68.商人ギルドマスター
俺はA1部屋の豪華な椅子に座った。
目の前には、ギルドマスターとグリモスとアイザックさんという人が座っている。
「フォフォフォ!じゃあ、話を聞かせてもらおうか」
「先ほど廊下でも話しましたが、この野菜を売りに来ました」
バッグから野菜をとりだした。
「食べます?」
「いただこう!」
「私もいただきます」
ギルドマスターとアイザックがトマトをかじった。
「んーーーー!うまい!うまいぞ」
「ほんとですね。これなら私が仕入れに行きたいです」
「この野菜を木箱15個分持ってきています。年間10回ほど収穫が可能です」
ギルドマスターはグリモスに怒鳴り始めた。
「グリモス!売り物を食べもせずに、仕入れに行けないなんて言うんではない。食べたらわかるぞ、この野菜のすごさが!」
「グリモスさんは食べましたよ。食べた後に仕入れに行かないときっちり断られました」
「おまえは!何やっているんだ!!ライルさん、ぜひ商人ギルドにこの野菜を売ってはくれないか?」
「本当に申し訳ないのですが、僕が商人ギルドに売ることはないです。グリモスさんが僕の担当みたいなので、信頼できない人と商売はできません」
「それならライルさんの野菜以外の商品を見せてもらえるかね?」
「売る気がないので、見せたくないのですが」
「そうじゃな、そしたらギルドマスターの権限でライルさんの担当はアイザックにしよう。」
「私も担当できるなら担当したいです。この野菜だけでも30日に1回は仕入れに行きたいですね」
「どうだい?ライルさん」
「アイザックさんも正直信用できません。ですが本当に仕入れに来てもらえるのであれば、嬉しいです。うちの野菜を褒めてくださった御礼に商品は見せます。だがまだ売るつもりはないです」
俺は入り口と逆のドアをあけ、馬車の元にいった。
「ゴーレ、父さん。商品をもってきて」
「わかった」
「了解致しました」
2人が商品を運び込んでくれた。
「ライルさん。そちらのお二人は?」
「野菜を作っている父とゴーレムのゴーレです」
「ゴーレム!?!?!?」
「畑にはあと4体ゴーレムがいます。ゴーレムと父で畑をやっています」
「ほーー」
ギルドマスターとアイザックさんは感心したような表情をしている。
「まず売ろうとしていたものの目録を読み上げます。ゴーレお願い」
野菜15箱
シモン布白(2m×50m) 20ロール
シモン布黒(2m×50m) 55ロール
シモン糸白(30m) 80個
シモン糸黒(30m)150個
シモンキリーの服 上50着 下40着
エルフの弓(低級)
ホーンラビットの革(低品質) 25個
ホーンラビットの革(中品質) 114個
ホーンラビットの革(高品質) 64個
リトルデビルラビットの革(低品質) 21個
リトルデビルラビットの革(中品質) 82個
リトルデビルラビットの革(高品質) 53個
ロングホーンラビットの革(中品質) 36個
ロングホーンラビットの革(高品質) 85個
デビルラビットの革(中品質) 30個
デビルラビットの革(高品質) 83個
ストロングボアの革(高品質) 4個
鉄の剣(低級) 5本
鉄の大剣(低級) 3本
鉄の槍(低級) 5本
木の杖(低級) 1本
鉄の鎧(低級) 2本
「シモン布と糸とは、僕がテイムしているホワイトクロススパイダーとクロススパイダーが作ってくれたものです。
革は鞣し作業をしてませんが、特別な加工をしてるので腐敗することはありません。武器は街に来る途中で、討伐した盗賊のアジトにあったものです」
商品の説明が終わり、ギルドマスターの見ていると顔がどんどん赤くなっていく。
「グリモス!!!お前というやつは!なんでこんな素晴らしい商品を持つライルさんに失礼なことをしたんだ!!売りに来た人間になんて態度を取ったんだ!お前はクビだ!クビ!お前のせいで商人ギルドはライルさんからの信頼は無くなったんだぞ!ばかもん!!」
ギルドマスターはものすごい勢いで怒鳴っていた。
「落ち着いてください。グリモスさんをクビでなくても、人と関わるところに配置しない方がいいと思いますけど」
「ライルさん本当に申し訳ない。こいつにはなんらか処罰を与えよう」
「わかりました」
「ライルさん。他の商品をよく見せてもらっていいかな?」
「構いませんよ。ギルドマスター、さん付けではなく呼び捨てかせめてくん付けにしてください」
「ではライルくんにしようかの」
ギルドマスターとアイザックさんが商品をマジマジと見始めた。
商品を手に取り2人で何か話している。
「ライルさん!この商品を売っていただくことはできないでしょうか!」
「正直にいうと、グリモスさんがいる団体は信じられません。ですが先ほどアイザックさんが担当になりたいとおっしゃってくれたので、条件付きなら構わないと思っております」
「条件とは?」
「まず、グリモスさんの処罰を明確にしてください。先ほど言ったようにクビまでは求めていませんが、僕のような商人になりたい人間が同じような目にあってほしくありません。そして30日に1回、村に仕入れにと日用品の販売に来て欲しいです。その2つです」
「ギルドマスターこの条件で私が受けたいのですがよろしいでしょうか?」
「かまわん。むしろそうしてくれ。条件の1つはわしがやらんとな。グリモス!1年間の減給及び、事務員に異動だ!」
「そんなギルドマスター!反省しております!」
「だまれ!!おまえのせいで商人ギルドの評判が落ちるところだったんだぞ!ライルくんが持ってきた商品はどれも素晴らしいものだぞ!馬鹿者が!ちょっとついてこい!」
ギルドマスターはグリモスを連れて出て行こうとした。
ギルドマスターは立ち止まり、俺に
「本当に申し訳なかった。このような奴がいるのは薄々気づいていたが、ここまでひどいとは思ってもいなかった。申し訳ない」
「謝罪は受け取ります。今後このようなことがないようにお願いしますね」
「わかった。約束しよう」
そういうと、ギルドマスターはグリモスをつれて部屋から出て行った。
「ではライルさん、私が担当として対応いたします。商人ギルドにゴールドランクの登録でよろしいですか?」
「はい」
「先ほども記入していただいたと思うのですが、再度お願いします」
○名前
ライル商会
○場所
ヤルク村
○業務内容
野菜などの販売
飲食店(建築予定)
服・布・糸の店舗販売(建築予定)
モンスター素材の販売
○販売物
野菜・果物・薬草・布・糸・服・モンスターの素材
「ありがとうございます。年会費は5年分でよろしかったですか?」
「はい。金貨5枚です」
「ありがとうございます」
「商品の販売はしていただけますか?」
「よろしくお願いします」
「では査定をしますので、荷物をこの部屋にお願いできますか?」
「わかりました」
父さんとゴーレと荷物を運んだ。
「査定にお時間いただくので少しお待ちください」
▽ ▽ ▽
「お待たせいたしました。大金貨8枚金貨6枚大銀貨8枚になります」
「へ?」
想像より多かった。まさかだった。
「こちらは真っ当な値段ですので安心してください」
「思ったより多くて。まさかでした」
「野菜も当然のこと、布と糸と服は貴族や他の商会にも売れる品物です。モンスターの素材も量も凄かったですが、処理が素晴らしすぎました」
「ありがとうございます。こちらの金額でお願いします」
「こんな素晴らしい物を作れる村を見てみたいですねー」
「そういってもらえるとうれしいです。仕入前でもいいのでぜひいらっしゃって下さい。」
「いいんですか?視察としていきます」
「是非。あ!大金貨を1枚分紙を購入することはできますか?」
「高級品ですが、大金貨1枚分となると大量ですよ?それにご用意に少しお時間が」
「視察の時に持ってきてください」
「わかりました。大金貨1枚お預かりします。では、これからもよろしくお願いいたします」
「お願いします。アイザックさん」
アイザックさんと別れて、宿に戻った。




