侵攻
「エルフを我が国に従属させる、其方らの力を持って全員を捕縛し連れて参れ」
…は?
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時は少し遡り。
「王城なんて久しぶりだなぁ、S6就任以来か?」
「私は初めて来ました、王様に謁見するなんて震えが止まりません…」
「下手なことを言えば不敬罪で投獄されちまうかもな!?」
「脅かさないの、そもそもあたし達に命令できると、思ってんのが間違いなの」
「姉さん、そのくらいに」
「…吐きそう…帰りたい」
ダラダラ話しながら案内人に着いていく。
「無愛想な冒険者に礼儀作法なんか求めてこないさ、日頃の活動に感謝してる、悪いけど手伝って欲しい事があるんだけど、くらいじゃないか?」
前から1人の男性が歩いてくる。
「この先は俺が案内しよう、下がって良いぞ」
現王国軍団長、元S5閃光のリーダーのツヴァイが案内人と変わる。
こいつイケメンで強いんだよ、ずるいよな。
「ツヴァイ!久しぶりだな!」
「うるさい、少し黙れ」
カトラスは邪険にされて引き攣った顔で今にも殴りかかりそうだ。
ミヤが宥めている、問題が起きない様に頼むぞ。
「カイト、少し良いか?」
「あぁ構わないぞ」
俺は前に出て先頭をツヴァイと並んで歩く。
ツヴァイの様子を見るにあまり良い話では無さそうだ。
「戦争が近いかもしれん」
「はぁ?温厚派って聞いてたけど?」
「先日王は病で倒れてな…それから人が変わったかの様に他国を脅威に感じておられるのだ」
「お前が止めろよ」
「無理だ、俺はすぐに東方司令部に戻って防衛線を引かなければならない、東の動きが気になるとの通達があってな」
「俺たちは戦争に駆り出されるなら国を出るぞ、国に貢献してるのに恩を仇で返されるのはごめんだ」
「当然だな」
「お前もそうしたら良いだろ」
「立場と責任があるから無理だ、それに俺の妻は身籠っていてどこにも行けん」
幸せな家庭そうで何よりだ。
「俺も話は聞くが何も言えん、お前らを殺せと命令されれば従うしかない」
「勝てないぞ」
「それでもやるしか無いんだ…この意味聡いお前ならわかるだろ、頼むぞ」
家族が人質になっていて逆らえないって所か。
クーデターで王を排斥した方が良いんじゃないか?
「お連れいたしました」
ツヴァイが大きな門を押し、俺たちは後に続いて部屋と言うかなんと言うか、玉座の間って感じだの所に入る。
近衛兵が200人はいるだろうか、槍を体の前で持ち、いかにも警戒していますオーラを出している。
「よくぞ参った、黄昏の瞳の諸君」
「何か御用ですか?」
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という事だ。
「はあ?エルフ?そんなもん勇者と同じくらいの御伽話じゃ」
そこまで言ってカトラスは喋るのを止めた。
止めさせたと言うべきか、手を伸ばしカトラスの口を閉じさせた。
「理由をお聞かせいただきたい」
「ワシは病で時期に死ぬ、エルフの煎じる薬ならば助かるかもしれん」
俺の頭の中では全てが繋がっていた。
王が倒れ命の危機に不安に駆られ、そこに先日のダークエルフが接触、エルフの情報を教えて俺たちに行かせる様に仕向けた、なんのために?
「エルフという幻の種族は勇者の伝説とと同じくらい信憑性が薄いですが、情報の出所はダークエルフの女性ですか」
王は驚きつつも頷く。
「主もあった事があるのか、その通りじゃ」
隠さないあたり嘘は言っていなくて素直に生にしがみついているだけみたいだな。
「彼女曰く神秘なる深き森は神樹の結界で外からは立ち入れんらしい、結界内に転移する宝具を譲り受けておる」
「それを使って侵入して、エルフを捕縛してこいって事ですか」
「エルフは長寿故に繁殖能力が低く数は多くないと聞く、引き受けてくれるか?」
もし俺たちが断れば他の奴らに声が掛かるだろう。
その場合どっちに転んでも気分が悪い、なによりダークエルフの彼女の思い通りに動いている事が面白くない。
上手く交渉できればエルフ達を傷つけず、王の病を治は事ができる、エルフの知識や秘術があればアリシアを助けるヒントも得られるかも知れない。
「王の病を治す手段は我々が調べてきますが交渉が第一です、知らない、分からない、と言われれば嘘の可能性も考慮して全員捕縛しましょう」
「それで良い、宝具はお主達に預けよう、早々に行くが良い」
こうしてエルフとの交渉に行くことになった。
俺にとっても悪い話じゃないがエルフという種族の戦闘能力も分からない、できれば争いはごめんだ。




