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ep 6 フルダイブの洗礼

今回は短いです。

次の話を早めに書きます。

視界が暗転し一瞬で体にかかっていた重力の方向が変わる感覚の後頭の上から冷却クーラーの作動音が聞こえる。

「あれ?暗いな。」

現実に戻ったはずなのに目が一向に見えない。

立ちくらみとかで目が見えなくなるようなものなのだろうか?それともひょっとしたらこのフルダイブシステムに欠陥があって俺の脳に甚大な被害が?

嫌な想像をしてしまい思わず頭を抱える。

「あーなるほど。」

原因がわかった。俺は瞼を開けていなかったのだ。いや何も俺が目を開けるのすら忘れるような阿呆というわけではない。

俺の意識では目を開けているはずなのに瞼が開いていなかったのだ。

「これがレビューに書いてあったフルダイブぼけってやつか」

フルダイブから現実に戻ってくる時に脳が勘違いして自分の感覚と実際の体がズレる。

原因はゲームの方が脳へ送られる情報量は少なく現実からゲームに戻ってくる時は脳に負荷がかかるとかなんとか。

細かいところはわからんが、日本の法律で販売が許可されている以上、この筐体が人体に致命的な障害を産む可能性は限りなく少ないのだろう。

うまく動かない瞼を手で触って視界を取り戻す。

安心して出ようと思ったが体の方もなんだか上手く動かず、仕方がないのでモゾモゾと這って下の方に進む。


全然出れる気がしないし親父呼ぶか?

いや、とりあえず自分で頑張ろう。


最終的にはなんとか転がり落ちる形でこの筐体から降りる。

「痛っ」

顔面を強打した。

あぁやっぱ現実だな。地面に顔をぶつけたら痛い。


「なんか凄い音したが大丈夫か?」


物音を聞いて親父が奥から出てくる。

結局見られるのなら最初から呼んどけばよかったな。


「一人で立てそうにないので起きるのを手伝ってください」


力も入らず地面に伏せたなんとも情けない姿で親父に頼む。

まぁ結果的に頭が下がってるといえなくもないか。

「おう」

そう言って親父がヒョイと俺を持ち上げる。小柄とはいえ成人男性である俺を容易く持ち上げるのは流石としか言いようがない。

「で、こっからどうすんだ?」

「あー肩貸して」

なんとか親父に肩を支えてもらってしばらく立っていると全身の感覚が戻ってきた。

「なんだってこんなことに?」

「フルダイブぼけってやつだよ。まぁ慣れたら大丈夫でしょ。」

手をグーパーして確認をする。完全に感覚も残った。

「大丈夫ってお前、、、この有様でいうことか?」

階段に躓いて前のめりに倒れ込む俺の腕をぐいっと引っ張ると、そのまま担いで俺の部屋のベッドに投げ捨てる。

「息子の扱いが雑だな」

「大人しく反省してろ成人男性。」

親父はそういうと俺の部屋から出て行った。

..心配させちゃったな。

枕元に転がってたルービックキューブをいじりながらこれからのフルダイブ生活の壁となるフルダイブぼけの対策を考える。


体の不調の原因はやっぱり体格を弄ったことだろう。正直それ以外に思い当たらない。だがフルダイブぼけはせいぜい疲れるってぐらいで体が動かなくなるほど酷くなるっていうのはどの掲示板にも書いてなかった。身長を弄るにしたって別に俺だけが変えたわけじゃないだろう。というかそれ以前に俺はこのゲームを続けるべきなのか?こんな親父に心配かけてまで続けるべきなのか?醍醐味の戦闘すらしちゃいないんだし、勿体ないなぁ。でも問題が起きてんだからそれ以前の話だな。でも夢にまで見たフルダイブでMMORPGでしかも初期環境だぞ。遊びたいなぁ。


未だ揃っていないルービックキューブをポイと投げる。

だめだな。眠くて思考がまとまらない。

仕方ないのでとりあえず寝ることにした。


『雪人の部屋』

フリポートの二階にある。晴一郎とやるゲームはリビングに置いてあるので部屋には雪人の趣味のゲームやプラモデルが置いてある。筐体はこの部屋に詰めたが最後足の踏み場がなくなるので一階の物置だった場所を整理して設置している。


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