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ep 2 家に筐体が来た!

これからは後書きに設定を垂れ流していきます。

読まなくても本文に問題はありません。

遂にこの日がやってきた。

そう。我が家にフルダイブシステムの筐体が来る日だ。


週に一度の休業日の午前中、俺たち親子の喫茶店「フリーポート」の前にトラックが止まる。

スーツを着た業者の人が車から降りてくる。

「柏木様で間違いないでしょうか?」

俺は間違いないと答え、出された紙に印鑑を押す。

筐体を置く位置の確認などを済ませると宅配業者が使う大きな多目的輸送ロボットが3体がかりでトラックから降ろす。

「でけぇ」

思わず声が出る。仕方ないだろ 見てみろよ。縦2m横1m厚さ0.8m重さ200kg

この圧巻のデカさ!

うちの業務用冷蔵庫に迫る大きさだ。

「うぉーでっけぇ。」

隣の筋肉髭男も驚いている。親父も見てるならその日常生活には過剰な筋肉を活かして輸送ロボットを手伝ってきたらいいのにと思う。

俺も手伝えって?ご冗談を。親父からゲーム好きは遺伝したが、筋肉は遺伝しなかったため俺は一般体型だ。たいして力にはなれない。

「コーヒー淹れるか」

親父がカウンターに向かう。

そうだけどそうじゃない。


「すいません柏木さん」

搬入をしている業者の人に呼ばれた。

コーヒーは親父に任せよう。

「縦向きでお願いします」

詳しく置く場所を指定して運送用の緩衝材などを剥がしていく。

その後、管理上の注意や保障内容、問題があった際の連絡先などを業者の人から受け取った。

この筐体は人間の脳に干渉するような超精密機械。現代の最新技術を駆使して作られているものであるためメンテナンスも最低限年1で行う必要があるとのこと。

メンテナンス代は最初の3年間は無料でそこからは1回1万円程度。決して安くはないがそれ含めて軍資金は貯蓄してあった。問題はない。

そんな事務的な説明の最中

「…それと今このゲーム機を持ってる人に配らせてもらってるんですけど」

よくあるファンタジーなイラストが描かれた紙を一枚渡してきた。

そこには大きな字で書かれていた

『新型RPGβテスト実施中』と。

「何これkwsk」

あまりの衝撃で社会人としての礼儀も全て吹っ飛んだ。業者の人は少し口角を上げて語り出す。

「お目が高い。これは弊社の開発した筐体で遊べる新時代のゲームです。オープンワールド・マルチプレイではない完全なMMO、我々が抱いたゲームへの憧れを全てこれに注ぎました。」

フルダイブでオープンワールドだと、、そんなのまだ何年も先の話だと思っていたのに。

すごい、すごすぎるぞ。

俺は速攻でそのβテストに参加登録手続き用紙を書き込んだ。

その後も筐体の説明が続き、最後に何かあった時の連絡先として名刺をもらった。

斯くして喫茶店のある一階の空き部屋に俺の筐体は設置された。


______________________________________


「これが俺のVR生活の第一歩。」

筐体を置いたのは喫茶店の奥。元々物置として使っていた部屋を片付けてゲーム部屋にした。それほど大きな部屋ではなかったがこの筐体だけで部屋の1/2を占めている。デカさもさることながら塗装はメタリックなシルバーでシャープなフォルム。まるでSFの世界から飛び出てきたようなオーパーツ感。見ているだけで口元がニヤけてくる。

「いいなー 羨ましいなー」

後ろから声がする。いたのか親父。

「それで当店の副店長殿は今日からゲーム三昧ですかな?」

なんだよその口調。少し考えたが上手い返しが思いつかないので真面目に返す。

「これでも社会人の端くれだ。生活に支障きたす前にセーブするさ。第一これがくる前から俺も親父もゲーム三昧だっただろうに。」

親父はフッと鼻を鳴らす。

「で、本音は?」

「新しいゲーム試したいので明日から丸3日程休みをください。」

仕方ないだろ夢のフルダイブゲームなんだから。俺は社会人である前に一人のゲーマーでありたい。


お互い向き直る。ここからは交渉だ。

「うちは個人経営だ。営業に余裕がないことはお前が知ってるだろう?」

いきなり痛いところを突いてくる。

確かにうちの店は基本二人で回している。

そのため俺が一人抜ければ自然と親父のワンオペが決定する。無茶だな。

「時雨を呼ぼう」

俺は今ちょうど大学の夏休み中で暇してるであろう従姉妹の名をあげる。今まで何度か手伝ってもらったこともある。彼女が来ればなんとかなるだろう。

「昨日聞いたが来れないとさ。雷太なら来れるとも言っていた」

雷太は時雨の弟で今は確か高校生だったはず。

人手は揃うが2人とも料理ができないのだ。サンドウィッチなどならまだしもランチセットは難しいだろう。

無理して保健所騒ぎになられても困るし朝と夕方はまだしも昼の営業は俺抜きというわけにはいかないか。

「ランチタイムの営業を3日間無しにする」

「明日からは無理だ。1週間後からならまだしも急に明日からとなるとお客さんに迷惑をかける」

確かに。常連さんに迷惑かけるのは嫌だな。

「詰みか」

「おう」

この話をする前から親父はこの状況が分かってる筈だ。じゃあ問題なのは親父は何の為にわざわざこの話を持ちかけたかってことだ。

「何が目的だよ」

両手を上げ降参する。

「俺がなんとかする。3日間ゲームを全力で楽しんでこい。 あと『貸し』一つだ」

親父はそう言って部屋から出て行った。

『貸し』か。


後顧の憂はあれど俺はなんとか3日間のゲーム時間を手に入れた。


そんな時、先ほど手に入れた電話番号から電話がかかってくる。


えっβテストの登録が通って今から始めれるんですか!?


ヒャッホウ 今日からゲーム三昧だ!



『喫茶店 フリーポート』

主人公柏木雪人とその父柏木晴一郎が営む喫茶店

市内のオフィス街にありコーヒーが絶品。

晴一郎の趣味全開の内装をしていてガン○ラとかが飾られている。

客の男女比は9:1ぐらいで街のオタク達の憩いの場としての確固たる地位を気づいている。

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