テスト
目が覚めると横にはアシュルが寝ていた。
アシュルは実の妹じゃない、アシュルもそのことは知っている。
体の関係もある、それでもアシュルは俺を兄と慕ってくれる。
可愛い妹だ。
「おはようございます、兄さん」
「起こしたか?すまないな」
「いえ、私が好きでここにいるのでお気になさらないでください」
「説明してくれるか?」
「まずblueはギルドで兄さんが来るまで待機しています、兄さんの装備は全て調整済み、あとは兄さんの体から漂うマヤとミヤの匂いを落とせば完璧です。」
匂いは自分ではよくわからない、とりあえず準備を進めてくれたことに感謝だ。
「助かるよ、支度して行くとするか」
ーーーーーーー
「なんであいつと一緒に行かなきゃ行けないんだよ」
来て早々失礼なことを言われてる気がする、多分俺に対してだろうな。
「私たちじゃまだ役不足だってギルドに言われたじゃない、labyrinthから戻ってきてすぐに手伝ってくれるんだから感謝しないとダメだよ」
「別に手伝わなくても良いなら俺は帰っても良いんだぞ」
他のメンバーが慌ててお辞儀をする。
「今日からお願いします!」
「1人納得言ってないみたいだけどどうすんの?」
「戦えないお荷物ってバカにされてる奴がいたって迷惑なんだよ!」
俺は基本的に戦闘には参加していない、labyrinthに潜ったことのない奴らは俺を小馬鹿にする。
labyrinth組は無能がいるだけで簡単にパーティが瓦解することを知っている、だから他のパーティは俺に一目を置いているんだが…。
「お前らlabyrinthに潜ったことは何度ある?」
「…一度だ」
「どんなlabyrinthだった」
「魔物が出てきて奥にドラゴンがいた」
「はい、確かにドラゴンでした」
と言うことは戦闘能力は問題ない、敵が強いlabyrinthだったのだろう。逆に言えばそれ以外を体験していないってことだ。
「まだうだうだ言ってんのか、演習場貸してやるからお前ら戦え」
おっさんに面倒くさそうに言われる。
面倒なのは俺のほうだ。
「疲れ抜いてきたばっかりなのに…」
「俺が勝てばあんた抜きで俺たちは行くぞ」
「別に勝ち譲っても良いけどお前らじゃ死ぬかもしれないからな、俺たちが休めるように働いて貰わにゃ困るんだよ」
blueのメンバーとおっさんと俺とアシュルは演習場に降りてきた。
ギルドの地下は施設として様々なものがある。
「武器は木剣、一本勝負だ、文句はねえな?」
「あぁ」
「俺は怪我させたくないから素手でいい」
「…舐めるなよ、どうやって捌くつもりだ」
「やってみりゃわかるさ」
「それでは…開始!」
「…」
様子を見ているのか安易に近づこうとしない。
判断としては正解だが実力差を教えてやらないとな。
俺は一気に距離を縮めた。
たじろぎながらも剣を振りかぶり振り下ろす。
振り下ろした剣に勢いがつく前に俺は右足で木剣を止めた。
「馬鹿な!」
足を入れ替え左足を振り下ろし、首に巻きつけ床に押さえ込む。
「一本だ、文句ないか?」
「体術が使えるとは聞いてないぞ!もう一本だ!」
「これが実戦で体術を使う魔物だったら死んでるんですけどね」
アシュルが横からいらん口を挟む。
自尊心が傷付いたら面倒だから言わなくていいのに。
俺は距離をとって体制が整うのを待つ。
「別に構わないぜ、こいよ」
「桜花乱れ咲き!」
名前つけてんのかよ、恥ずかしい奴だな。
木剣を振り回しながら突撃して来る。
それでも太刀筋はしっかりしている、受け止めるのは難しいだろう。
足元の砂を蹴って目をつぶして楽に終わりなんだが実力差をしっかり見せつけないとな。
太刀筋を直前まで引きつけ、当たるその一撃をギリギリで躱す。
「う、嘘だ」
「インパクトの瞬間力入れたな、乱撃なら最初から切り刻むイメージじゃないと一瞬の隙をつかれるぞ」
その場で体を一回しして鎧の上から回し蹴りを叩き込む。
5メートルくらい吹っ飛んで床を転がり壁に体をぶつける。
「戦えないんじゃない、戦わないんだ、俺は自分が戦闘をするより指示を出した方がパーティが安定するからやってるだけだ」
「兄さんは弱くないですよ、私たちのことを思って後ろに下がっているだけです」
「これが…S6か…」
「これで文句はないな?じゃあ自己紹介をしてもらおうか」
全員を集めて自己紹介をさせる。
力量は知らんけどこいつくらいの戦闘能力だろ。




