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桜色の殺し屋  作者: と近
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第18話  新たな道

その夜の依頼は、大規模なものだった。


ターゲットは、裏社会で絶大な力を持つ組織のボス。組織は二つの派閥に分かれて内部抗争を繰り広げており、私に依頼したのは、その片方の勢力だった。


「奴を始末してくれれば、お望みのものを差し上げよう」


依頼人の言葉に、私は何も答えなかった。私の目的は、ただ一つ。依頼を完遂し、この戦いを終わらせること。そして、この騒動が、私の愛する人々の日常を脅かす前に、完全に消し去ることだった。


ボスの隠れ家は、厳重な警備が敷かれていた。だが、私にとっては、ただの遊び場に過ぎない。


私は、敵の懐に飛び込み、ナイフを振るう。私の桜色のふわふわな髪が、血飛沫を浴びて、さらに鮮やかな色に染まっていく。


敵の銃弾が、私の肩を掠める。


グシュ…!


鈍い痛み。だが、その痛みは、もう私の心を揺さぶらない。私はただ、この戦いを終わらせることだけを考えていた。


敵を倒し、ボスの執務室にたどり着く。そこにいたのは、威厳に満ちた大男。彼は、私の姿を見て、顔を歪ませた。


「お前が…桜色の殺し屋か」


私は、何も言わずに、ナイフを構える。


「馬鹿な。俺を殺して、お前は無事だと思っているのか?」


男は、嘲笑うように言う。私は、彼の言葉に、静かに答えた。


「大丈夫」


私は、男の懐に飛び込み、彼の心臓にナイフを突き立てた。男は、血を噴き出し、その場に崩れ落ちた。


依頼は、完遂された。


私が血まみれの身体で、執務室を出ると、そこに依頼人たちが待っていた。彼らの顔は、驚きと、そして畏怖に満ちていた。


「…お見事だ」


依頼人のリーダーが、震える声で言った。


「これで、お望みのものを…」


私が言葉を待っていると、彼は、私に向かって、ゆっくりと頭を下げた。


「どうか、我々のボスになっていただきたい」


彼の言葉に、私は、耳を疑った。


「我々は、あなたの絶大な力を必要としている。あなたのような力を持つ方が、この組織を支配しなければ、再び内部から崩壊してしまうだろう」


彼らの言葉は、真実だった。この混沌とした裏社会を、絶大な力でねじ伏せ、秩序をもたらす。それは、私の愛する人々の平穏を守るための、最も確実な方法だった。


私は、自分の頭につけている、桜の花の形のヘアピンに触れた。このヘアピンは、私の大切な人たちとの絆の証。


私は、彼らを守るために、戦いを続けてきた。


そして、今、私の前に、新たな道が示された。


「分かった。引き受けよう」


私の短い言葉に、彼らの顔は、安堵と喜びに満ちた。


この場所は、私をさらに狂わせるかもしれない。だが、同時に、私の愛する人々を守るための、最強の盾にもなる。


私は、この終わりのない戦いの舞台で、組織のボスとして、新たな役割を担うことを決意した。

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