381.卒業試験【準決勝②】
私は負けるわけにはいかない。
シャルが決勝で待ってる。
それにこの子にはネネとクラリの分を返さないといけない。
謎の人物達が敵なのはわかっている。
ステージに上がると、女の子がやってきた。
私は女の子を睨んだ。
「その目は私達の正体がわかってるみたいね」
私は無視をした。
「残念だけど私達も騙されたのよ。それでも全力でって言うから」
何を言っているのかわからない。
「はあ。嫌われちゃったみたいね」
女の子は肩を落とした。
審判の方がやってきて、掛け声をかけた。
「シューティングカクタス!」
私の後ろにシューティングカクタスが2本生えた。
シューティングカクタスは棘を女の子に向かって飛ばす。
「え?いきなり!?」
女子は黒い壁を出して、棘を防ぐ。
「スマッシュバイン!」
6本のスマッシュバインは黒い壁を囲むように生える。
ドゴン!
ドゴン!
ドゴン!
黒い壁を破壊しようとスマッシュバインは何度も叩き続けた。
黒い壁が壊れると、大量の黒い手が飛んでくる。
今までの試合の倍は飛んできている。
「パラサイトローズ!」
地面からたくさんのパラサイトローズが生え、根っこごと空中に飛び上がって黒い手に絡まりつく。
パラサイトローズは根を内部に入れることで寄生することができる。
寄生された黒い手に命令を出す.
「みんな!あの子に攻撃をして」
黒い手は女の子に向かって飛んで行く。
▽ ▽ ▽
なんなのよ、この依頼!
私は自分の子供よりも幼い子に劣勢を強いられていた。
私の闇魔法は変な花に乗っ取られるし、防御は壊される。
これは殺す気でやるしかない。
私はダガーを2本取り出す。
「子供達に双剣術を教えたのは私なのよ!」
私はニーナちゃんに向かおうとするが、前の試合で見た草がステージ一面に生えている。
「ダークフレイム」
私は謎の植物を燃やすために、ダークフレイムを放つ。
黒炎は燃え上がり、ステージを埋め尽くした。
「やっとこれで戦えるわ」
火が消えるのを待とうと思っていると、黒炎の中から棘が飛んでくる。
「っつ!なに?」
棘が飛んできた方向を確認すると、あの大きな蔓に地面に叩きつけられた。
「がっ!なんで!なんで燃えてないのよ。ダ、ダークウォール」
私はダークウォールで防御をするが、猛攻は止まらない。
黒炎が消え、ニーナちゃんも植物もぴんぴんしていた。
唯一燃えてなくなったのは、ステージを覆っていた血を吸う植物だけ。
あの蔓も寄生する花もサボテンも燃えていない。
「なんで燃えてないのよ!」
「植物を召喚して戦う人が、火の対策をしていないと思ったんですか?ウォーターボール!」
ニーナちゃんは私の顔にウォーターボールを当てた。
「ふふふ。ニーナちゃん。私を怒らせたわね」
「だとしたら何なんですか?」
「ごめんね。殺しちゃったら」
私はダガーを投げる。
ダガーはニーナちゃんの頬を掠めて、私の手元に戻ってくる。
私はダガーに付いた血を舐めとる。
「うん。美味しい」
▽ ▽ ▽
女の子は私の血を舐めてから変化した。
さっきまでは私達と同い年くらいだったのに、今は大人になっている。
しかもさっきまでの戦い方と全く違う。
「どう?私のこの姿。綺麗でしょ」
私は無視をした。
元女の子は身体から血を出して攻撃をしてくる。
血は羽根のような形になり、元女の子は空を凄い速さで移動しながら攻撃してくる。
打開できる方法はあるが、絶対に魔力切れをしてしまう。
でもやるしかない。
「ヘルトレント!」
私の目の前にたくさんの木が生えてくる。
木は絡まりながら成長をやめず伸びていく。
「え?何!!」
木は成長しきると、大きな木の巨人となった。
ヘルトレントは拳を握り、元女の子に拳を振り降ろした。
「いや、さすがにこれは防げないわ」
ドゴン!
爆音が鳴り、ヘルトレントの拳の下には元の女の子が潰されていた。
私は魔力切れで、倒れてしまった。
▽ ▽ ▽
俺はすぐにワープをした。
今回こそ1番だと思ったが、ステージの上には顔の綺麗な男性が居た。
「えーっと」
「すまないね。私は妻を回収に来ただけだよ」
「妻?」
元幼女のことを言っているみたいだ。
「ライル。色々とありがとう。次はよろしくね」
「ん?お前がドルビダ?」
「ああ」
ドルビダはそういうと、元幼女を連れてどこかに行った。
「あいつが傭兵のリーダーか」
俺はそんなことを思いながら、ニーナをすぐに医務室に連れて行った。
▽ ▽ ▽
俺がステージに上がると、ドルビダもやってきた。
審判がマジックアイテムを使って何か話している。
多分この試合についての説明だろう。
俺は想像以上に集中している。
俺のワープよりも早く移動するということは、ヒューズさんレベルの可能性がある。
審判が俺達の元に来た。
掛け声をかけようとした瞬間、闘技場の壁が爆発して崩れた。
「え?」
壊れた方を見た瞬間、審判の上半身はもがれてドルビダが吹き飛ばされて壁にめり込んで脚が変な方向に曲がっていた。
「は?」
俺の目の前にはペパイドだと思う人物が居た。
ペパイドの顔の左右にはオオカミのような頭があり、ケルベルスのように3つ頭だった。
身体が筋肉で膨張して服が破れている。破れた箇所からは獣のような体毛が見える。
そして中央の顔の額には魔石が埋め込まれていた。
これは2年前のソブラと似ている。
俺は国王席を見る。
既にオステオさんがスキルを使っている。
国王が襲われる可能性は低くなった。
なんでペパイドがこんなことになっているかは後回しだ。
俺はこいつに『ガチャ』がない状態で勝てるのか?
俺が余計な思考を巡らせている間に、ペパイドが俺に向かってきた。
ギリギリ目で追えるスピードだが、俺は反応が遅れた。
ペパイドの両腕は大きな石の爪に覆われる。
そしてその爪を俺に向けてくる。
やられると思った瞬間、斧が石の爪を弾いた。
そして俺の頭上には大量の火の球とバリスタが浮いていた。
疾風の斧だ。
「ライル。気を引き締めろ」
「すみません」
俺はすぐに体勢を立て直す。
ドゴン!
「え?」
ペパイドが何かにぶつかって吹き飛ばされた。
「あれ?殴っちゃまずかったか?」
ガッツさんは呑気に言った。
「いや問題ないです」
「よし」
大量の火の球と矢がペパイドに降り注ぐ。
爆音が鳴り、砂埃が舞う。
砂埃が晴れるとノーダメージなのかピンピンしているペパイドがいた。
「「「ラアアアアイイイイイルオオオ!!!」」」
ペパイドが叫ぶと、空気が揺れて周りの地面や建物が崩壊していった。
「ライル。これはなんだ」
「2年前のソブラの見た目と似ています。あの額の魔石を壊せば倒せるかも」
「わかった。お前も頭数に入れていいんだよな」
「はい」
「よし!行くぞ」
俺達はペパイドに向かっていった。




