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目を開いた先に飛び込んできたのは
曇りのない綺麗な金色の髪。黒縁の眼鏡。
羽織っている真っ白な白衣には一点の汚れもない。
「やっと、僕を見てくれましたね。気分はどうですか?天使さま」
赤い唇が弧を描く。
レンズごしに見える青い瞳がまるで獲物を狙うように細められる。
目を閉じている時はこの男がこんな顔をしているとは夢にも思わないだろう。
私の目を隠していた布を左手で遊ばせながら目で私の答えを促す。
「・・・最悪、です」
「それはいけませんね。あなたはこの国を支える大切な方。何かがあってからでは困ります」
後で、腕のいい医者をあなたの部屋に送りますね。
笑顔でそう言うと私の手をひいて色んな機械や薬品が置いてある研究室のなかを歩きだした。
・・・私の部屋とはあの独房のことだろうか。
どこまでもふざけた男だ。
研究室の中にはこの男と同じ白衣を着た人間がたくさんいて誰もが慌ただしく動き回っている。
呑気にしているのはこの男だけだ。
すれ違う人間がこの男に軽く頭を下げて会釈をしているのを見るとそれなりに高い地位の人間なんだろう。
突然男の足が止まった。
釣られて私も一緒に止まる
今日も、この時間がきた。
目の前には沢山の管が巻き付いた大きな白い機械。
機械の裏側には大きなチューブがでており、それが天井を突き抜けて空にまで向いている。
知らないうちに身体が震えていた。
「さあ、ぐずぐずしていたら太陽が昇ってしまう!太陽は月と違って目立ちたがりですからね!でしゃばられる前にいつものように儀式を始めましょう!」
その瞬間、慌ただしく動き回っていたはずの人間、全てが動きを止めた。
男は構わず腕を大きく開き芝居口調に高らかと叫んだ
「今日という1日に!我らに天使のご加護を!!」




