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374.卒業試験④

次はジョシュとフィンの試合とアメリアとルサンナの試合。


フィンはフォンとの連携が強みだから、ジョシュとの試合は厳しいだろう。

アメリアとルサンナは実力だけで言えばアメリアが勝つが、アメリアは集団戦がメインだからもしかしたらの可能性はある。


4人がステージに上がった。

審判の掛け声でジョシュが動き出す。


両腕を巨大化してフィンに攻撃を繰り出す。

手数の多さと攻撃の速さで圧倒するジョシュ。

フィンは苦しそうに剣で防ぎ続ける。


フィンは苦しそうに火の球をジョシュに向かって放つ。

ジョシュはそれを軽々避けて距離を置く。


フィンは火の矢と石の矢を放つ。

ジョシュは四足歩行になり、ものすごい速さでフィンの魔法を避けていく。

ジョシュをよく見ると、手足の形が変わっていた。

何かスキルを使っているのだろう。


フィンは魔法で攻撃を続けるが当てることができない。



アメリアとルサンナのステージを見ると、異様な光景だった。

俺は自分の目を疑った。

1対1のはずが、ルサンナ対鬼将軍の剛角になっている。


「あれは何!?」

俺は驚いてカシムに問いかけた。

「あれは『最愛の群衆』ってスキルで、アメリアと心を通わせた人の偽物を召喚できるんだ。力も能力も4分の1になるけどね」

「え?すごくない」

「うん。ルサンナじゃきついと思う」

カシムは自分なら平気だと思っているように感じた。


「ちなみにほとんどの弟子が召喚出来るよ。アメリアはニーナと一緒に俺達を引っ張ってくれる存在だったからね」

「そうか」

俺はそれを聞き、泣きそうになった。

最初は素直になれなかったアメリア。

前世の俺と被るところがあると感じていたが、アメリアはしっかり成長している。


ルサンナには申し訳ないが、これは勝つことはできないだろう。



ジョシュとフィンの試合を見ると、フィンの身体に傷がついている。

ジョシュが攻撃しては距離を取ることを繰り返しているせいでフィンの魔法がまったく当てられていない。


これも勝負がすぐにつくだろう。



試合はアメリアとジョシュの勝利で終わった。


▽ ▽ ▽


「反射かー。楽しみだな」


次は俺の試合だ。

相手は魔法を反射する小手を装備している男。


謎の人物達にも少しずつだが興味が出てきた。

全員がパーティとかだったらすごくバランスが良さそう。


反対のステージには大鎌を持った女の子がいた。

あれがネネの相手か。

あの子も謎の人物の1人だ。


俺の目の前に小手男が来た。

「お前がライルか」

「うん。よろしく」

「お前は俺が倒す」

「誰の依頼か吐かせるまでやってもいいけど、今は弟子達の成長に感動しているんだ。俺にしては珍しい綺麗な勝ち方をするよ」

「悪いが魔法は効かないから」

「そう」

小手男は笑みを浮かべた。


いつものように徹底的にやってもいいんだけど、弟子達に俺の本気を見せたい。

いや、かっこいい姿を見せたい。


審判がやってきて、掛け声をかける。


「ワープ!」

俺はすぐに距離を取る。


「ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!」

身体は平気だ。まだいける。


「ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!」

少し頭が痛くなった。これが限界か。でもここからだ。


「反射できるんだろ?してくれよ」

俺は小手男に指を差す。

小手男の顔は引きつっていた。


風の矢は一斉に放たれる。


俺は集中して、風の矢の軌道を操る。

ちゃんと操れるのは半分にも満たないが問題ない。


正面と左右から風の矢が小手男に向かって行く。


「うりゃああああ!」

小手男は殴って風の矢を反射していくが、そのペースじゃ無理だ。

それにその角度で反射しても俺に当たることはない。


小手男が反射できなかった風の矢が次々着弾する。

「ぐあああああ!」


小手男は場外に吹き飛び、気絶していた。

俺には珍しくスマートな勝利だった。


隣のステージを見るとネネが勝利していた。

嬉しそうに俺に手を振っているので、俺も振りかえしてあげた。


▽ ▽ ▽


控室に戻ると、弟子達が緊張した表情をしている。

「あれ?どうしたの?」


するとカシムが口を開いた。

「次の試合も勝って、師匠と戦うから。それで絶対勝ってやるから」

「うん。楽しみにしてるよ」

「カシム、僕を無視するのかい?」

「チャールズ兄も倒す。そして俺が師匠と戦う!」

「これは負けられないね。僕もライルと戦いたいんだからね」

こんな好戦的なチャールズ兄を始めて見た。


ジョシュも口を開いた。

「俺も決勝でライル様と戦う」

「うん。俺も頑張らないとな」


俺の試合は弟子達に刺激を与えられたようだ。

反対の控室にいる弟子にも何かを与えられていたらいいなと思った。


▽ ▽ ▽


「あなた。本当にあの子が学園で犯罪をしている生徒なの?」

「そう聞いていたんだが、もしかしたら騙された?」

「あの子の関係者全員強くていい子じゃない」

「ははは。これはやられたかもね」

父さんと母さんは今回の依頼について話している。


「勝ち進んだのは1人だけか。私が学生で通じる見た目をしてたら出場してたんだけどね」

「バカなこと言わないで。私が出れているのがおかしいのよ」

「何を言っている。君はいつまでも若くて美しい。学生と言われても信じてしまうよ。君の試合は次なんだから勝ってくれよ」

「もう!ちゃんとこの依頼について調べてくださいよ」

「そうだね。さすがに怪しくなってきたね。」

父さんは少し怒っているみたいだ。


長男の僕が初戦で負けるとは思わなかった。

あの獣人の子強かったな。

まったく魔法が当たらなかった。


▽ ▽ ▽


次の試合はクラリと謎の人物。


男子の方は見なくてもいいだろう。

リリヤドと名も知らぬ生徒のどっちが勝っても倒すだけだ。



クラリの前には魔法使い以外考えられない恰好をした幼女だ。

俺達が標的だよな?

こんな幼女まで使わないといけないくらい人がいないのか?

俺は頭を悩ませた。


審判が掛け声をかける。

すると幼女の周りに黒い手が大量に現れる。

黒い手はクラリに向かって行く。


矢を放ち、黒い手を撃ち落とすが黒い手の数が多い。

黒い手はクラリを攻撃する。

防御はするが、数が多すぎる。


クラリが怯んだ瞬間、弓が黒い手に奪われる。


幼女はクラリに近づいて行く。

何かを喋りかける。


クラリは首を横に振り、ナイフを出して幼女に突っ込んでいくが黒い壁に阻まれる。

クラリは叫びながら黒い壁を斬りつけるが、傷はつかない。


黒い手はクラリを掴み、投げ飛ばす。


クラリは立ち上がり、再び黒い壁にぶつかる。

顔は血だらけでボロボロだ。

降参したっていい。

謎の人物の中でもあの幼女は別格だ。


また幼女はクラリに話しかける。

クラリは涙を流しながら首を横に振り、立ち上がる。


幼女は悲しそうな表情をし、何かを唱えた。

すると黒い手は集まり、1つの大きな手になった。

大きな黒い手は拳を握って、クララを殴った。

吹き飛んだクラリは壁にぶつかり気絶をした。


クラリはよく頑張った。

だけど相手が悪かった。

クララさんも褒めてくれるはずだ。


クラリは医務室に運ばれた。

今は俺達と顔を合わすのはつらいだろう。

ゴーレに頼んでライムを連れて行ってもらった。



リリヤドの試合はクラリの試合と比べたらゲロみたいなもんだ。

身体の大きさを活かせばいいのに、武術の授業をちゃんと受けていない剣筋。

本当に何のために学園にいるんだか。


醜い試合はリリヤドの勝利で終わった。

リリヤドが怒鳴って、相手が降参した。

また貴族の力を使ったんだろう。

あいつは地獄行き決定だ。


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