理由
「俺は反対だ!絶対に行かんぞ!」
「まぁ話を聞けって」
「いーやお前が折れるまで俺も折れん!」
屋敷に戻ってきてからカトラスはこの調子だ。
聞く耳を持とうとしないし反対の理由も言わず反対しか言わない。
「カイトさんにも考えがあるのでは?」
ようやく周りから救いの手が来た。
その通りだけリナ、もっと援護してくれ。
「兄さんはエルフも手籠にするつもり」
「ちょっとカイト!」
「違うわ!」
「じゃあ説明しなさいよ」
助け舟を出されたのか。
いやこの目は本気で手籠にする話を信じているな。
「俺たちが断ればどうなるか考えてみろ」
「軍が動くんだろ?そしたら止めれば良い」
「軍は東から動かせないだろ、他のS級の奴らに声をかけるだろうな、もし全員きてみろ」
「あいつらは…少しきついか?」
「エルフのいる所で戦うとなるとエルフを守りながらの戦闘になる、エルフからしたら敵同士が争っているんだから俺たちの背中ごと攻撃してくるかも知れない、会話も通じないかも知れないんだからな」
「ん…むぅ」
「言語は古代語を話すって聞いたことあるけど、会話にならないんじゃない?」
「アシュル、なんとか出来ないか?」
「知らない言語は流石に無理」
「少しだけなら分かる、話ができるレベルじゃないけど意味なら少しわかる」
博識なやつがいてよかった。
「本当か!十分頼もしい」
「古代語の勉強はしようと来たけど残されてる物が少なすぎる」
古代語関係の書物は古すぎて現存しているものは厳重に保管されているらしい。
保管って…展示されているわけでもないだろうし役に立たない事をするな。
「エルフを捕縛するつもりは全くない、断られれば大人しく引くつもりだ」
「王様にはなんて?」
「俺たちでも歯が立たなかったと言うさ」
「なら戦力を増やそうって話になるかもな」
「その時はその時だ、それとは別に目的もある」
「エルフといとば精霊魔法ですか?」
エルフは自然界に存在すると言われる精霊とコンタクトを取ることができると言われている。
精霊に関する情報は秘匿扱いになっており、誰も身に付けることが許されていない。
「アリシアを救い出す手掛かりになるかもしれないからな…」
「カイト、気を悪くしないで欲しいんだが
「なんだ」
「前から思っていたんだがアリシアは本当にお前の妹なのか?」
「どういう意味だ」
「お前以外の誰もアリシアのことを覚えていない、labyrinthに現れてお前が説明してくれたから彼女がアリシアなんだと言うことを初めて知った、同じパーティのメンバーだったと言われてもピンとこないんだ」
「それで?」
「逆に言えばlabyrinthがアリシアと言う存在をお前の中にだけ植え付けて妹だと思わせている可能性だってある、救い出すと言うのは危険じゃないのか」
「確かに俺だけが覚えていて他の誰も覚えていない、labyrinthの影響下にない人間すらアリシアのことを知らない、だとしたら俺の頭がおかしいだけかもしれない」
「助けることをやめろって言ってる訳じゃない、肉親なら助けたい気持ちもわかる、でも俺たちだってお前の仲間だしお前だって俺たちの大事な仲間なんだ」
「兄さんがまともなこと言ってる」
「ね」
「真面目な話をしてるのに茶化すなっ!」
確かにカトラスの言う通りかも知れない、何度も考えたことだ。
おかしいのは世界じゃなく俺。
不確定なことに仲間を巻き込むのは間違っている…と、。
「それについては考えさせてくれ、今はエルフに危害を加えず王の要望に応える、可能であればエルフの知恵を授かる、それでいいな?」
「あぁ、それで構わないぜ」
「ま、交戦的じゃないなら戦いたくないしー」
「兄さんがそう言うならそれで良いです」
「頑張ります!」
「コミュニケーション取れると良いな」
「カイトも無理しないで」
軽く頷き解散した。




