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60.ニーナとカシムの成長

ニーナとカシムはゴブリン2体と戦っていた。

前衛はヒューズさんが担当している。


シュッ

カシムが矢を放つと、ゴブリンが1体倒れる。

「よし!」

「気を抜くな、まだいるだろ!」

「はい!!」


カシムにはエクストラスキルを禁止させているので、技量だけでゴブリンを倒せたのが嬉しかったのだろう。

その甘えをヒューズさんはしっかり注意した。

良い師匠だ。


「アクアボール!」

水の玉がゴブリンに当たるが、ダメージはそれほどないようだ。

「ニーナ!アクアボールを維持したまま、ゴブリンの鼻と口をアクアボールで押さえてみて」

「うん。アクアボール!」


アクアボールはゴブリンにゆっくり近づき顔に当たった。

アクアボールは弾けることなくゴブリンから酸素を奪っていく。

少しするとゴブリンが倒れた。

「ニーナ!これを使ってトドメを」

バッグから鉄のナイフを出してニーナに渡す。

「う、うん」

ニーナは倒れたゴブリンに近寄り、ナイフをゴブリンの頭に刺した。

ゴブリンは叫ぶことなく死んだ。


「よし。2人ともお疲れ様」

「ニーナとカシムはゴブリンから魔石をとること。今回は討伐証明の耳は剥がなくていいからな」

「「はい!」」


しっかり授業の成果が出ていて少し感動してしまった。

「とりました!師匠!ヒューズ師匠!」

「と、とりました!」

ニーナは少し手間取っていたが、ちゃんととれたみたいだ。


「よし、その魔石は2人の初めての討伐記念に取っておきなさい」

「初めての討伐!」

「モンスターを初めて倒せた」

喜んでいる2人にヒューズさんが何かを言いかけようとしていたが、ニーナが口を開いた。

「でもカシムくんと私2人じゃ倒せなかったね」

「そうだな、前衛がいない場合はすぐ逃げないと大変になりそうだな」

2人が優秀すぎて俺は泣きそうだった。

ヒューズさんも感心している。



▽ ▽ ▽



今日はいつもの場所ではなく村からカラッカの街方面に馬車で行き、ちょっと森に入ったところにいた。

人数が多いことと2人が初の討伐っていうことでそういうことになった。


メンバーは

ニーナ・カシム・ヒューズさん・フリード・ゴーレ・ノコ


「そしたら、もうちょっと森を探索しましょう」

少し歩くと、スライム3匹とゴブリン3体がいた。

まだ俺達には気づいていないようだ。


「カシム、エクストラスキルを使って、気づかれないようにゴブリンを倒して」

「ヒューズさんとゴーレは矢を放ったと同時に前衛で攻撃はせず防御のみで。ニーナとカシムは場所を移動して遠距離から攻撃。ノコとフリードは周囲警戒。よし!やろう!」


カシムがクレッセントショットを放った。

ヒューズさんとゴーレが前に出る。

クレッセントショットがゴブリンの足元に刺さる。

すでに移動を始めてるカシムは外したことに悔しがっているが、すぐに矢をスライムに放った。

矢が燃え、燃えた矢がスライムに刺さり、スライムは溶けていった。

「賭博師の矢の効果か?すごいな。上ブレだけならいいけど」

ニーナはアクアボールを出し、さっきのやり方で3体倒した。



「2人とも体力どう?」

「俺はまだやれる!」

「私もまだ大丈夫」

クララさんの追いかけっこが効いてるみたいだ。


「ヒューズさん。もっと強い魔物いないんですか?」

「ここら辺にはいないな。もうちょい奥に行けばいるが今日はやめとこう」

「わかりました、取り敢えずゴブリンとスライムメインで探しましょう」



▽ ▽ ▽



何度か戦闘をし、2人の体力がなくなったので休憩をしている。

前衛をフリードとノコに変更したりしたが、

やはりスライムとゴブリンじゃ前衛を掻い潜るやつはいないようだ。


今のところゴブリン12体とスライム8匹リトルデビルラビット1羽を倒している。

「2人は休んでて。またモンスターがいたら戦ってもらうから」


ジジジジジジジジジジジジ

ノコが何かを伝えようとしている。


ドドッドドッドドッ

足音がこっちに向かってくる。

「戦闘準備!とりあえず、ノコ以外前衛にいって。ノコはニーナとカシムを守って!」


足音が近づいてくる。

森から現れたのはストロングボア2頭だった。

「前衛は攻撃せずに防衛。ニーナとカシムは攻撃」


2人が攻撃しようとした瞬間、

ドドドドドド

違う足音が聞こえてきた。

ストロングボアが来た方向をみると、4mの白いクマのモンスターがいた。


その姿を見たヒューズさんは叫んだ。

「あれはストーングリズリーの変異種だ!一旦距離を取れ!」

「ゴーレはストロングボアを!」

ゴーレはフリードの鞍に手をかけると、土帝の大剣を取り出し2頭のストロングボアの首を刎ねた。


「フリードとゴーレはそのまま前衛。ヒューズさんは距離とってください。カシムとニーナは攻撃開始!」

指示を出してるのに矢と魔法が飛んでいく雰囲気がない。

2人を見ると、ストーングリズリーの迫力にびびってしまっている。

「ニーナ!!!カシム!!!」

2人は我にかえり、攻撃を始めた。

カシムが矢を放つが毛皮に弾かれる。

アクアボールは手で振り払われる。


「ゴーレ達平気?もう少し経験積ませたいんだけど」

「問題ないです」

ヒヒーン!

「2人はひたすら攻撃!気を抜いたらゴーレとフリードを引かせるからな!」

「「はい!」」



数分後

まだ戦っていた。2人の攻撃が全然ストーングリズリーに効いていない。


「ヒューズさん。ストーングリズリーってどんなやつですか?」

「身体が石のように硬いから、槌とかハンマー待ちとかがいてやっと倒せる魔物だ。防御力がものすごく。攻撃力もそれなりにある。変異種だから、ステータスの何かがものすごい上がってる可能性がある。一応頭とか防御が薄いところに攻撃が入れば、ダメージを与えられるかもな。俺が本装備なら、防御せず頭に斧を叩き込む」


カシムは矢を放ち続けた、

矢が途中見えなくなったり、2本に増えたり、燃えたりしたがそれも効いてない。

「カシム!練習だと思ってエクストラスキルを使いな!」

「はい」


カシムは深呼吸をし、矢を引いた。

「クレッセントショット!」

シュッ


矢は弧を描いて、ストーングリズリーに向かっていく。

「あっ!」

カシムが思ってたよりも手前に落ちる軌道で飛んでいた。

ストーングリズリーがゴーレ達に攻撃しようと少し前に出た瞬間、

矢がストーングリズリーの足の甲に刺さった。


「気を抜かずに、弓を引いて」

カシムが2射目を放とうと弓を引いた瞬間、ストーングリズリーは後ろに倒れた。


「「「「え?」」」」


「鑑定」


○ストーングリズリー(変異種) 眠り状態

ストーングリズリーの変異種。

通常種とちがい毛が白い。

通常種より生命力が高くなっている。


「ん?寝てるみたい。なんでだ?」

俺はいろいろ考えた。

「考えられるのはカシムの矢に眠らす効果がついたくらいか?」

「なるほど、流石に俺も矢1発でストーングリズリーを倒すやつなんて見たことない」

「こいつどうしようかな、倒したらすごいレベル上がりそう」


ストーングリズリーをどうやって倒そうか考えているとニーナが近づいてきた。

「あ、あの、ライルくん!」

「どうしたの?」

「私やりたい!」

「でも鉄のナイフとニーナちゃんの筋力じゃ攻撃通らないと思うよ」

「ちがう。私、テイムしたい!!」


完全に忘れていた。その手があった。


「よし。それなら、テイムにチャレンジしよう。眠らせたのカシムだけど、ニーナちゃんにテイムさせて平気?」

「大丈夫!!ニーナが考えてること分かったから!!!」


考えてること?

カシムが言ってることがよくわからなかったが、とりあえずOKなのは分かった。


バッグからモンスタースナックを1個取り出し、ニーナに渡す。

「これを食べさせてから、テイム!って唱えて。テイムできたかはステータスを確認してね。起きるまで何度も試していいから」

「わかった。頑張る!」

「フリード、ノコ、ゴーレは起きた時の対応を。ヒューズさんはカシムの護衛を」



ニーナはストーングリズリーの口を開けさせ、

モンスタースナックを口に入れた。

「テイム!」

「テイム!」

「テイム!」

「テイム!」

「あ!!できた!!」


ニーナはテイムに成功したようだ。

「おめでとう」

「その歳で何匹もテイムしてるライルもすごいが、ストーングリズリーの変異種をテイムしたニーナも規格外だな」

「ヒューズ師匠、俺は?」

「ストーングリズリーを1発で戦闘不能にさせたんだ。すごいぞ。これからも頑張るんだぞ!」

「はい!」


俺はニーナのもとへ行った。

「名前は決めた?」

「決めたよ。グーちゃん!」

「可愛らしい名前にしたんだね」

「近くで顔見たら可愛くて」

「あーそうなんだ。じゃあグーちゃんをエクストラスキル使って起こしてみようか。初めてだから失敗してもいいから」

「はい。メディックツリー!!」


地面から細い木がニョキニョキと生えて来た。

木から枝が伸び、大きな葉が出て来た。

「グーちゃんを癒して」

グーちゃんを葉に乗せて持ち上げ、

そのままグーちゃんを葉がくるんだ。


数秒すると葉がグーちゃんを地面に下ろし、

木は地面に消えていった。


グーちゃんが起き上がった。

ニーナはグーちゃんの目の前に行き、

「グーちゃんよろしくね!」

と言いながら、グーちゃんにハグをした。

グォグォグォグォーー!



▽ ▽ ▽



ニーナはカシムと話している。

「カシムくんありがとう。グーちゃんを眠らせてくれて」

「たまたま矢に効果がついてよかった。グーちゃんには前衛をお願いするんだよな?」

「うん!そのつもり。もしライルくんとかヒューズさんがいない時にモンスターに出会ったら私達は逃げることしかできないけど、逃げられなかったときグーちゃんが耐えてる間は攻撃を何回もできて倒せる可能性が出てくるって思って」

「俺もそう思った」

「だよねー」

「グーちゃん!ニーナの仲間のカシムだ!よろしくな」

グォーー


その様子を見ている俺の視界はぼやけていた。

「ヒューズさん、俺泣きそうなんですけど」

「は?俺はもう泣いてる」

「本当に意味のある授業してよかったですね」

「本当だよ!いやー涙が止まらん」

「そろそろ帰りますよ」

「おう」

ヒューズさんは涙を拭く。

「帰るぞ!帰りも警戒を忘れるなよ!」

「「はい!」」

グォー!



僕らは街道にでてから馬車に乗った。グーちゃんは頑張って並走していた。




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