商人の国
カトラス
マヤ
ミヤ
アシュル
リナ
リーシャ
メル
俺
8人で東の国に向かう。
東の国へと続く街道は封鎖されているため、関所からは歩きになる。
関所に集まる軍人の中にアイツを見つけることはできなかったため挨拶は諦めて東に向かう。
この先に通すことはできないと言われたが国外追放を受けていることに伝えるとすんなり通してくれた。
西に行けと言われるかと思ったがそう言えば西は西で厳戒態勢のはずだからどっちも同じことだった。
「もうオーリアに入ったんですか?」
「ここは中立区域ですね、一日も歩けばオーリアの関所が見えてくると思いますよ」
「走るか?」
「メルさんはカトラスさんが抱えます?」
「私のことはお気になさらず、走るだけならなんとかなると思います」
リナは不思議そうな顔をする。
そう言えばアサシンだってこと言ってなかったな。
「野宿は嫌だからお先に」
「後でね」
マヤミヤが先に走り出した。
全員一緒じゃないと入れないと思うんだがな。
「メルはやり手のアサシンだからリナとリーシャは近接戦闘だと勝てないと思うぞ」
「監視に選ばれたのはちゃんと自力があってだったんですね」
「カイト、追手はいるか?」
「来ると思ったんだが来てないみたいだな、居ないならゆっくりしてもいいと思ったんだが、まあ、走るか」
俺たちは走り出した。
「この速度についてこれるのは流石だな」
「その言い方だとまだ速くなるんですか…」
「私とリーシャは支援魔法をかけてようやくなのに…強いんですね」
「あれ?この前はもっと早かったけどついて来れてたよな?」
「疲れるからあまり好きではないですけど一応まだ速くはできますよ」
「これがS級ですか…」
このペースだとメルは先にバテるな。
「カトラス、メルを抱き抱えて走れ、俺が先頭で風除けをやる」
「俺苦手だから助かるぜ」
俺は先頭に立ち後陣を引っ張る。
普段は後ろの警戒に回っているためカトラスに任せているが前を走るとなると風圧を受けて呼吸がし辛くなる、それを魔法でカバーする。
口の前に魔力障壁を張るだけなんだが。
2時間ほど走った所で関所が見えてきた。
2人は関所の前で兵士たちと話をしているように見える、合流しよう。
「はーいお疲れー賭けはあたしの勝ち!」
「兄さんが前だと思ったんですけど…メルさんは流石に着いていけなかったみたいですね」
「あたし達の速度に着いてくるってなったらS級だって!」
「オーリアの兵士の人とは話はしたのか?」
「それがねぇ…」
1人の兵士が前に出てくる。
「貴殿がリーダーか?」
「そうだ」
「オーリア国東駐屯地責任者のアベルと申します、遠くから来ていただきましたがここを通るのはもうしばらくお待ちいただけますか」
「というと?」
「我々がそちらの国と仲が悪いのはご存知でしょう、スパイの可能性もあるとして上が入国の許可を話し合っているみたいなのです」
そこまで話してくれるのか。
俺たちの印象は悪くないみたいだな。
「俺たちがS級冒険者だって事は聞いたんだな、これをギルドから預かっている、そちらの国のギルマスに渡してくれないか」
「確かに受け取りました、おい、誰か持っていってくれないか」
「その必要はありませんよ」
どこからか声がしたと思えば関所の上から人が飛び降りてきた。
「私はオーリアのギルドマスターのシェンと申します、その手紙直接受け取りましょう」
「シェン殿、いらしていたのですか」
「飛んできました、何せ西の国のS6が来たと聞かされれば開戦かと思うじゃないですか」
ということは戦争になった時オーリアの冒険者は介入するって事みたいだな。
シェンは手紙を読んで顎に手を当てる。
「なるほど分かりました、責任は私が持つので入国許可証を発行していただけますか?アベル殿」
「…大丈夫なのですか?」
「そもそもこの方達だけで1日もあれば関所を破壊してオーリアを転覆させる事が可能なのにわざわざ話をするって事は敵対の意思がない事が明らかです」
「…1日くらいであれば我々が持たせて見せます…」
あら、プライドが傷付いちゃったか?
「S級の魔法見せてあげたら?」
リーシャは無言で身を翻し走ってきた方に向けて魔法を詠唱する。
リナも合わせて支援魔法の準備をする。
「マジックアップ」
「メテオスフィア」
空から巨大な石が流星の如く降り注ぐ。
街道に当たらないようにしてはいるがあれ邪魔だろ。
轟音が鳴り響き地面を揺らし、降り注ぐ巨石は地面を抉り積み重なっていく。
「分かりましたか?」
「責任…取ってくださいよ」
アベルから入国許可証を貰ってオーリアに入国する。
「さて、申し訳ありませんがこのまま議会まで足を運んでいただけますか?」
「議会?」
「オーリアは商人の国、王国ではないので王族が国を管理しているわけではないのです」
「そんな国があるのか」
「国を管理しているのは【自由連合】に加盟している商人で国民に選ばれた議員が評議会を開いています」
「国民が政治に参加しているのか、初めて聞くけど良さそうなシステムだな」
「不満があれば耳を傾け改善するので国民人気も高い議員が多いですよ、彼らに滞在の許可をもらう必要がありそうですので」
「俺たちはいく当てがないからな、素直に従うよ」
馬車に乗って数時間、大きな街に到着した。
人、人、人。
右を見ても左を見ても人の山。
「ここは商人の集う大都市ですからね、売り手も買い手も集中するのです」
「すごい人の量…」
「逸れないように着いてきてください」
人混みを掻き分けて大きな会館に入る。
中は別世界のように人がいない。
このギャップはなんだ。
「許可のあるものしか立ち入る事ができませんからね、こちらへどうぞ」
案内されるがままに着いて行き、とあるドアの前。
「先ほど一報を入れましたシェンです、客人をお連れ致しました」
「入りたまえ」
シェンがドアを開くと5人がテーブルを囲み座っている。
「さてカイト君、質疑応答の時間といこうか」




