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桜色の殺し屋  作者: と近
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第16話  亮のモノローグ/両親のモノローグ

「亮のモノローグ」


真白が目を覚ました時、俺はただ、彼女の手を握ることしかできなかった。


ショッピングモールでの出来事を思い出す。あの瞬間、俺はただの無力な高校生だった。彼女が血まみれになり、ボロボロになりながら、俺とご両親を庇う姿を見て、俺は何もできなかった。


正直、怖かった。


真白が銃弾を浴びて倒れた時、俺の心は砕け散りそうだった。


だけど、彼女は起き上がった。そして、いつものように笑ってくれた。


真白は、俺の知らない場所で、とてつもないものを背負って生きている。彼女は、痛みや血を、生きている証だと笑う。それは、俺には理解できない世界だ。


でも、俺は真白の隣にいる。


俺は、彼女が背負う戦いを止めることはできない。彼女は、俺たちを守るために、戦うことを選んだ。


だから、俺は、真白がいつでも帰ってこられる場所でいよう。


疲れた時、傷ついた時、一人じゃないって思える場所。


それが、俺の役割だ。


---


「両親のモノローグ」


真白が意識を取り戻した時、私たちは、この子を産んで本当によかったと、心からそう思った。


ショッピングモールでの出来事は、あまりにも現実離れしていた。あの愛らしい娘が、私たちを庇って、命がけで戦った。銃弾が彼女の身体を貫くのを見て、私たちは、ただ叫ぶことしかできなかった。


あの時、私たちは、娘がどれだけ危険な場所にいるのかを、ようやく、そして残酷なまでに知った。


同時に、私たちは、真白がどれだけ私たちを愛してくれているのかを知った。


この子は、私たちを守るために、あんなにもボロボロになって…


真白は、「殺し屋」だと言った。


でも、私たちにとって、この子はいつまでも私たちの愛しい娘だ。


彼女の身体にある無数の傷は、私たちの知らないところで彼女が背負ってきた戦いの証。


そして、彼女の心にある、私たちへの深い愛情の証。


もう、彼女の生き方について、あれこれ言うのはやめよう。ただ、彼女が帰ってこられるように、この家を守ろう。そして、彼女が笑ってくれるように、私たちも笑っていよう。


それが、私たちにできる、唯一のことだから。

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