第5話 真相究明ドットコム
闇を覗く者
2025/04/30 23:47
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みんな、とんでもないことに気づいてしまった。
関東で起きてる連続失踪、表向きは30人って発表されてるけど、俺が独自に調べた結果、実際は倍以上いる。警察が隠してる。
証拠を挙げよう。
まず、4月の行方不明者届の受理件数。通常、この地域では月平均3〜4件なのに、今年の4月は異常な増加を示してる。俺が各警察署の掲示板の写真を集めて数えたら、67件もあった。
次に、失踪者の共通点。
全員が最後に向かった場所……それは奥多摩湖の周辺なんだ。
ここからが本題。
奥多摩湖は昭和32年に完成した小河内ダムでできた人造湖。これは誰でも知ってる。
でも、建設時の資料を調べてみたら、おかしなことがいっぱいある。
まず、公式発表では945世帯が移転したことになってる。でも、昭和30年の国勢調査のデータと照らし合わせると、実際には1200世帯以上あったはずなんだ。差分の約300世帯の記録が一切ない。まるで最初から存在しなかったみたいに。
さらに、ダム建設中の事故死者数。公式には87人だが、これも嘘だ。
当時の新聞の死亡記事を全部調べた。
・原因不明の溺死:23件
・獣害:18件(しかも奥多摩に熊はいない時期)
・行方不明のまま死亡認定:15件
・転落死:12件(全員が「上を見ていた」という証言)
・その他の不審死:19件
合計すると87人だけど、これ以外に「工事関係者の家族」の死亡記事が異常に多い。しかも死因が不明瞭。
俺、もっと深く調べようと思って、国会図書館にも行ってきた。
小河内ダム建設の詳細な記録を閲覧しようとしたんだが、肝心な部分の資料が全部「紛失」扱い。
特に、昭和31年の「最終測量報告書」と「地質調査追加報告」が丸ごと無い。
でも、運よく見つけた資料がある。
当時の建設省(今の国交省)の内部メモ。そこには恐ろしいことが書いてあった。
「湖底中央部に於いて、説明不能な空洞を確認。深度測定不能。周辺に古代の人工物と思われる石組み。工事続行に支障なきため、記録より削除することとする」
これ、やばくないか?
実は先週、現地調査に行ってきた。
午後2時、晴天なのに湖の周りだけ薄暗い。
水面がずっと波打ってる。風は全くないのに。
湖面の温度を測ったら8度。4月下旬なのに真冬並み。
地元の老人に話を聞こうとしたら「その話はするな」って怒鳴られた。
でも、帰り際にボソッと言われた一言が忘れられない。
「あんたも呼ばれたのか」
その後、俺の身の回りでおかしなことが起き始めた。
・夜中に水道が勝手に出る
・風呂の水が抜いても抜いても減らない
・部屋に藻の匂いが充満する
・夢に鳥居が出てくる
まだ調査は続けるつもりだ。
でも、正直怖くなってきた。
もし俺の更新が止まったら、察してくれ。
そうそう、最後に一つ。
俺が集めた失踪者のリストを解析したら、奇妙なパターンを見つけた。
失踪した順番に、失踪地点を線で結ぶと、ある図形が浮かび上がる。
その図形は、俺が夢で見た「扉」に描かれていた紋章と同じだった。
追記(23:58)
おっと、誰か来たみたい。
玄関のドアをノックする音がする。
こんな時間に誰だ?
チャイムじゃなくて、ノックなのが気味悪い。
リズムが変だ。なんというか、水滴が落ちるような……
[最終更新]
[コメント不可]
[削除済み]
2025/05/01 00:03
このスクリーンショットは削除された「真相究明ドットコム」のもので、最後に投稿された内容です。
なお「真相究明ドットコム」は、現在アクセス不能となっています。
コメント欄
水を知る者
2025/05/01 02:45
おいおいおいおい! それ、一個前の投稿だぞ!
俺はその「真相究明ドットコム」の最後の投稿を見た。
画面いっぱいに同じ文字が繰り返されてた。
「みずうみのそこへかえる」
これが画面いっぱいに書かれてた。その後、アカウントが消えた。
というか、そいつの存在自体が消えた。
過去の投稿も、コメントも、SNSも何もかも。
俺たちは、触れてはいけないものに触れているのかもしれない。あんたも、そんなスクショ拡散しないで、真面目に生きろよ。




