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labyrinth  作者: もーっく
19/27

評議会

「俺の名前を知っているんですね」

「もちろん我々は情報が全てだからね、1人1つ質問をするから正直に答えてほしい」

「いいでしょう」


流石商人、ここは嘘をつかない方が良さそうだ。


「ではまず私からだ、君たちは国外追放されてどうしてオーリアを目指したんだ?」


俺たちの国外追放をいつ知った?

シェンは手紙を読むまで知らなかったはずだ、だから急いで飛んできたと言った。

それから俺たちはここまでずっと一緒、誰かに言伝して先に走らせるような事もなかったはずだ。

となると本当は知っていてシェンが口から出まかせを言ったことになる。

別のルートで情報を?

商人の国と言っても往来がない以上知り得る事もできないはず…


「私達がオーリアに言った方が嫌がらせになると思ったからですね」

「ははっなるほどな、仮に戦争になった時は力を借りても良いのかい?」

「防衛であれば、あくまでも嫌がらせなので都市まで戦火が広がりそうなら見て見ぬ振りは出来ませんね」

「自分たちに飛び火しそうなら手伝うくらいはするという事か、わかった」

「次は私だ」


顎鬚の生えた次の議員が発言する。


「好きな食べ物は何か教えてくれないか?」

「…私のですか?」

「君たちみんなのだ」


それぞれが好きな食べ物を伝えると嬉しそうに頷きながら話を聞く。


「なるほど、参考になったよ」


なんだ…?


「では私の番ですね、黄昏な瞳の今後の活動についてお聞かせ願えますか?」

「何も考えていないというのが正直な所です、今までlabyrinthの攻略しかしてこなかったものですから」

「ふむ…では商いに興味ないありませんか?」

「我々素人では言いカモになるだけですよ」

「何もモノを売るだけが商売ではありません、依頼を受け荷物を運んだり素材を入手して納品する、商材運搬の護衛、新人冒険者の育成や魔法の指導なども商いですよ」

「…あまり考えた事はありませんがパーティで活動していない時は自由なので各々の判断に任せることになりますね」

「そうですか、分かりました」


彼らが俺たちを恐れている様子はない、警戒する様子もない、扱いに困っている様子もない、何を考えているのだろうか。

今はただ質問に答えるだけか…。


「私はカトラス殿とメル殿に質問しようか」

「なんでも聞いてくれ」

「メル殿には殺したいほど憎んでる人達がいるね、カトラス君はそれを知っているのかい?」

「あぁ、知ってる、1人は始末したさ」


メルは険しい顔で議員の1人を睨みつけている。

まぁそんな事誰にでも話せる事じゃないし、バラされれば怒る事もあるか。

というかいつ殺ったんだ?


「チャンスがあれば他もやるのかい?」

「チャンスは作る、あと二つ目の質問だぞ、メルの機嫌を損ねる前に口を閉じな」

「おっとこれは失礼、謝罪しよう、すまなかった」


老紳士は立ち上がり丁寧にお辞儀をした。

この人たちはどこまで知っているんだ、仲間の俺たちですら知らない仲間のことまで知ってやがる。


「最後は私の質問だが、質問ではなく提案をさせてくれないか」

「どんな提案ですか?」

「都市の中心から少し離れた所に掃除だけはしているのだが、誰も住んでいない別荘がある、そこを君たちに買い取ってほしいんだ」

「おいずるいぞ」

「今話しているのは私だ、黙ってくれないか」

「そこに住めと?」

「嫌なら断ってくれて全然構わない、対価はアシュル殿の作成した腰痛に効く魔道具を一つ頂きたいのだ、歳をとると体が痛くてな…」


アシュルの魔道具は有名だが腰痛に効く魔道具があることは黄昏の瞳のメンバーでもリナとリーシャは知らないはずだ、2人が加入する半年ほど前にアシュルが作ったモノだからだ、そうなると俺たちの中に情報を流している奴がいることになる。

いや、ありえない。

消去法で行くとカトラスになるがあいつは仲間思いのやつだ、考えられない。


「これで良いなら構いません」


アシュルは小さな袋から指輪を取り出し議員に手渡した。


「おぉ…これがかの有名なアシュル殿の作成した指輪か…いや素晴らしい…」

「羨ましい…」

「わしもほしい…」

「ちょっと見せてくれんか?」

「後で迎えをよこそう、感謝しますよアシュル殿」

「話も聞けたしこの国で自由にして貰って構わない、何かあればいつでも相談にのるぞ」

「シェン、あとは任せたぞ」

「畏まりました」


俺たちが部屋を出る頃には指輪に群がる爺さんたちの集まりになっていた。


「どう感じましたか?」


シェンが意味深な質問をしてきた。


「気味が悪い」


即答したのはリーシャだった。


「私たちの事、私たち以上に知ってる」

「それもそうですがどこから情報を仕入れているのかが1番分かりませんね」

「魔道具とか?」

「まぁ可能性はありそうだよな…」

「兄さんナンパしてる時に私たちの事ペラペラ話したりしてないわよね」

「俺はいつも直球勝負だっただろ」

「それもそうか…」

「カイトさんはどう思いました?」


俺たちの事を知っているのはよく分かった、情報の経路は不明、これは考えても答えが出ないのだから仕方ない、であれば何故それをあえて俺たちが疑うような質問をしたのか、だ。


「牽制…かな」

「と、いいますと?」

「お前らに簡単に国をひっくり返す戦力があるように、俺たちには情報という力あるってアピールされた、手を取り合えば良い関係を作れるからお互いに利用して共存しようってメッセージだと思っている」

「なるほど」

「そう言われればそうかもしれませんね」


メルはバツが悪そうにぼやいた。


「私がカトラスに頼んで人を処理してもらった事は何も思わないんですか?」

「そう言えばカトラス!お前人を殺したのか!」

「別になんとも思ってないだろ?」

「まぁな」


言ってみただけだ。


「そうなんですか?」

「理由は知らないけどカトラスが判断してやった事にいちいち口出しはしないさ」

「それが原因で追われる事になってもですか?」

「そん時はそん時かな、みんなそれぞれの正義があって衝突は起こるもんだし」

「私たちは私たちが最優先、やりたい事をやるしやりたくないことはしない」

「でもなんだかんだ俺の決定にはついて来てくれるんだよな」

「それはこの子の父親だし」

「ね!」


マヤとミヤはお腹の下を摩って笑い合う。

こういう瞬間はほっこりする。


「父親になるんですか、おめでとうございます」

「数年前から5人の父親だけどな」

「?」

「いや、いい」


お迎えが来て俺たちは譲ってもらった家に向かう。

8人が住める家を提供してくれているとは思うが…












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