それぞれの道
あれから2ヶ月が経った。
俺たちが手に入れた家は8人で住むには少し狭く、数日でうるさいという理由からカトラスとメルは引っ越した。
2人のことだから心配はしていないが。
アシュルは工房がない事に不満を持ち幾つかの魔道具を売って鍛冶場のある家を借り、たまに顔を出すくらいになった。
もともと職人気質なところがあったから好きな事が出来ればそれで良いのだろう。
家には俺、マヤ、ミヤ、リナとリーシャの5人で住んでいる。
周りから見ればハーレムに見えるかもしれないが普段からベタベタイチャイチャしているわけではない。
labyrinthがない俺はただの穀潰しになっている。
実際生活するための費用は俺だけ出していない。
今日は久しぶりに全員が揃って今後の話をするところだ。
「もう全員揃っているのか?」
カトラスとメルが合流して7人、あと1人。
「あとはアシュルさんですね」
「あいつ絶対来ないだろ、もう始めようぜ」
それもそうかという感じになり話が始まった。
「うちのリーダーは…ダメか」
「完全に魂が抜けてますね」
「今までやって当たり前だったことが無くなって、目標がないとこうもダメになるのか」
「アリシアさんが妹じゃないって分かってからずっとこの調子ですから…」
「俺は傷心中です、放っておいてください」
「よーしじゃ始めるぞー」
カトラスが音頭を取って話が始まる。
「まず俺から、黄昏の瞳の一時解散を提案したい」
「解散ですか」
「もともと冒険したいって所から始まって、labyrinthに行くようになって一緒にいるのが当たり前、それがなくなったなら黄昏な瞳は必要ないんじゃないかって思ってな」
「私は何も言ってませんからね」
「別にメルちゃんに思うことは何もないよ」
「関係が無くなるわけじゃないし、別にいいんじゃない?あたしはミヤと2人でダンジョンに行けば楽な稼げるしそれでいいかなー」
「リナとリーシャもたまに来てくれるし、ダメな父親だけどうしようかなって」
「ね、こんな美少女達を放っておいて捨てられたらどうするつもりなんだろうね」
「私は養ってもいいと思ってますよ?」
「…私も」
「別に私だって養ってあげれるし!」
「アホくさ」
カトラスは何故か持てる俺に果物の皮を投げつけてくる。
微動だにしない俺、やる気おきねぇ。
「俺たちが集まらないとどうにもならないようなことがあれば声をかけてくれ、まだやる事があるからな」
「そう言えば兄さん、どうなったの?」
「巻き込むつもりはないから詳しくは言わないが順調だってことは伝えとく」
「メルちゃん、たくさんこき使ってから捨てるんだよ?」
「カトラスさんと離れることはないですよ、子供もできましたし」
「おー、おめでと!」
「ありがとうございます」
「お前らもおばさんだな」
無言で鉄拳が2発飛んできた。
解せぬ。
「なら俺たちはそろそろ行くわ、またな」
カトラスはヒラヒラと手を振りメルは丁寧にお辞儀をして家を後にした。
「で、私達はどうする?」
「私もリーシャも魔法の研究は続けたいですし…2人はダンジョンに潜るんですよね?」
「そのつもりー」
「となればやはり…」
「…カイト」
なんだよ、何もやる気起きないぞ。
「順番に整理しない?」
「そうですね…まずエルフに会いに行った所ですね、ダークエルフがアリスさんで、その母親がアリシアだったんですよね」
「カイトの妹だと思ってたのが実はアリスって人の母親で、カイトに魔法をかけて何かをしようとしていたんじゃないかってことで話はまとまったね」
会話の通り、周りがおかしいのかと思っていたが実は俺がおかしかったのだ。
エルフの婆さんには自分がおかしい事に気がつけるようにしてもらった。
しかし元に戻る事はないらしく、そういう事があったとして俺は納得している。
そう、納得してしまったのだ。
今まで必死に頑張っていたものが幻だと知って何もする気がなくなってしまった。
「それからこの調子だもんね」
「何か新しく打ち込めるものがあれば文句言いながらでもやってくれそうだけど」
「毎晩誰かしらに打ち込んでるだろ」
改めて無言の鉄拳が飛んできた。
解せぬ。
「カイト、ダンジョンは?」
「戦いたくない」
「新人冒険者の育成とかは?」
「教えたくない」
「一緒に魔法の研究します?」
「ほとんど魔法使えないし」
「使えなくても研究してる人は沢山いますよ?」
「…めんどくさい」
「…意欲が湧かないって言ってほしい」
「意欲が湧かない」
「重症ね」
「なんでこんなのに惚れたんだろうね」
「エッチが上手だからじゃないですか?」
「私達を性的に満足させるのが仕事になってない?」
「じゃあそれが仕事で」
改めて無言の鉄拳が飛んできた。
しかも今回は4発。
本当に解せぬ。
「働くまでエッチ禁止にするとかは?」
「あ、それいいですね!」
「…いいかも」
俺は立ち上がってミヤの目の前に立った。
「…何?」
近づいて耳元で囁いた。
「足腰立たなくなるまで責めていいか?今すぐに」
「…いいよ」
「ダメに決まってるでしょ!」
今度は無言じゃない鉄拳が飛んできた。
バカになったらどうするんだ。
リーシャをお姫様抱っこで持ち上げる。
「行く?」
「…行く」
「まともな奴はいないんかい!」
「でもマヤだって断れないでしょ」
俺はリーシャを下ろしてマヤに近づく。
「私は簡単には落ちないわよ!」
「好きだ」
「はぇ!?」
「好きだ」
「ちょ、ちょっとストップ」
「顔が赤い」
「真顔で見つめないでっ、てぇ」
「キスしていいか?」
「いいけど…」
「落ちてるじゃん」
「皆さん…弱すぎませんか?」
「リナは強そう」
「私はしたい時しかしないので流される事はありませんよ」
俺はリナに近づく。
「私には聞きませんよ」
俺は無言でリナの耳にかぶり付いた。
「〜〜〜っ!!!」
わざと音を立てて卑猥な音に聞こえるように刺激してやる。
「だ、ダメです!」
「じゃあ1人だけ仲間外れになっちゃうけどいいの?」
「それは…」
「首筋、下を這わせられるの好きだよね?もうしてあげないよ?」
「…負けました」
「ダメじゃん!どうすんのよ!」
こうして今日も俺はダメ男を更新している。
どうやって俺を構成させるか彼女達の話し合いは続く。




