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東京の西に関する、いわゆる怪異の断章  作者: 藍沢 理
第3章 怪異の起こした事件

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第1話 警察の捜査資料 失踪届の受理記録

警視庁管内 特異失踪事案一覧(抜粋)

対象期間:令和7年4月3日~4月30日

作成:多摩西警察署 刑事課


受理番号 R7-0403-017

失踪者:榊原浩司(42歳・会社員)

失踪日:4月3日

最終目撃:青梅市沢井、多摩川上流付近

届出人:榊原由美子(妻・38歳)

状況:朝5時頃「水の音を聞きに行く」と言い残し外出。以後連絡途絶。

遺留品:携帯電話(河川敷にて発見)。画面には「みずのそこ」と入力途中のメモ。

特記:前日より「水が呼んでいる」と繰り返し発言。家族は疲労によるものと判断していた。




受理番号 R7-0407-023

失踪者:霧島千鶴(28歳・不動産会社勤務)

失踪日:4月7日

最終目撃:奥多摩町氷川、コンビニエンスストア駐車場

届出人:霧島雅彦(父・61歳)

状況:友人と奥多摩へドライブ中「ちょっと見てくる」と車を降りたまま戻らず。

遺留品:革製手帳(湖岸にて発見)。全ページが水に濡れ、藻が付着。最終ページに判読不能な図形。

特記:友人証言「千鶴は突然『門が開く時間だ』と言った。意味は不明」




受理番号 R7-0411-031

失踪者:黒澤信之(35歳・システムエンジニア)

失踪日:4月11日

最終目撃:檜原村、バス停付近

届出人:黒澤咲子(妻・33歳)

状況:深夜2時、寝室から姿を消す。玄関の鍵は内側から開錠された形跡。

遺留品:なし

特記:失踪前夜、家族に「帰らなければならない」と告げる。妻は冗談と受け取っていた。寝室の窓に濡れた足跡。


受理番号 R7-0415-044

失踪者:水野真理子(31歳・小学校教諭)

失踪日:4月15日

最終目撃:日の出町大久野、山道入口

届出人:水野健司(夫・34歳)

状況:休日に一人でハイキングに出発。予定時刻を過ぎても帰宅せず。

遺留品:自家用車(林道に放置)。車内は激しく水濡れし、座席に大量の藻が繁殖。

特記:同僚証言「最近、授業中に『水の声が聞こえる』とつぶやいていた」




受理番号 R7-0419-052

失踪者:鬼頭洋平(39歳・自営業)

失踪日:4月19日

最終目撃:あきる野市乙津、ガソリンスタンド

届出人:鬼頭静江(母・65歳)

状況:「西に用事がある」とだけ告げて外出。

遺留品:財布とメモ(ガソリンスタンドのトイレ内)。メモには「扉が開く」「七つ目の封印」「社」等の走り書き。

特記:店員証言「顔が青白く、目が虚ろだった。西へ西へと繰り返していた」




※以下、同様の案件が27件。いずれも水に関する異常言動、西部地域での失踪、判読困難な遺留品等の共通項を有する。


担当官所見:通常の失踪事案とは明らかに性質が異なる。薬物使用の形跡なし。集団心理、カルト教団の関与を疑うも、該当する組織は確認できず。遺留品の図形や文字は言語学者に鑑定依頼中。


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