ダンジョン探索…?
「もう治った」
「早すぎます…」
休憩を始めて5分、ミヤの調子が戻った。
「鍛え方が違う」
「無理はしないでくださいね」
「油断した、気をつける」
リナは顎に手を当て何かを考えている。
見えない蠍の対処方法か?
「リナ、どうした?」
「いえ、A級のダンジョンでここまで難易度が高いのは初めてだったので不思議に思いまして」
「確かに初めて見る魔物だった、新種かもしれない」
「音が聞こえれば近くにいる、音が聞こえなければ息を潜めている可能性がある、それさえ分かれば対処は難しくない、問題は毒だな」
ミヤを戦闘不能にするレベルの毒だ、抵抗力が低ければ毒の量にもよるが即死もあり得る。
複数人が毒になればエリアアンチドートでまとめて治療はできるがそうなっている状態が好ましくは無い。
「一度街に戻って立て直すのは…」
「「ない!」」
カトラスとミヤは声を揃えて否定した。
俺だって反対だ、プライドがある。
「カイト、俺とミヤはしばらくダンジョンに潜らないぞ」
「リナ、リーシャ、黄昏の本気、見せてあげる」
こいつら本気でダンジョン踏破するつもりだ。
リナとリーシャを入れた連携の予定だったのに…。
いや、2人の本気に着いていけるかどうかを見るには丁度いい、labyrinth以外で本気になることはないからいいかもしれない。
「…着いていけばいい?」
「着いてこれるもんなら…な!」
カトラスが土の壁を下げると同時にミヤが飛び出した。
こうなったら俺でも止められない、諦めよう。
続いてカトラスも走り出す。
「道はどっちだ!?」
「よかったな、一本道だぞ」
あっという間に見えなくなった。
「早く着いていかないと置いてかれるぞ、2人の後ろに狩り残しの敵はいないから安心していいけど本気の2人を援護できるか、やってみな?」
「リーシャお願い!」
「…アクセル」
「魔法強化…アクセリア!!」
魔法の強化も支援できるのか、初めて見るな。
リナとリーシャは2人に追いつこうと駆け出す。
「さてと…であんた誰だ?」
沈黙、誰の返答もない。
「敵意は感じないが見られているのは気分が悪い、話をしようじゃないか」
ずっと後をついてきた何者かはゆっくり姿を現した。
フードを被った何者かの顔は見えないが耳の形、肌の黒さから文献にのっていたダークエルフだろう。
「いつから気が付いていた?」
「あんたがダンジョンに入った時からだな、他の冒険者かと思ったが戦闘の様子もなく完璧に着いてくるもんだからおかしいと思ってな」
「…さすがは勇者の末裔といったところか」
「…なんでそれを知っている?」
それを知っているのはそんなに多くはないはず。
「敵意を向けないでくれ、軽率な発言だったかな」
「軽率だな、あまり知られたくはないんだ」
「そうか、それはすまない」
何者かはフードをとり素顔を現した。
めっっっっちゃ美人。
「ダークエルフは始めてみるか?神秘なる深き森から追放されたエルフは少ないからな」
「そのダークエルフがなんの様だ」
「またすぐに会う事になる、それまでのお楽しみといこうじゃないか」
そういうと姿を消した。
今度は俺でも索敵することができない。
バレる予定はなかったんだろうが、かなりの隠密スキルだ。
「厄介ごとじゃなければなんでもいいけどな」
急いで合流しようとみんなに追いついた時、最奥のエリアのボスまで討伐されていた。
「何してたんだカイト、終わっちまったぞ」
「何してたの」
「まぁ気にするな、2人は追いつけたのか?」
「出来るだけのサポートは出来たと思います」
「私が魔法を使うと2人とも一瞬で下がってくれる、やりやすい」
「2人ともたどたどしかったがよく着いてこれたな、この調子で訓練を積めば戦闘中の応用も効く様になるだろ」
主の戦利品はリナが回収してくれた、道中の敵のドロップは俺が回収した。
ひとまず帰るとするか。
「リナ、脱出だ」
「リコール」
ダンジョンの外まで瞬間移動するとダンジョンが薄くなっていき、消えた。
初めから何もなかったかの様に。
「よーし帰って寝るぞー」
「カイト、夜時間作って、話がある」
「ん、分かった」
帰路で俺はダークエルフのことを少し考えていた。
目的がわからず探すこともできないから八方塞がり状態、それでもやつが去り際に言った言葉、すぐに会う事になるとは…。
今は悩んでも仕方ない、その時が来てから考えるとしよう。
屋敷に戻るとアシュルは大量の魔法具を作って出迎えた。
これじゃ怒るに怒らない。
中には解毒の指輪も人数分あってあって一日遅らせても良かったなと少し後悔した。
口を聞かないのはマヤだけにしよう。




