銀龍
門の前に立つと外壁の上から人がこっちを見ていた。
「援軍か!」
「軍なんて呼べる代物じゃない」
「あの数の魔物を仕留めてくれたあんたらは援軍だよ!入ってくれ!」
門がゆっくりと開き中に入る。
中は戦いの跡でボロボロ、建物は崩れ負傷した人たちがしゃがみ込みじっと動かない。
兵士は階段を駆け降りてきて俺たちの前に立つ
「俺は衛兵のキースだ、外の魔物が消えたことでみんな安心して死ぬように眠りについちまった」
「別に歓迎して欲しいわけじゃないからいいさ、王と話がしたいんだが」
「着いてきてくれ」
城下町を歩き、王城へ向かう。
見かける人全てが疲弊している。
子供の泣き声、目の死んでいる若者から老人、横たわって眠る兵士。
次魔物の襲来があったら間違いなく陥落する。
「その子達は大丈夫なのか?」
「気絶しているだけだ、そのうち目を覚ます」
王城の入り口には門番もおらず、広間では傷ついた兵士たちが体を休めている。
「ひどい有様だな」
「まともに戦えるやつらはみんな逃げ出したか、死んじまったよ残っているのは国に忠誠を誓ってる奴らだけさ」
キースに王のいる部屋に案内された。
そこは寝室だった。
「陛下、援軍に来てくださった方をお連れいたしました」
「そうか…」
それは王と呼ぶにはあまりかけ離れた姿をしていた。
冠を被り、疲弊し切った白髪の老人がそこにいた。
「よく来てくださった、だがこの国はもう…」
「彼らと話してください」
俺は水晶玉を机の上に置いた。
「久しいですな、陛下」
「その声は…シェイドか」
「アランドルフの民は我が国が責任を持って受け入れましょう」
「心から感謝する…わしが生きている間に国を復興するのは無理だろうのぉ」
「それですが陛下…先ほど銀龍が現れました」
「銀龍…終焉最古の銀龍か…伝説の龍が姿を見せたならばこの国はおしまいじゃな…」
どこかに銀龍にまつわる逸話でもあったのか?
「そこの冒険者カイト殿が銀龍と話をし、民を逃す時間を作ってくれました」
「なんと…」
「銀龍と戦っても勝てる見込みがありませんでした、やつの求めるものは安住の地、人間も魔物もいない場所でした。」
「この国が滅ぶと見てそこに身を置くと言うことか…ならば滅亡を受け入れるとしよう」
素直な王だな。
どこぞやの権威権力に取り憑かれた王と違ってしっかりした人じゃないか。
「皆にはワシから伝えるとしよう、すぐにでもここを離れなければまた魔物に襲われてしまう」
「そう言うと思って既に馬車を向かわせております、二日後には着くと思いますがそれまでは何とか持ち堪えてください」
「改めて手を貸してくれることに感様せねばな、してやれることは少ないが…お嬢さん達を休ませてやらねば…キースよ妻の部屋に通してあげなさい」
「よ、よろしいのですか?」
「国を救ってくれた者に最大限の礼節を振る舞うのは当たり前のことじゃ」
「承知致しました、こちらはどうぞ」
倒された部屋は綺麗に掃除された部屋だった。
「ここは王妃のお部屋です、亡くなられてからも王はこの空間を大切にしたいとそのままにしておりました」
「子はいないのか?」
「王子は赤龍討伐の際に瓦礫の下敷きになり…」
「すまない」
「いえ、こちらのお部屋をお使いください」
ベッドは広く、楽に5人は横になれる。
リナとリーシャをベットに寝かせマヤとミヤにも休息を取るように伝えた。
「俺は物資を取りに行って戻ってくるから2人もゆっくり休んでくれ」
「あたしまだまだいけるよ?」
「姉さん無自覚かもしれないけど魔素の影響かなり受けてる、ちゃんと休もう」
俺が荷物を取りに行き戻った時、4人ともベットで眠りについていた。
なんだかんだ疲弊していたらしい、起こさないように気をつけて椅子に座り考え事をする。
魔素が濃く身体に影響を与える毒が充満している。
集まっていた魔物は見たことのある魔物に酷似していたがlabyrinthから溢れでたにしてはそこまでの強さを感じない。
銀龍曰くこの災害は人間によるもの。
となれば行方不明のジーニスが怪しくはある。
十分な休息を取ったらlabyrinthの正確な場所を聞いて乗り込むとするか…。
ベッドの上には4人が眠っている。
右に2人、左に2人、真ん中が空いている。
「…そういうことか」
俺はベッドの真ん中に横になる。




