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東京の西に関する、いわゆる怪異の断章  作者: 藍沢 理
第8章 歴史の暗部

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第6話 中間報告書 閲覧制限中

国土交通省 関東地方整備局

水資源管理課による小河内貯水池

深層ソナー調査


機密


令和7年度 小河内貯水池深層部調査 中間報告書

国土交通省関東地方整備局 水資源管理課

報告書番号:KT-WR-2025-0517


1.調査背景


近年、小河内貯水池(奥多摩湖)において以下の異常が報告されている:

・特定地点での恒常的な水温低下(周辺より平均8℃低い)

・磁場の局所的な乱れ(コンパス使用不能)

・原因不明の水流発生


これらの原因究明のため、最新の深層ソナーシステムを用いた湖底調査を実施した。


2.調査概要


・実施期間:2025年4月1日~4月30日

・使用機器:マルチビーム音響測深機WASSPS3

・調査深度:湖底下50mまで


3.調査結果


3.1異常構造の発見


湖底座標35°"N 139°"E(機密保持のため下位桁は非表示)において、自然形成とは考えられない空洞構造を確認。


空洞の規模:

・推定直径:約200m(誤差±5m)

・推定深度:湖底より約30m

・形状:ほぼ完全な球形(真球度0.97)

・推定容積:約420万立方メートル


3.2位置関係


この空洞の中心は、旧小河内村の神社跡地と完全に一致(誤差3m以内)。また、民俗学的に「鹿島踊り」が奉納されていた場所とも合致する。


3.3音響異常


ソナー探査中、以下の異常を記録:

・規則的なパルス信号の検出(72回/分、変動幅±2)

・基本周波数:18.5Hz(人間の可聴域下限以下)

・倍音成分:37Hz、55.5Hz、74Hz(すべて基本周波数の整数倍)

・パターン:心拍に酷似(収縮期0.3秒、拡張期0.5秒)

・音圧レベル:水深50mで85dB(異常に強い)


3.4水質異常


空洞直上の水域で以下を確認:

・水温:4.2℃(周辺水域12.1℃)

・溶存酸素量:異常に低い(2.1mg/L)

・電気伝導度:通常の3倍

・未知の有機化合物を微量検出(構造式解析中)


4.考察


自然の地質学的プロセスでは、このような完全な球形空洞は形成されない。人工的な構造物の可能性も検討したが、建設記録は存在しない。


5.今後の対応


詳細調査の必要性を認めるが、潜水調査は現時点で推奨しない。理由は安全性の確保が困難なため。




追記:


このパルス、本当に心音に似ている。湖底に何か巨大な生命体が眠っているとでもいうのか。他の省庁上層部への報告は、もう少し精査してからにしたい。


この件、防衛省の「特殊事象対応部門」と情報共有すべきか?


以上


国土交通省 事務次官 桐野 圭吾


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