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東京の西に関する、いわゆる怪異の断章  作者: 藍沢 理
第3章 怪異の起こした事件

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第2話 警察の捜査資料 現場の報告書

多摩西警察署 現場検証報告書

文書番号:MW-2025-0428-A

件名:奥多摩湖西岸における異常集積物の発見

作成日:令和7年4月28日

報告者:刑事課 鷹取晋一警部補


1.現場概要

発見日時:令和7年4月28日午前6時15分

発見場所:奥多摩湖西岸(北緯35度44分12秒、東経139度3分48秒)

発見者:早朝ジョギング中の地元住民

天候:晴れ、無風


2.現場状況詳細

湖岸から約10メートルの平地に、失踪者の所持品と思われる物品12点が、直径約3メートルの円形に配置されていた。配置は等間隔で、各物品は小石で四方を固定。意図的な配置と断定。


物品内訳:

・運転免許証3枚(いずれも失踪者のもの)

・腕時計2個(すべて午前2時17分で停止)

・財布4個(現金は手付かず)

・携帯電話3台(バッテリー残量あるも起動せず)


各物品の下に、褪色した白黒写真を確認。写真はすべて同一地域を撮影したもので、昭和30年代の日付印あり。被写体は集落風景。特に、鳥居と思われる構造物が複数の写真に写り込んでいる。


3.異常痕跡について

現場北側の杉の大木(推定樹齢80年以上)に、地上3.2メートルの高さに巨大な引っかき傷を発見。

・傷の本数:4本の平行線

・傷の深さ:最深部8センチメートル

・傷の間隔:各32センチメートル

樹皮を採取し鑑定に回すも、DNA解析の結果は「生物由来ではあるが種の特定不能」。クマ、イノシシ等の既知の大型哺乳類とは爪の間隔、角度ともに一致せず。


4.湖中調査結果

水中捜索班による音波探査を実施。

深度87メートル地点において、直径約40メートル、深さ不明の空洞状地形を確認。

特異事項:

・空洞内部から17ヘルツの超低周波振動を検出

・水温が周囲より8度低い

・濁度が異常に高く、視界ゼロ


ダム建設時の測量図、地質調査報告書を確認するも、該当する地形の記載なし。自然形成された可能性は極めて低い。


5.追加報告事項

潜水班の隊員2名(巡査長・28歳、巡査・25歳)が潜水後に異常を訴え、現在入院加療中。

症状:

・激しい頭痛と耳鳴り

・「水底で赤い光が見えた」との証言

・「女性の歌声が聞こえた」との証言

・両名とも同一の幻覚を体験した可能性


医師の診断では、減圧症の症状と一致せず。精神科医の見解を求める予定。


6.所見

通常の犯罪捜査の範疇を超えた事象の可能性あり。上層部への報告と、専門機関との連携を提案する。


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