表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/18

第2話 症例記録B:共鳴する皮膚

聖明大学 医学部附属病院 皮膚科

診療録


患者ID:2025-DRM-0341

初診日:2025年4月23日

記載日:2025年4月30日

担当医:皮膚科 講師 桑田 花子


患者情報

28歳 女性 小学校教諭


主訴

「入浴後、皮膚に地図のような模様が現れる」


現病歴

1週間前(4月中旬)より、入浴後に全身の皮膚に奇妙な模様が出現するようになった。模様は約2時間持続し、その後自然に消失する。痒みや痛みなどの自覚症状はない。


模様は日によって異なるが、いずれも複雑な線状パターンを呈し、患者自身は「地形図みたい」と表現。出現部位は体幹部を中心に、四肢にも及ぶ。


既往歴

アトピー性皮膚炎(小児期、現在は寛解)


家族歴

特記事項なし


身体所見

入浴後30分の状態で観察:

・体幹部から四肢にかけて、褐色の線状模様が出現

・模様は血管走行とは無関係

・触診にて、模様に沿って微細な振動(約50-60Hz)を触知

・圧迫により模様は消失せず


検査所見


1.皮膚生検

模様部位より生検施行

・H&E染色:表皮基底層に褐色色素の沈着

・特殊染色:メラニン染色陰性、ヘモジデリン染色陰性

・電子顕微鏡所見

色素粒子が正六角形を基本とした幾何学的配列を形成した。個々の粒子は直径約50nmで、結晶様構造を呈する。既知の生体内色素とは一致せず。


2.サーモグラフィ検査

・模様部分:周囲皮膚より0.5℃低温

・模様出現前後で体温分布に変化あり


3.皮膚インピーダンス測定

・模様部分で電気抵抗の有意な低下

・導電性が通常皮膚の約3倍


4.経時的写真記録

7日間の模様を写真記録。模様は日々変化するが、ある種の連続性を持つ。画像解析により、模様が特定の地理的パターンに類似することが判明。ただし、具体的な地域との一致は確認できず。


診断

原因不明の一過性色素沈着症

物理的要因による皮膚反応の可能性


治療経過

抗ヒスタミン薬、ステロイド外用薬ともに無効。症状は入浴に関連して出現するため、入浴制限を指示するも、患者は「入浴しないと体が重くなる」と訴え、指示に従わず。


考察

既知の皮膚疾患では説明不能な病態。色素の性質、幾何学的配列、物理的特性(振動、温度低下、導電性)すべてが異常。環境要因、特に水質との関連を疑うが、自宅の水質検査では異常なし。


追記(手書き)

患者は「模様が西を指している気がする」と述べる。心理的要因か?

西方との関連性を調査中。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ