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ep 5 散策

戦闘シーンは次回から、、

ごめん無理かも、、

夕日に染まったこれぞファンタジーといわんばかりの中世ヨーロッパの街並み。

景色だけじゃない。音も匂いもここが現実だと錯覚しゲームというよりは異世界転移でもしたような気分になる。

テンプレもここまでくると感動ものだな。


辺りを見渡して状況を確認する。今立っているのは広場?らしき場所だ。ベンチも噴水もランドマークとなるようなものは何一つないがひたすらにだだっ広いこの空間に違和感を覚える。まぁプレイヤーのログインする時の入り口であると考えたら妥当なのかもしれない。


奥の方にはいくつか露店も見えるが人々は慌ただしく看板や品物を畳んでいる最中のようだ。日も暮れ始めているしこれは営業時間が終わったのだろう。冒険開始時点で道具屋も武器屋も閉まってるってのはなんだかなぁ。

まぁこれもソロゲーではなくてMMOなのだから当たり前ではある。

特にこのゲームはVRを活かしたリアリティを売り文句に書いてあったぐらいなのだ。日が暮れて店が開いていないのはテンプレ通りに朝に冒険に出なかった俺の責任だ。


コンソールを出して時間を確認すると19時を示している。昼過ぎに始めたって考えるとなんだかんだでもう5時間ほど経っていることになるな。夕飯もあるしちょっと見てまわったら一回抜けるか。


とはいえちょっと見ると言ってもどこから見ようか?

…よし、とりあえず高い所行こう!

ちょうどここから奥の方に塔のようなものが見えるのでそれを当面の目標に体の操作感の確認も兼ねて小走りで塔に向かう。


さぁここで問題!不揃いな石畳を初期装備のブーツで走るとどうなるでしょうか。


正解は靴が引っかかってすっ転ぶでした‼︎

「ヘブッ」

俺は頭から石畳に突っ込んだ。

痛い気がするがそれは気のせいだ。

間違いなく今のはリアルだったら痛いじゃ済まなかった。慣れない体で咄嗟に手も出なかったのも悪かったな。

HPを見ると15/20。最大HPの1/4もと言うべきかこれで済んだと言うべきか、記念すべき初被ダメージはモンスターでもなく石畳に持って行かれた。無被弾でどこまで行けるかとかちょっと考えてたのに。無念。

スニーカと言う文明の力に頼って歩行する現代人にはちとこのブーツは難易度が高かったぜ。


幸いこの時間で人通りは少ない。俺の失態を見てる奴がいなかっただけマシって..

「「・・・」」

待て。そこの全身鎧、顔を背けるな。

「ようこそ。ここはレミー通りだよ」

「なぁんだ、ただのNPCかぁ」

上にはFogFogと書かれたプレイヤーネームが浮かんでいる。

「んな訳あるか!」

「あはははははwいやーすごい転びっぷりだったな。」

腹を抱えて笑っているので干渉した鎧の擦れる音が鳴っている。

「革製のブーツってのが難敵でね。」

なんとか冷静なキャラを保とうとニヒルな笑みを意識して片足を上げてブラブラと揺らす。

するとサイズがあってないのか簡単にずり落ちる。

締まらん。

「あー分かるなぁ」

全身金属鎧マンは履いている金属製のレガースをコツコツと叩く。サイズがあってるのか全くぶれない。

いいなぁそれ。

「それいくらで買えるんです?」

「ん?あぁこれ? 貰い物だから値段はついてないけど買ったら高いと思う。あんた見たところ初心者だろう?」

「バレましたか」

「まぁ初期装備だし..」

この布の服防御力皆無っぽいもんなぁそりゃみんな着替えるか

「最初のお金で装備でも買おうかと思うんだけどいいお店ってありますかね?」

「うーん日が暮れた時点で大体の住民がやってる鍛冶屋は閉まっちゃうからなぁ。

今からだと外の草原でプレイヤーがやってる出張鍛冶場ぐらいかな」

今の目的は街の散策な訳だし街中にないなら今はいいか。

「じゃあせめて靴だけでもなんとかならないですかね?」

「ああそれなら俺にいい考えがある」


FogFogさんの指示に従って靴を脱いでアイテム欄に放り込む。なるほど?ここからは?装備恵んでくれちゃったりする感じ?いやー悪いなぁ。えっ終わり?

「靴っていうか裸足じゃねぇか」

「そう これがβテスト開始当時からの初心者の伝統スタイルだよ」

伝統ってβテスト始まってからまだ1週間だろうに。

「ほらこの世界って痛覚だけは鈍いだろ?別に裸足でも痛いとかはないはずだよ。」

軽く走ってみる。

現代人として外を裸足で走るのは慣れんがさっきよりはだいぶ走りやすい。

「確かに楽になった。ありがとう。」

「感謝されるような事でもないさ。でもそうだな。俺は物売りをやってるからよかったら今度来てくれよ。」

FogFogは手を振って俺がさっきいた市場の方へ歩いていく。

「気を取り直して目指すか。」

軽くその場でステップを踏み足の感覚を掴む。

さっきは靴の問題でできなかったが靴を脱いだ今は今度は走ることも可能だ。というわけでちょっとずつペースを上げて走ってみる。

まずは小走りで。夕方の少しひんやりとした感じが走っていて気持ちよい。

次に走ってみる。裸足の感覚は違和感こそあれど痛みはないので慣れたらむしろ走りやすいかもしれない。

最終的にはフォームなんて知らんとばかりにただ早く足を回して走る。ここはゲームで走るという動作につきまとう息苦しさも足の疲れもない。自分のトップスピードをずっと出し続けられる快感はランナーズハイとかの脳内麻薬由来ではなく自らの動作に枷がないという精神的な快感でとても気持ちいい。

「まだだ、もっと早く走れる、体力をセーブする必要なんてない。」

なんて言葉を口に出しながら脳の違和感を理性で掻き消す。身体的制約から自由になったこのゲーム内だからこそ普段なら絶対に感じることのない体のリミッターというものを感じる。これ以上は無理か。と言っても自転車で走るくらいのスピードは出ている。

疲れない全力疾走ってこんなにも楽しいんだな。

あっという間に目指していた塔についた。

30mぐらいだろうか?だいぶでかい。

規制線があるわけでも門番もいるわけではないのでそのまま塔の中に入り螺旋階段を登っていく。

所々小さめの窓から入る光だけで中はずっと薄暗い。幸い掃除は行き届いているようで階段がヌメヌメしたりするわけではないのが幸いだ。今裸足だしな。

「よかった。完全に日が暮れる前には間に合った。」

ようやくてっぺんまで登り終えるとこの街の景色がよく見える。さっきの人が言ってた草原ってのはあれか。どうやらこの街は森と草原の境にあるらしい。暗いし望遠鏡の一つもないのであんまり遠くは見えないのでこれ以上はわからん。

だがここからなら街の施設もいくつか見える。

教会っぽい所となんか豪邸で領主の館っぽい所、さっきいた広場にあとは冒険者ギルドって感じの所だな。

屋根に竜の頭蓋骨らしきものをつけて武器持った奴らが続々出入りしてる建物なんてのは十中八九冒険者ギルドと見て間違い無いだろう。


「とりあえずここいらで落ちるか」

俺はまたウィンドウを開きゲームを終了を押す。するとゲーム終了についての説明が出てきた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

終了するとその場にトークンが置かれ、トークンが破壊されると所持金の一部とアイテム欄のアイテムがその場に置かれ最後にセーブしたリスポーン地点から復活します。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

まぁ今失うのなんてさっきアイテム欄に放り込んだ皮製のブーツくらいだ。無くしても困らん。

俺はゲームを終了した。

『冒険都市ルルーリ』

いわゆる最初の街で付近のモンスターも弱い。

βテストで入れる唯一の街で教会・各種ギルド・役所・市場になどがありプレイヤーを中心とした経済が構築されている。歴史は浅く最近作られた。行商人が言うにはNPCの冒険者はいるがプレイヤーたちほど活発に活動はしないので一応この世界初の冒険都市らしい。

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