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三蔵島  作者: たま
4/25

到着

「なんで居るのよ…」降りれる島は、他に大きな三宅島と最南端の八丈島がある。

三宅島はホテルが充実してるし八丈島は手付かずの自然がある。

降りるとすれば、いずれかだろう。

なんで三蔵島で下船するのが、淳と優だけなのか…

「それはこっちも一緒!なんで、こんな◯〇◯と!」

言葉にはしなかったが、ババアと聞こえた。

「ガキのくせに〜っ!」淳が優の頭を爪を立ててグシャグシャにする。

「オヤオヤ、仲良しやね〜」他の島は歓迎の囃子などがあるが、三蔵島は民宿のおばあちゃんが迎えに来ただけだ。

「仲良くないです!」淳は鼻を鳴らしておばあちゃんの

後を付いて民宿のおじさんが待つ車に乗り込む。

「お世話になります〜」と乗りながら頭を下げると優も乗ってきた。

「なんでよ?!」淳がにらむ。

「あ〜っ、とうが立った女のヒスとか勘弁やわ!」優はさすが配信者なので言葉を良く知ってる。

が、あまりに的確すぎると自殺行為となる。

狭い車の後部座席で機材でふさがった両手で淳に首を絞められた。

前の助手席のおばあちゃんが微笑みながら見てる。

「本当に仲良しやね〜」

「どこが?!!!」2人同時に答えた。


港から山の方へ向かう手前で車は高台の敷地に入っていった。

「このまま山の中に入ると島の神様『御神さま』が奉られてる御神神社があるんよ。

良かったら、すぐ挨拶行ってきなさい。」車を停めながらおじさんが無愛想にそう言った。

この島は、他の島ほど観光地化が進んでないのは、この島の神様へのリスペクトの高さが障害になってるらしい。

とにかく島民は、何より島神を敬い奉っている。

なのでしきたりも多く観光客も動きを制限される。

おじさんは良かったらと言ったが、これはほぼ強制だとガイドブックにも書いてあった。

まず島に入ったなら、ご挨拶をしないといけないらしい。

民宿の中に入ると1階の海に開けた茶の間が10畳ほどで「ここで夕飯と朝ご飯出すから食べに降りてね。」とおばあちゃんが説明する。

台所を過ぎて裏山の方に向かうとトイレと浴槽があった。

そのまま風呂を突っ切ると木戸の外には岩風呂の露天があった。

「客は、アンタらだけたから良かったら一緒に入って良いよ。」おばあちゃんがイタズラっぽく笑う。

「私達本当に仲悪いですから!」淳が弁解する。

「後から入ってギャーギャー言われたくないから、僕が先に入るで!ええな?」優が面倒くさそうに言う。

「変な垢落とさないで綺麗に使ってよ!」淳が言い返す。

2階に上がると洗面が廊下にあり、そこに鏡もあった。手前の部屋の襖を開ける。

「ここが淳さんの部屋ね。」6畳ほどのこじんまりとした部屋だ。

窓からは大海原が見える。

「わあ〜っ、スゴい風景ですね〜」東京湾みたいなネズミ色じゃない、真っ青な紺碧の大海原だ。

淳は早速荷物を下ろして窓側に寄る。

「隣が優さんの部屋ね。」おばあさんに案内されて優も荷物を置いたようだ。

音が筒抜けだ…

「あの…突き当たりの部屋には変更出来ないんですか?」優の部屋に入ってきて淳が頼む。

「う〜ん、ご夫婦とか家族用だからね〜料金変わるけど?」おばちゃんが首をひねる。

「あっ、はい、分かりました。」淳は諦めた。

それと他の宿と違う点がある。

「あの…部屋に鏡がないんですね。」淳が聞く。

洗面行くまで自分の顔が確認できないのだ。女としては不安だ。

「あっ、ごめんね。この島では部屋に鏡は置いたらダメなのよ。

持ち物に鏡とかあったら、廊下に出しといてね。」

おばちゃんは当たり前みたいに言う。

「どうしてですか?」優がキラキラした目で聞く。

「山の御神様は海へ行かれる時に鏡を通って行かれるのよ。人間が使う道は使わないの。見られることを嫌うから。

だから部屋に鏡があると神様を通せんぼしてしまう事になるのよ。」

おばあちゃんが説明する。

「面白いですね〜それをネットで知らせても良いですか?これから島に訪れる人にも注意喚起になると思うし。」優が熱心に話を聞いて携帯にメモっている。

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