385.VSドーグラン・ペパイド④
「すまん。ライル後は頼む」
俺は死を覚悟した。
「グワアアアアアアアア!」
突然、ペパイドが苦しみだした。
「なんだ?」
さっきまでぼやけていた視界ははっきり見えるようになっている。
それに身体の痛みがない。
そして一番不可解なのは身体が光っている事だ。
「どういうことだ」
俺は訳が分からなかった。
「俺は九神のベースラニア」
「!?」
突然頭の中に声が聞こえた。
「シスター達の祈りによって、5人に一時的に加護を与える」
「加護?」
「あとおまけもしておこう」
俺は理解できなかったが、これでペパイドを倒せってことだろう。
▽ ▽ ▽
俺はサンタにボコボコにされていた。
なんでこいつはこんなに強いんだ。
「ホーホーホー!まだその表情をするのかい」
俺は胸ぐらを掴まれ、持ち上げられた。
その瞬間。
「なんだ?眩しい!!」
サンタは俺を投げ飛ばした。
身体が光ってる。
なにこれ?
俺って進化するの?
「しないよ」
「!?」
「俺はベースラニア。神様だよ」
「神様?」
「ああ。ガチャ業者って言った方がいい?」
「え!!いつもお世話になってます!」
頭に直接話しかけてくるベースラニアは神様でガチャ業者みたいだ。
「悪いね。ガチャの件は。もう少し待ってね」
凄い気さくな神だった。
「ねー早く話しなさいよ」
「ごめんごめん」
女性の声が聞こえた。
「えーっと今の声は」
「ああ。九神のクシカーロだよ。君と話すために時間を止めてもらってるんだ。まあそれでも少ししか話せないんだけどね。俺と話しながらだと戦えないでしょ?」
「そ、そうですね」
俺は周りを見た。
本当に時間が止まってた。
「えーライル商会のシスター達の祈りを聞き入れました。まあ祈るように言ったのは俺なんだけど」
「えっと」
「ああ。ごめんごめん。まあ簡単に話すとシスターが祈った、ライルを含めた5人に一時的に加護が付いた。頑張って戦おう!レディーファイト!みたいな感じ」
「なんとなくわかりました」
やばい。
この神様と波長が合う気がする。
「俺もそう思う!まあ詳しくはサンタを倒してからセフィーナとかヒューズとかと話して」
「わかりました」
「あ!加護が切れると、3日くらい寝ちゃうからよろしくー!じゃあねー!」
何かが頭から抜けるような感覚がした。
「とりあえず加護をもらったのね。身体の痛みもないし、あのキモサンタをやっちゃいますか」
俺は鬼潰棒を構えた。
「なんだよ!全然目が見えないじゃねーか!クソガキ!どこいる!」
俺はキモサンタをフルスイングで殴った。
「ぐわああ!」
▽ ▽ ▽
「ヒューズも声を聞いた?」
「ああ」
リリアンの手を掴み起き上がらせた。
「加護を5人。俺とリリアン、あとライルは確実だろうな」
「あと2人は」
するとクララがゆっくり起き上がり、口を開く。
「2人が選ばれたんなら私も当然選ばれるよねー」
「ははは。仲間外れじゃなくてよかったな」
「ほんとだよー」
クララも加護を得たみたいだ。
「あーなんか寝てたみたいだ」
「おい!お前かよ」
「んなこと言うなよ。まあギリギリ選ばれたって感じか?」
ガッツは苦笑いしながら立ち上がった。
俺は周りを見渡す。
倒れている中に身体が光っているやつはいない。
だけど全員怪我は治ってるみたいだ。
これがおまけなんだろうか?
「5人ってことは、あとはライルか?」
「でしょ」
「そうだろーねー」
「ってことは俺達4人でこいつを倒さなきゃってことか」
「まあそうなるな」
俺達は武器を構えた。
「グワアアアアアアアア!」
ペパイドは光を浴びた影響でまだ苦しんでいた。
「よし。やるか!」
「加護がどんなもんか見てあげましょう」
「ねー神様に失礼だよー」
「怖いもの知らずが」
俺達は一斉にペパイドに向かった。
「リリアンやれ!」
「わかってるわ。増殖!は?」
リリアンの頭上にはいつもの5倍の魔法が現れていた。
「ハハハ!やれるわ!加護最高よ」
リリアンは合図を待たずに魔法を放った。
「お。おい!」
「さっさとやられなさい!!」
魔法はペパイドを囲むように飛んで行き、すべて着弾した。
「グワアアアアアア!」
ペパイドは藻掻きながら地面を叩こうとした。
「石の槍が来るぞ!」
「させないよ」
クララは『武器操縦士』のスキルで、地面に散らばっている俺の武器を操り始めた。
「あれ?あれ?すごいやりやすい」
兼や槍は次々とペパイドに刺さった。
「ガアガガガガガガ!」
ペパイドが痛み叫ぶ。
そして身体が再び波を打ち始める。
グチャグチャと音を立て、肉と岩の塊になる。
「おい。また復活するぞ」
「させねーよ」
ガッツは『雷虎纏い』でペパイドの近づく。
「さっきはやってくれたな」
ガッツはペパイドを殴り続けた。
殴った箇所は赤黒く焦げ焼けていく。
「ガアアアアア!!」
肉と岩が混ざった触手がガッツを襲う。
ガッツは『雷爪』で切り落とす。
ペパイドを見ると魔石が肉と岩の塊の内部に入ってしまっていた。
「魔石を壊せ!」
「わかったよ!」
ガッツは肉と岩の塊を殴り続ける。
肉と岩の塊は赤黒くボロボロになっていく。
「ヒューズ!切り刻むから魔石を」
「おう」
リリアンの頭上に風の刃が大量に現れ、ペパイドを切り刻む。
「ラ、ラ、ラアアアアイイイルウウウ!!」
バラバラになった肉片の中に魔石を見つけた。
俺は魔石の目の前に瞬間移動して、島砕を振りかぶる。
「悪いな。ライルじゃなくて」
島砕はペパイドの顔面を魔石ごと叩き割った。
▽ ▽ ▽
やっとみつけた。
「君が僕の担当の勇者?」
「え?うそ」
「ごめんね。ごめんね。僕のせいで。つらかったよね」
「うん。俺にもいたんだ。よかったあああ」
明らかに大変な生活をしている。
僕の選択は間違っていた。
本当に本当にごめん。
「ねえ。許せないよね」
「え?」
「僕達だけがこんな思いをしてるんだよ」
「う、うん」
「これからさ僕達でいろいろしようよ」
「したい」
「じゃあまずはこの世界を作り直そう」
▽ ▽ ▽
「なんなんだ」
俺は脳に直接流れた風景に動揺していた。
「おい。お前達も見たか?」
「え?何言ってるのヒューズ」
「見てないのか?おい!クララとガッツは?」
俺が2人を見ると、2人は地面に倒れ込んだ。
「何よ。まって、これダメだわ。ごめんヒューズ」
リリアンは俺の胸に倒れ込んだ。
俺の意識もどんどん薄くなる。
なんだったんだあれは。




