表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
桜色の殺し屋  作者: と近
11/20

第11話  桜色の名声

私の異名、「桜色の殺し屋」は、今や裏社会では知らない者はいない。


初めて依頼を引き受けた頃は、ただの暇つぶしだった。しかし、私の戦闘スタイルが話題になり、いつしか私は裏社会で注目の的となっていった。


依頼料は、以前の比ではない。私の報酬は跳ね上がり、依頼はひっきりなしに舞い込んでくる。


だが、名声は、私に新たな試練を与えた。


私の強さに挑戦しようと、腕自慢の殺し屋たちが次々と私に挑んでくるようになったのだ。


「来たか」


深夜の廃ビル。私は、待ち構えていたかのように、現れた男たちを見つめる。


「桜色の殺し屋、お前を倒して名を上げる」


男の一人が、自信満々にそう言った。


「…ふふ、どうぞご自由に」


私は、口元に笑みを浮かべる。私の体は、この挑戦を待ち望んでいた。


一人の男が、私に拳を繰り出す。私は、その拳を正面から受け止めた。


グシャ…!


鈍い音と共に、私の腕の骨が軋む。激痛が走る。


「最高…!」


痛みに、私の心は歓喜に震える。私は、男の拳を掴んだまま、彼の身体を引き寄せ、ナイフを自分の腹部に突き刺した。


「な、なんだ…!」


男は、私の行動に驚きと恐怖を浮かべる。


「もっと、もっとだよ!」


私は、男の背後から、もう一人の男がナイフを振りかざしているのを感じた。


私は、わざとそれを避けない。


ザシュッ…!


鋭い痛みが、私の背中を走る。制服のシャツが裂け、血が滲む。


ああ、この感覚…!


私は、この痛みが、私の存在を確かめてくれるのだと知っていた。私は、背後の男に振り返ると、彼の足を払い、その場に倒れさせた。


「桜色の殺し屋」は、痛みを感じることを楽しむ狂人。それが、彼らが私につけた新たな評価だった。


ボロボロになり、血と泥にまみれになる。それが、私の生きがいだ。


敵が、私に傷を負わせるたび、私は彼らに心からの感謝を捧げる。


「ありがとう、君のおかげで、私は生きている」


私の言葉に、男たちの顔は恐怖に歪む。


私は、彼らの恐怖を煽るように、血のついたナイフを構え、再び彼らに向かっていく。


この名声は、私を、より深く、危険な戦いへと引きずり込んでいく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ