83.ボスウォーターコッコ
俺らは南の森に向かっている。
メンバーは、俺とニーナとカシムとゴーレ、
フリードとノコとシモンとキリーとグーちゃんだ。
「2人とも、気合入れていくよ!」
「「はい!」」
「今回はノコがボスウォーターコッコを引きつけて、グーちゃんがウォーターコッコの攻撃から2人を守る。俺らは本当に危なくならない限り手を出さないから」
「「はい!」」
「2人みたいに遠距離攻撃する人も敵に近づかれることも多い。だから、避けるなり反撃するなりするように。怪我する可能性もあるから、怪我したらニーナがすぐ治す」
「「はい!」」
「俺が終わりというまで、戦い続けること!」
「はい!!」
2人への気合入れも終わり、馬車はそろそろ南の森に到着する。
▽ ▽ ▽
ウォーターコッコはまた増えていた。
ボスウォーターコッコもしっかりいた。
しかも2羽になっている。
卵から生まれたのはボスウォーターコッコじゃないのか?
「え?まじ?2羽いるんだけど。ノコ、いける?」
ジジジジジジ!
「できるみたいだな。頼んだノコ」
そういうと、ノコが飛んでいった。
ノコを追いかけてボスウォーターコッコが2羽追いかけて行った。
「よし。ニーナとカシム、戦闘開始だ!」
「「はい!」」
2人とグーちゃんはウォーターコッコの群れに向かって行った。
シュッシュッ!
カシムがウォーターコッコに矢を当てる。
その瞬間、近くにいるウォーターコッコが全員カシムに向かっていく。
「グーちゃん!お願い」
グォーグオオオオオオ!!
ウォーターコッコに『威圧』をする。
中立状態なら逃げられていたが、興奮状態のウォーターコッコはグーちゃんに標的を変えて向かって行った。
「エアロボール!」「ストーンボール!」
風の球と石の塊がウォーターコッコに当たる。
「攻撃したら場所を変える!2人の師匠はそんなことも教えてくれてないのか!!!」
「「すみません!!」」
シュッシュッシュッ!
カシムは矢を放ち、位置を変える。
グーちゃんは石拳で近くのウォーターコッコを殴り殺す。
グオオオオオオ!!
ウォーターコッコの攻撃力じゃ、グーちゃんに傷をつけることができないようだ。
グーちゃんの脇を数羽のウォーターコッコが抜けていき、カシムを襲う。
「エアロボール!エアロボール」
2羽を吹き飛ばすが、数羽の攻撃を受けるカシム。
「くっ!」
「ストーンボール!ストーンボール!ストーンボール!グーちゃん、もう一回お願い」
グオオオオオオ!!
グーちゃんはまた『威圧』をした。
「ニーナ!カシムが怪我したこと見えないのか?それとも回復とフォローの仕方がわからないのか?」
「すみません!メディックツリー!」
手のひらから葉っぱが飛び、カシムの身体からに巻かれた。
「ごめんニーナ。次は声かけるから」
「私もごめん。フォローできなかった」
周りのウォーターコッコは増えている。
「ちょっと引いて、賭博師の弓を使う」
「わかった!ストーンボール!」
カシムは距離をとって賭博師の弓を引く。
シュッシュッシュッ!
3射目がウォーターコッコに当たり爆発した。
シュッシュッシュッ!
2射目がウォーターコッコを貫通し、3羽後ろまで矢が貫いた。
少しずつウォーターコッコは減るが、増える量の方が多い。
1時間ほど経ったが、量は多いままだった。
「おい!疲れたんなら!回復するんじゃないのか?」
「カシム!ニーナの方にフォローはしないのか?」
「ニーナ!ストーンボールの命中率落ちてるぞ!集中しろ!」
「カシム!エクストラスキルを外すために射ってるのか?」
俺の怒号が響いている。
今日は特別厳しく言っている。
「そろそろ俺達の手伝いが必要か?」
「「いらないです!」」
2人は本当偉い。
2人の頑張りは心の底から尊敬する。
だからもっと厳しくいこう。
シュッシュッ!
1射目の矢が丸太ほどのサイズになり、大量のウォーターコッコが吹っ飛んでいく。
「カシム!体力は平気?」
「まだ大丈夫。ありがとう!」
2人はしっかりコミュニケーションを取って戦えている。
「カシム!近距離弱すぎないか?弓の練習は頑張ってたみたいだけど、近距離が強い敵と戦う想定してないのか?」
「ニーナ!攻撃方法が少ないなら工夫して戦え!」
また1時間ほど経った。
「エアロボール!エアロボール!エアロボール!」
矢を回収する体力も無くなったカシムは魔法で戦っている。
「メディックツリー!メディックツリー!」
自分の後ろにメディックツリーを召喚して自分を回復しつつ、葉を飛ばしカシムの回復をするニーナ。
2人とも限界が来ていた。
「そろそろ手を出そうか?」
「「ま、まだやれる」」
「グーちゃん、周りの木を倒して!」
グォー!
グーちゃんが周りの木を倒し始めた。
「ありがとうグーちゃん!ファイアボール!」
ファイアボールが当たったウォーターコッコから近くのウォーターコッコに燃え移る。
燃え広がらないように、周りの木を排除したようだ。
「ニーナ!その判断はいいぞ!」
「シモンとゴーレ。矢をこっそり回収して、カシムの近くに刺しておいて」
チチチチ!
「承知しました」
シモンとゴーレのおかげで、だいぶウォーターコッコが減っていった。
あと15羽ほどだ。
2人の魔法の威力もだいぶ上がっている。
ジジジジジジ!
「ノコ、囮ありがとう。ボスはもう遠くに行ったのかな?」
ジジジ!
「よし、そろそろ終了させるか」
「みんな、残党を倒す準備しといて」
コーーーー!
終了させようと思った矢先、
ボスウォーターコッコが1羽現れた。
「あれ?遠くに連れて行ったはずだけど?」
ジジジジジジ?
「多分ですが、さっきの2羽とは別個体だと思われます」
「なるほど。俺らでやっちゃうか!」
ボスウォーターコッコと戦おうとしていると、2人が叫ぶ。
「師匠!!俺達がやる!」
「まだ手を出さないで!」
まさかの提案だった。
「わかった。危なくなったら助けるからね。あとこれ飲んで頑張って!」
ポーション(低級)を2人に投げた。
2人はそれを飲んだ。
「「はい!!」」
ニーナはグーちゃんに指示を出す。
「グーちゃん!お願い!」
グォーグオオオオオオオオオ!
ボスウォーターコッコがグーちゃんに攻撃を仕掛ける。
流石に上位種だ、グーちゃんにダメージが少し入っているようだ。
コー!
ボスウォーターコッコの頭上に水の矢が4つ現れた。
コー!
矢がグーちゃんに当たる。
グオオ!
「ニーナ!俺が戦闘にいないとき、誰が指示出すんだ?」
「わたしが出します!カシム、相手は魔法を使ってくるから距離を取って、グーちゃんが押さえてる時にできるだけ攻撃をして!」
「わかった!」
「メディックツリー!グーちゃん!回復するね」
グォー!
シュッシュッシュッ
カシムの矢が当たる。3射目が爆発した。
ボスウォーターコッコは矢が飛んできた方向を見るが、すでにそこにカシムはいなかった。
「ストーンボール!ストーンボール!ファイアボール!」
全弾命中する。
羽に火が燃え移るが、ウォーターコッコは水魔法で火をすぐに消した。
「グーちゃん今!」
グーちゃんが石拳でボスウォーターコッコを殴った。
シュッシュッシュッ!
矢が当たっていく。
3射目の矢が貫通する。
ボスウォーターコッコがふらつき、その隙にグーちゃんが石拳を叩きつけた。
ボスウォーターコッコは倒れた。
「よっしゃーーー!」「やったーー!」
そう叫ぶと、2人は緊張の糸が途切れたのか倒れてしまった。




