ミヤ
自室でゆっくりしているとノックの音が飛び込んだ。
「空いてるぞ」
ドアを開けて入ってきたのはミヤだった。
「ごめん、少し落ち込んでる」
「だろうな、話してくれるか?」
ミヤは真面目でカトラスやマヤと違い少しのミスでもすぐに落ち込んでしまう。
labyrinthでも帰るまでは変わらないのだが、帰ってから塞ぎ込むことが多い。
そういう時は俺が話を聞くか、俺が話を聞くか、俺が話を聞く。
話を聞くというか…。
「気をつけてたのに毒もらっちゃった」
「そういう時もあるさ」
「ダンジョンだから、1人じゃないから、どこかで油断してたんだと思う」
普段は1人、たまに2人でダンジョンをさっさと攻略するため警戒心が強い。
今回は連携を取るために歩調を合わせる様にしていたのが気の緩みに繋がったのかも知れない。
「気にしているのか?」
「久しぶりの猛毒だった、毒じゃ死にはしないと思うけど、動けなくてやられてたかもしれない」
「ミヤなら全力で引けるだろ?」
「引けてもそのあと毒が回って動かないところを他の冒険者に見つかったら何されるか分からない」
実際、冒険者の犯罪や暴力は後をたたない。
軽度ならギルドから注意、重度であれば資格の剥奪や国外追放だって前例がある。
それでも一般人が束になっても勝てないくらいにはもちろん強い、毒で動けないミヤを嬲ることも可能性としてはあり得る。
そんな連中ばかりではないのだが。
「ごめんなさい」
ミヤは完璧主義と言っていいだろう、そして自責の念がとても強い。
放っておけば自傷行為に走るし適度にガスを抜いてやらないといつ爆発するか心配になる。
叩いて欲しい、乱暴にして欲しいと頼まれることもあるが手を上げた事はない。
むしろこういう時は甘やかして甘やかして、ミスをしても許されるという事を分からせないといけない。
「誰も責めないから大丈夫だ」
そう言って俺は抱きしめる。
腕の中で鼻を鳴らし泣くミヤを宥め続けた。
そのままベッドに誘導して抱き合う様に横になる。
「ね、ご奉仕させて?」
ミヤは尽くすタイプだ。
自分が悪いと思うと相手が喜ぶ事をして自分の中で勝手に許されたと思う性格、それはつまり利用され易く騙されやすいとも言える。
正直どうする事が1番なのかは分からない。
だがミヤが満足して俺も満足できればどんな形でも良いのだと、それでいいと思っている。
周りの目なんか知るか。
ミヤにされるがまま、心地よい感覚のまま俺は眠りについた。




