと感じたのは初めてだ」
口火を切ったのはリオンだった。
「お前らは何でSまで上がってきたんだ?」
「…そう言うこと気にするんだ」
「意外です」
「なんとなくだ」
「私はS1に上がる時にパーティに入ったから新参者だ、詳しくは知らない」
「ユウカはソロだったのか?」
「いや、パーティを組んでいたがlabyrinthに挑戦したいと言うメンバーがいなかったんだ、ダンジョンだけで生計も立てられるし、何より全員が家庭を持っていたからな」
家庭があるなら仕方がない。
パーティ内で恋人や旦那、妻がいれば揉め事になるから勘弁だが。
「私たちは人の役に立ちたかったんです、戦闘経験も積んで志願したら許可が出ました」
「S1は入れ替わりが激しいからな」
「みんな死んだんだろう?」
「labyrinthに対応できないパーティは多い、運要素も強いが先にメンタルがやられるからな」
「…分かる気がする」
「いつ出られるか分からない、あと何日かかるか分からない、死と隣り合わせ、無事に出られても二度とごめんだと解散する奴らも多い」
「カイトさんはどうしてlabyrinthに?」
「無事に出られたら教えてやるよ」
俺たちは先に進み始めた。




