タイトル未定2026/02/05 12:18
「趣味とか興味はないんですか?」
「趣味を持とうと思ったことがないな…」
後日リナに呼び出されて話をする事になった。
彼女が1番俺を説得できるという判断がされたらしい。
「今まで戦うことしかして来なかったからな」
「でも魔法の研究論文とかは見てましたよね?」
「あれはアリシアと助けるために何かできる事はないかって考えてたからだな…対して魔法が使えるわけじゃないし」
「…今日は会話になりますね」
いつもならないみたいな言い方をする。
自分でもこのままじゃダメだとは分かっているがなかなか行動に移せないだけではある。
理由?面倒くさいからかな。
「何かお仕事探してみます?」
「任せるよ」
リナに連れられてギルドに行く事にした。
オーリアのギルドはかなり大きな規模で展開されていた、金の使い方が違うな。
どこと比較しているかはさておき。
「あらリナさん、今日も魔法研究ですか?」
「いえ今日は何かお仕事がないかと思いまして」
「そうですね…お連れの方は?」
「私たちのリーダーです、怠け者の」
一言余計だ。
「おや、珍しいお客様ですね」
シェンが顔を出す。
この街にきた時以来顔を合わせていなかったからな。
「ギルマス、かくかくしかじか」
「なるほど、でしたら手伝っていただきたい案件があるのですがよろしいですか?」
「あぁ」
「カイトさんは前衛ですし、リナさんは支援魔法使いなのでちょうど良いですね」
オーリアのギルドでは昇級試験があり、それを突破する事でランクが上がるらしい。
座学の講義や訓練、依頼達成などが重要視されている。
座学は主にD級以下が受けるらしく、今回の仕事は講師による座学に参加して何か思うところはないか、アドバイスが欲しいとの事だった。
「そろそろ始まるのですが、今回の講義は前衛職と支援魔法職の合同講義にしますので、よろしくお願いします。」
受付のお姉さんがそれぞれの部屋に連絡を入れている。
本当にすぐ始まるんだな。
シェンに連れられて大部屋に入る。
人数にして50人近くが集まっていた。
「先生ーなんで今日は後衛と合同講義なんだよー」
「上からの指示です、何か理由があるのでしょう」
「私達だって嫌よ、あんたたち頭悪いもん」
「君たちまたそんなことを言っているのかい?」
ガキが多いな。
とは言え新人の教育に力を入れているのは国として偉いと思う。
「ギルマス!」
「みんなちゃんと話を聞くんだよ?」
「はーい」
「じゃああとはお願いします」
俺とリナは1番後ろで講義に耳を傾ける。
「…このように、支援魔法は魔法や人の強化が可能なのです、難易度は高く優秀な支援魔法使いになるには経験が大切だと言われています」
「それがいつになるんだよって話」
「うるさいわね」
「では次に前衛の役目ですが~」
話が続く中、リナに小さな声で話しかける。
「今の所どう思う?」
「講義っていうよりただの説明ですね、具体的な内容がないので生徒達にもしっかり伝わっていないと思います」
「だよなぁ…」
「私からしたら無駄な時間ですね」
「前衛の話もお遊びか何かってレベルだしな」
「あの〜」
前の席の男の子に話しかけられる。
「お二人は見学ですか?」
「まあそんな所だよ」
「無駄な時間ですよね、これでも昇級に必要だからみんな受けてるみたいな所ありますし」
「そうなのか?」
「必要な知識とかって実戦でしか身につかないと思うんですよ」
「そこ!うるさいですよ!」
別に大きな声は出していなかったが。
「ギルマスから見学がいるから合同でと言われてましたが…邪魔をするなら帰っていただきたい」
「あんた前衛の講師だろ、支援魔法の講師はいないのか?」
「ここにいます〜」
最前列の隅っこにいた。
「あんたは彼の支援魔法の説明が出来てると思ってるのか?」
「内容は間違ってませんし別に問題ないかと」
隣から大きなため息が聞こえてきた。
これにはリナさんもがっかり。
「ちょっと、怒ってきます」
リナは席をたち壇上に上がる。
「な、なんだね君は」
講師を無視して話を始める。
「S級冒険者のリナと申します、ギルマスに頼まれて講義を見ていたのですが…レベルの低さにがっかりしました、私から講義をしたいと思います」
「S級?」
「見たことある?」
「誰?」
「出ていってくれないか!」
「はいはい、うるさいから静かにしようね〜」
講師を押さえつけて椅子に座らせる。
「ビクター先生ってB級じゃなかったっけ、あんなにあっさり…」
「じゃあ本当にS級?」
「まさかぁ」
リナが机をバンッと叩くと静かになる。
さあリナ先生、どんな講義が始まるのかな?
「そこのあなた、支援魔法の強さは何で決まるか知ってる?」
さっき男の子と喧嘩していた女子生徒に質問をする。
「えっと…魔法に注ぎ込む魔力の強度です」
「じゃあ効果は?」
「魔法に注ぐ魔力の量です」
「正解、じゃあ人に支援魔法を使うのと攻撃魔法に支援魔法を使うのメリットとデメリットは分かる?」
「…分かりません」
「攻撃魔法に支援魔法を使うと威力や範囲が増大しますが大量の魔力を使用します、爆発する魔法であれば味方ごと巻き込む危険がありただ魔法を強化したらいいと言うわけではありません、諸刃の剣なのです」
「ほーらだから俺たち前衛に魔法を使えば良いんだよ」
男の子が嬉しそうに言う。
「あなた、前に出てきて」
「俺?」
少年は壇上に上がる。
「カイトさん、先生を離してください」
「分かった」
「今から貴方に支援魔法をかけます、先生と模擬戦をしてみてください」
「私はB級ですよ?支援魔法ぐらいでそんなに強さが変わったりなんて…」
「先生勝負だ!」
少年は講師に突進する。
あまりの速さにもつれるように2人とも吹っ飛ぶが生徒はピンピンしている。
「すげえ!こんなに変わるもんなのか!?」
「どんな魔法をかけたらこんなに強くなるんだ!?」
講師は起き上がり服の埃を払う。
「いきなりで驚きましたがそこまでの威力はありませんでしたよ」
「私がプロテクションを張ったからですね、気づきませんでしたか?」
生徒達は大きな声を出して講師を笑う。
「みなさんうるさいですよ!」
「やっぱり支援魔法は俺たちに使う方がいいじゃん!」
「では魔法を解きますね」
少年は体の力が抜けその場で膝から崩れ落ちた。
「あれ…体が…動かない」
「これがデメリットです、支援魔法で肉体の活性化を行うと疲労で動けなくなったり、全身を激痛が襲い地獄のような苦しみを味わいます」
リナは少年にヒールをかけながら話を続ける。
「そして1番の問題は人によって魔力抵抗力が違う事です」
「魔法抵抗力?」
「体を鍛え、強くなればなるほど魔法抵抗力がつき、必要な魔力の量は増え、持続時間は短くなり、扱う難易度が跳ね上がります、ちなみにそこにいるカイトさんに彼にかけた支援魔法と同じ物をかけようとすると1秒も効果は続きません」
受講者にどよめきが広がる。
…そうだったんだ…。
理屈は知ってたけどそんなに短いのね。
「じゃあどうしたら良いんですか?」
女子生徒も気になっているみたいだ。
「簡単な魔法をかけて持続時間や効果の度合いを測ることが必要になります、そしてそれは人によって異なるバランスの魔法を魔物との戦闘中に判断する必要があります、さらに上手くしようと思えば前衛が魔物の攻撃をくらう瞬間に支援魔法を1秒かけ、攻撃の瞬間に1秒かける作業が必要になります」
「そんなの出来るわけないじゃん!」
「それを求められているのが支援魔法職なのです、あなたが出来るわけがない言ったことを簡単に彼女にやれと言ってましたね?」
「だって…」
「責めるつもりはありませんが、少しは他人のことを知る努力をしてください」
女性講師は感動して大きな拍手をし、それにつられるように拍手が巻き起こる。
「さて、舐められる支援魔法職の尊厳は保ちました、次は前衛のフォローをしてくださいね」
「え、俺もやるの?」
「当たり前です」
「まじか…」
「皆さーん次は前衛職のお話ですよー」
歓声があがりみんな話を聞きたそうにしている。
苦手なんだけどなぁ…リナと同じようにやってみるかぁ。




