人と殺り合うその刹那で
Happy Birthday Dear 黒崎スダチ!!
と、いうことで本日1月14日は黒崎スダチ君の誕生日です。主人公のお誕生日、皆様どうかお祝いください。ということで3話の後、15歳の誕生日を迎えたスダチ君の1日の様子をご覧ください。
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7:00のアラームでゆっくりと目を開く。1月の朝は寒く、布団の中からは出たくない。そんな気持ちを抑え、眠いまま起き上がる。自分の長い髪が寝癖でめちゃくちゃになっているのは鏡を見なくても分かる。寮には入ったばかりだから、物はほとんど置いていなくて、部屋は整っている。というか、私物は一切無いのだから当然か。今日はカヅタカによる訓練2日目。入社後の訓練のための訓練って...、というか、幽霊がハンターになるときみたく入社後の訓練はパスでいいんじゃないのかとつくづく思う。歯を磨き、寝癖を直し、一昨日貰った服を着る。普通のワイシャツにスラックス、青紫のネクタイをつけて緑のカーディガンを着た上にフードがついた丈の長い黒のコートを羽織る。準備が終わると、部屋のインターホンがなる。
「おはよう!起きた?朝ごはん食べにいくよ!」
コトノハが部屋まで来て朝食をとりに連れていかれる。昨日と同じだ。ハンターの食堂はいつもコトノハ以上の上層部が飯を食らいつくしているからいつも使えないらしい。だからほとんどのハンターは自炊して生活しているんだって。僕らは歩いて近くのコンビニまでいき、僕は暖かい紅茶とサンドイッチ、コトノハはコーヒーとあんパンを買って店を出た。寮に戻りコトノハもなぜか僕の部屋で買ってきたご飯を食べる。
「自分の部屋使わないの...?」
「えー、だってここの方がきれいだし、ご飯1人で食べるのはなんか嫌じゃん?」
「...、そう。」
これも昨日と同じ。9時からは訓練用施設でカヅタカの特訓をする。
「ハンターってのは基本、霊気の籠った武器を扱いながら、霊気の感覚を覚えて、自分の霊気を増やしながら鍛えていくんだ。でもスダチは体に霊気がすでに大量にあるから、武器の扱いと体術、霊気の操作と技術を重点的に磨いていくぞ。幽器に頼りすぎると霊気を育てても使えなくなるヤツがいっぱいいるからな。」
「武器ね...、あの鎌でよくない?」
「ダメだ!お前が持ってるあの鎌は強力なんだ。簡単に人を殺せるし、幽霊にも有効だろう。だからこそ、扱いを間違えれば危険性はいわずもがななんだぞ!上層部はお前を殺したがっている。殺す手段が無いから生かされているだけで、幽閉ということになっても知らないぞ!...まあ、極秘で俺が鎌を使えるようにする。俺とコトノハ、お前の3人だけの秘密だ。本当に強い幽霊が現れたとき、誰かを守るために使え。」
「...うん、分かった。」
とりあえず刃物の扱いを覚えて、基本技能は時間をかけて覚えていく。入社まであと2ヶ月半。ハンターへの道のりは過酷だ。特訓が終わるとまたコンビニで昼食をとる。お昼はカヅタカとだ。僕はおにぎりに麦茶、カヅタカはフルーツサンド。昨日も同じの食ってたような...。午後はコトノハに勉強を教えてもらう。彼女、生活は雑だけど勉強はめっぽうできるようですごく分かりやすい。僕は小学校レベルの勉強しか分からないから、中学校3年間の勉強を2ヶ月半で詰め込むというのはこれまたキツい。18:00、勉強を終え、風呂に入る。シャワールームはほとんど個室の風呂と変わらない。この長い髪でのシャンプー、トリートメントがなかなか地獄。洗顔とボディーソープもしっかりと済ませ、湯船に浸かる。誰にも邪魔されずゆっくりと風呂に入れるのはなかなか至福の一時だ。少しのぼせてきたので湯船を出て体を拭き、部屋着に着替える。そして朝寝癖を直すときと風呂の後のドライヤーも時間がかかる。
「あっ、お風呂出た。」
外ではコトノハが待っていた。
「ねえ、この髪切らない?長すぎてうっとうしいよ。」
「えー、だってスダチ君顔がかわいいから髪長い方が似合うよー。」
「いや...、かわいいとかじゃなくて、シャンプーとかすごい面倒なんだよこれ。」
「私もおんなじくらいあるから私も面倒なんだよ。我慢しなよー。」
「うん、それはあまり関係ない気がする。もういいや。」
「それじゃ、夜ご飯にしよっか。」
昨日は夕飯は貰った調理器具で簡単に炒飯を作ってみたが、今日は何にしようか。
「行くよ!ついてきて!」
どこに行くのだろうか。歩いていく先は、寮の...、僕の部屋。ドアを開けると当然その先は真っ暗。電気をつけると部屋にカヅタカがいて、手にはクラッカー。そしてクラッカーを鳴らし
「「誕生日おめでとう!」」
前後にいる2人からの声。そういえば、あの紙には僕の生まれた日が1月14日と書いてあった。今日がその日か。部屋にはバルーンでの飾り付けと机にはピザやケーキが並んでいた。
「さあ、私たち2人でご馳走用意したんだよ!食べよ食べよ!」
「どうせお前みたいなヤツは、誕生日とかそんなもん覚えるタチじゃねーだろうからな!どうせならサプライズしてやろうと思って、交代で準備してたんだよ!」
「ちょっと待って!飲み物忘れた!」
「いや、ジュースとかサイダーは俺が用意したからここに...。」
「違うよ!私のお酒持ってこないと!」
「未成年と下戸だからなあ...酒はコイツしか飲まないんだ。」
「ふーん、彼女お酒好きなんだね。」
コトノハは急いで自分の部屋からビールや焼酎、ハイボールなんかの缶を持ってきて、自分の座る椅子の近くに置いた。各々好きなドリンクをグラスに注ぐ。
「そんじゃまあ、スダチの誕生日を祝いまして、乾杯!」
グラス同士が打ち付けられる音を皮切りに、僕ら3人で飯を食らい、飲み物を飲みながら、テレビ接続のできる携帯ゲーム機でスゴロクゲームをする。ロウソクをケーキに刺し、火をつけて、吹いて消す。みんなでケーキを分け、食べる。満腹になりながらもゲームに興じる。結局全員そのまま眠ってしまい、僕が入社するまでの中で、最高の1日が終わった。
っ...、強い!本気で切りにいってもちゃんと受けられるし、反撃までの時間が短くて大技を繰り出そうものならこっちがすぐにやられる!向こうの方が弱いのは助かったな。正直市川は知識があるだけの未経験に等しい。向こうは武器の打ち合いで平気そうだけど...、こっちに集中しないとキツイ!それぞれが片方ずつ片付けないと...!さっさと片付けて向こうに加勢したいっけど!正直こっちは押されてる!回避中心に立ち回りながら攻撃の隙をとらないと、勝てないっ!刀で攻撃を受けつつこちらも攻撃を出さないと!こちらも刀での打ち合いが続くが、終始劣勢なのは僕!コイツ...経験かなんかあるのか!?ただの素人にできる動きじゃないだろ...!相手が大きく振りかぶった一瞬、技が出る前の瞬き1つ分、後ろに跳び距離をとる。
「剣道かなんかやってたんですか?随分と強いですけど。」
「あいにく俺はそんなおたかいスポーツはたしまねえな。ケンカが大好きなだけさ。」
「どうりで肉弾もいけるわけですね。ステゴロもお強い。」
「そりゃ光栄だよ。幽霊を倒した人に褒めてもらえるなんて。そちらこそなかなかやるようで。お前名前は?」
「黒崎スダチ。そっちは?」
「一条カオル。名前、似合ってないだろ?」
「確かに...ねっ!」
今度はこちらから距離を詰める。相手は受けるだけで反撃の余裕は無い。弾いて隙を作りそこに重い一撃を...!
「獲った!」
...と思った瞬間、僕の掌には大きな衝撃が走った。両手に握っていたはずの刀は折られ、使うことは到底できない状態。しかし、なぜ刀は折られたのか。極限の最中スローに見える景色の中、僕の右側には一条の相方の男だった。市川はヤツに負け、少し離れたところで気絶していた。僕にできた大きな隙を逃さず、一条は僕の首筋に刀の背を僕の首に打ち付けた。僕は目の前が真っ暗になる。
「マーキングは貰ったぜ。せいぜいもう一回幽霊見つけな。生き残りたいなら必死で探せ。楽しかったぜ、黒崎スダチ。」
目が覚めると、僕は広場のそばの木にもたれかかって座っており、目の前には市川がいた。
「不合格...、になってしまったんですかね。」
「あまり私を舐めないでよね。あの後目が覚めて、ちょうど近くに雑魚幽霊がいたから、ぶったぎってやったわ。マーキングは私についてる。安心しなさい。」
「時間は...11:55か。間に合ったんですね。」
「あんたの体が軽くて助かったわ。折れた刀は捨てたけど。時間が危なかったから背負って帰ったのよ。感謝しなさい。」
「ありがとう...ございます。本当に。」
良かった。広場まで来れば安全だ。あと5分、待つだけで今日はなんとか突破できる。今広場には、僕たちと、一条とそのペア。あとは3ペアほど。100人程いたはずなのに、今いるのはこの10人。2分程して、2ペアが走って戻ってくる。
ラスト3分で、戻ってきたのは全部で11ペア。正午になった。訓練...、いや、試験終了だ。木々の中から出てきたのは平山ユキオ。持っている紙に何かしたと思ったら、戻ってきていない全てのハンターが少し離れたところに現れた。彼らはどよめきを隠せずにいる。そして平山は僕たちのところへ歩み寄ってきて、合格の旨を伝える紙を渡してきた。全員バスに乗り込み、その中で昼食をとる。高速道路で来た道をそのままたどって帰っていく。隣は不合格になった男。悔しそうな顔がうつむいた外側からも容易に想像できてしまう。支給された1人2つのおにぎりも彼は手をつけていない。僕はおにぎりを食べ終えると、疲労のせいか、いつの間にか窓にもたれ眠っていた。しばらくして目覚める。バスはビル群の中を通っている。もう首都高だ。僕はなぜか、何か不穏な気配を感じ、眠気でもう一度眠りにつこうとしても、気配がそうさせてくれない。眠気も完全に飛び、気配だけが僕の意識を集中させる。その瞬間はあまりにも突然だった。バスの目の前を走る軽自動車が、宙を舞っていた。そしてそこには、巨大な幽霊が道路の幅全てを陣取っていた。まるで...壁に顔がついたような姿。妖怪、ぬりかべだ。引率のハンター達がバスから出て応戦する。しかしヤツの体は硬いようで攻撃がまるでとおっていない。平山が通信機能で他のバスと本部に連絡をとっているようだ。応援を要請して、それまで持ちこたえなければならない。
「誠に申し訳ございませんが、皆様にあのぬりかべと戦っていただきたいです。とにかく一旦バスを降りて、武器を手にとってください。」
急いで移動し、それぞれ槍や刀を構える。合格組数人がハンター達に続き斬りかかるが、刀が砕けてしまった。ハンター達と彼らが衝撃で動けないでいると、ぬりかべが急に跳び上がり、体を前に倒して、彼ら全員を押し潰した。すごい風圧だ。後ろにいた僕たちも、後ろに吹っ飛ばされてしまった。どんどん攻撃していく者達も、伸びる手になぎ払われ道路の外に吹っ飛ばされるか、先ほどのように潰されるか、逃げるかして、様子を見ていた僕、平山、市川、一条の4人だけがそこに残っていた。平山が槍を手に取り、すごい霊気を纏いヤツに襲いかかる。意外にも身のこなしが軽く、攻撃をかわしながら強度の弱い腕を攻撃していく。初めてあの硬いぬりかべに傷がついた。ヒットアンドアウェイを繰り返しながら、ぬりかべにダメージが与えられていく。相手の攻撃にできた隙に、平山が素早く攻撃を当てる。どう見ても優勢に見えるだろうが、僕らはなぜか加勢できずにいた。この状態を見ていて2分がたった頃だろうか。平山の槍が壊れた。ぬりかべはそれを逃さず、腕を振り、平山を吹っ飛ばそうとしたその時、ぬりかべの腕が吹っ飛ばされていた。同時に鳴った大きな音の発生源には、ヘリコプターに乗ったハンターが、ライフルを構えていた。ライフル弾で腕を撃ち抜いたのだ。
氏名:一条カオル
生年月日:2003年8月4日
身長:173.6cm
体重:69kg
好きなもの:ちょっとお下品なネタ
苦手なもの:辛いもの
改めて、スダチ君!誕生日おめでとう!




