41.自称弟子
厩舎につくと、みんながフリード達と遊んでいた。
「みんな、今日はどうしたの?」
最初に答えたのはカシムとチャールズ兄だった。
「師匠!スキルの指導おねがいします」
「ぼくも師匠に教えてもらいに来ました」
なぜか二人は熱いまなざしで俺を見ている。
「ぼくは二人の師匠じゃないからね。他のみんなはどうしたの?」
「フリード達と遊びに」
「わ、私も」
「お兄ちゃんについてきたー」
「わかった。じゃあ3人はフリード達と遊んでて」
バッグから野菜・モンスターフード・花の蜜を出して3人に渡した。
「これ、みんなに食べさせてあげてね」
「「「はーい」」」
残るは自称俺の弟子二人だ。
「二人とも家の手伝いは?二人とも頑張って毎日手伝いしてたでしょ?」
父親に憧れているカシムは猟師になるため、毎日父親について猟に行っていた。
チャールズ兄の家は小麦農家でエクストラスキルを取得する前から毎日手伝いをしていた。
「父さんに言ったら、師匠のとこで鍛えてこいって」
「僕も色々教わってきなさいって」
なんだかんだお披露目の意味はあったのかな。
少なくとも俺といると何かを得られると思ってもらえてるみたいだ。
「二人は、特訓してどうなりたいの?」
「俺は特訓して、父さんやクララさんみたいに強くなって、村のみんなが毎日肉を食べられるようにしたい!」
「僕はお父さんとお母さんを楽させたい。あと美味しい小麦を作って、美味しいパンを作って食べたい」
二人はやる気に満ちていた。
「わかった。じゃあ特訓してみる?」
「する!する!」
「お願いします」
俺達の会話を盗み聞きしてた3人も
「お兄ちゃんだけずるい」
「わ、私もやりたい」
「俺もやるぞー!」
と騒ぎ出してしまった。
「わかったよ。そのかわり、お父さんとお母さんの許可を取ること。あと嫌になったら辞めずにぼくに相談すること」
「「「「「わかったー!」」」」」
「じゃあ、許可が取れた人は明日の朝、うちに集合。僕はやることがあるからこのままフリード達と遊んでおいて」
「「「「「はーい!師匠!」」」」」
自称弟子が5人になった。
▽ ▽ ▽
俺はまた疾風の斧のもとへ来ていた。
「ヒューズさん達、護衛の日までどうするの?」
「森に入ってモンスターを狩ったり、風呂入ったり、風呂入ったり」
「そうね。私も、お風呂入ったり、魔力のトレーニングしたり、お風呂入ったりかな?」
「私はお風呂入るー!」
疾風の斧は風呂にハマってるようだ。
「ってことは暇ってことだね。知ってたけど」
「お前、話聞いてたか?」
「そんなお風呂大好きな疾風の斧の皆さんに朗報です。今即決で俺の依頼を受けてくれると、今度作る拠点に男女別で大きめのお風呂を報酬として作ってあげます。受けます?」
「依頼内容は?」
「受けますか?」
「依頼内容は!!」
「受けますか?」
「わかったよ。受けるよ。お前本当にそのモード入ると性格悪いぞ!」
「ありがとうございます!」
俺はヒューズさん達に依頼内容を伝えた。
村の子供達の師匠になって欲しいと。
「師匠って何するんだ?」
「うーん。この中で算術が得意なのは?」
「ヒューズやクララもできるけど、私が得意かな?」
「だと思いました」
「失礼だぞお前!」
「そうだそうだ!」
ヒューズさんとクララさんの文句を無視して、話を続ける。
「午前中の前半はリリアンさんに簡単な算術を、算術が得意・好きそうな子は後半も算術を、
その他の子にはヒューズさんとクララさんに冒険者の知識、モンスターの特長・解体の仕方・植物についてを座学で教えてください。
午後はクララさんには身体の動かし方と弓術、リリアンさんは魔力について、ヒューズさんは闘い方を教えて欲しいです」
「全然いいのだけど、魔力検査前の子供もいるでしょ?その子達に教えてもなにもできないわよ?」
「魔法を見せてあげたりして、魔力を感じさせるだけで大丈夫です」
リリアンさんは疑問そうな顔をしていた。
「弓術はわかるけど、身体の動かし方って?」
「教わるのは子供なので、一緒に身体を動かす遊びをしてあげてください。追いかけっことかそういうのです」
「それならできるー!!」
クララさんは楽しみなのか、ニコニコしている。
「ヒューズさんの武器って斧ですよね?」
「そうだ。子供に教えるなら剣の方がいいよな?剣もできるから安心しろ」
「ありがとうございます。この計画は、村の子供の知力の向上と通常スキルの獲得を狙ってます。なので、村の発展の一部なので疾風の斧にも利点はあると思います。どうです?」
ヒューズさんはにやにやしながら口を開く。
「本当面白いこと考えるやつだな。その依頼受けよう!」
「まあ、依頼内容を言う前に受けるって言質は取ってますんで、断ったらギルドに報告しようと思ってたんで良かったです」
「おまえってやつは本当に」
 




