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373.卒業試験③

次は男子の2回戦と女子の1回戦だ。


男子はルーク対ハンの試合。

女子はベラの試合。


どこまでハンが粘れるかだな。

ハン達には卒業試験が発表された頃に色々アドバイスはした。

少しは戦えるといいけど。




▽ ▽ ▽




俺はハンに呼び出された。

「どうした?」

「ライル。戦い方を教えてほしい」

「え?」

「俺は武術でも魔法学でもお前達の強さを見た。ガト王国の王族として最低限の強さが欲しい」

ハンの目は真剣だった。


「エクストラスキルとかを俺に共有できる?できるなら少しは伝えられるかもだけど」

「ああ。全て教える」


ハンのエクストラスキルは『雨の剣術士』。

魔法適正は水。

ガト王家は水関係のエクストラスキルを取得することが多いらしい。


ハンのエクストラスキルは、雨雲を出すことと水を操りやすくなることしかまだできない。

エクストラスキルのレベルを上げるのは卒業試験には間に合わないかもしれない。


『剣術』は取得しているが、『体術』取得していない。

『剣術』もエクストラスキルの影響で取れたものだと思うから、経験値は低いだろう。


「うーん」

俺が悩んでいると、ハンは口を開いた。

「そしてこれが俺の剣だ」

ハンは刃が付いていない剣を取り出した。


「これは?」

「これは水精の剣。魔力を込めると水の刃が出てくる」

「長さとか形は?」

「少しなら調整できる」

「わかった」


俺は『剣術』の経験を増やすために木剣で訓練と水精剣を自由自在に使えるようにしろと伝えた。


まだスタートラインに立てていない感じがするから、経験を積むしかない。

卒業試験には間に合わせるなら、基礎能力を上げるのが最善だ。

水精剣が自由自在に扱えるようになれば、上位に入るのもあり得る。




▽ ▽ ▽




ステージにルークとハンが上がった。

2人の表情は真剣だ。


俺がアドバイスしてから、ハンはルークと少しだけだが打ち合えるようになっていた。

もしかしたらいい戦いができるかもしれない。

あとは水精剣の扱い次第だ。


審判が掛け声をかける。


その瞬間、ハンが持っていた水精剣は宙を舞う。

そしてルークの伸びた剣先がハンの喉元を刺していた。


試合終了だ。


まさかこんなにルークが強いとは思っていなかった。

家でのハンとの打ち合いもだいぶ手加減をしていたみたいだ。

俺は驚きよりも感動が勝った。

ルークもカシムもものすごく強くなっていた。

焦りも凄いが感動や嬉しさも同じように凄い。


ハンは少しかわいそうだ。

俺が慰めるのも逆効果だろう。

自分で立ち直るのを待つしかない。



ベラの試合を見ようと思ったら。

大量の火の蝶と火の狼が、名も知らぬ生徒を囲んでいた。

名も知らぬ生徒はすぐに降参した。


ベラも強くなっている。



声をかけるためにルークを探した。

すると控室の外にハンと居たのを見つけた。


「いつもと違う武器を持っていたから警戒したんだよ。知らないことをされたらまずいから、自分が得意なことを押し付けようとしたの」

「なるほど」

ルークは試合中にどう考えていたかをハンに伝えていた。

ハンも真面目にそれを聞いていた。

既に立ち直っているみたいでよかった。


俺は2人の感想戦を邪魔しないように控室に戻った。


▽ ▽ ▽


次はゴトフと謎の人物の試合とカイリの試合だ。


先にカイリがステージに上がった。

カイリは見たことないロッドを持っていた。


「あの武器は?」

「あれはガルスタンに作ってもらった武器。名前は古代樹のミスリルロッドだったかな」

「俺が眠ってたから、武器を渡せてなかった弟子に渡してくれたみたいだな」

本当にガルスタン達には感謝だ。


審判が掛け声をかけると、カイリはロッドで地面を叩いた。

地面は光りカイリの羽根鎧はうっすら光る。


カイリは相手に向かって行き、ロッドで攻撃をする。



もう1つのステージにゴトフと2本の剣を持った男が上がった。

次の謎の人物は双剣使いみたいだ。


審判の掛け声とともに、2人が動き出す。

双剣使いの攻撃は早く連続で攻撃を続けるが、ゴトフは全て剣で受けた。


双剣の手数の多さに、ゴトフは防戦を強いられている。

ゴトフは魔法も少しは使えるみたいだが、今使ったら逆に隙を生むことになるだろう。


双剣使いの身体捌きはゴトフより上だ。

『体術』『剣術』を取得しているゴトフよりも上ということは、経験値があるということだ。

これはなかなか厳しい戦いになるだろう。


ゴトフはずっとグリフォンと一緒に戦うことを想定して訓練していた。

卒業試験が決まってからの短期間では修正しきれなかったのだろう。


ジリジリ攻められ、ゴトフは完全に防御しかできなくなった。

これは時間の問題だ。



いつの間にかカイリの試合が終わっていた。

カイリの身体が光っていたのは何かのスキルだったのだろう。


負けたはずの対戦相手は倒れてはいるが、身体には一切傷がなかった。

カイリが回復をしたみたいだ。

カイリもしっかり強くなっている。


▽ ▽ ▽


ゴトフは残念ながら謎の双剣使いに負けてしまった。


「いや負けちゃった。普通に悔しいね」

ゴトフは笑っているが悔しそうにしている。


「騎乗しながらの戦闘訓練してたからね」

「王都に来てからは普通の戦闘訓練してたんだけど、やっぱり足りないみたいだね。もうちょっと頑張ってみるよ」

「あんなにスキルを取得できたんだから、経験を積めばいけるよ。俺が保証する」

「ありがとう」

「あと魔法の訓練も始めよう」

「そうだね」

ゴトフは笑顔で言った。


▽ ▽ ▽


次は男子がフォンと名も知らぬ生徒の試合、女子がシャルと謎の人物の試合だ。


シャルがステージに上がった。

するとアマゾネスのような恰好をした女性がステージに上がってきた。


「え?」

その女性は顔を仮面で隠しているが、どう考えても20代だ。

なんでこの人の出場が許されてるんだ。


シャルはアマゾネス女を見ても全く動揺していない。



もう1つのステージにはフォンと名も知らぬ生徒が上がった。


審判の掛け声とともに4人が動き出す。

シャルは何か魔法を発動し、天獣の槍を投げる。

槍はアマゾネス女に当たると爆発をした。


アマゾネス女は全く防御をしてなかった。

防御をしていないというか、全く動いていない。


明らかに異様な状況。

たぶんシャルが闇魔法を使って何かをしているのだろう。


天獣の槍はシャルの手元に戻っている。

シャルは雷の球を3つ出し、アマゾネス女に向かって行く。


アマゾネス女は試合開始からまったく微動だにしない。

しかし攻撃を食らうと口元を歪ませているので効いていないということではないみたいだ。


シャルが再び槍を投げると、雷の球も一緒に飛んで行く。

槍が当たると爆発と雷撃がアマゾネス女を襲う。

アマゾネス女は身体を痙攣させながら倒れた。


シャルの圧倒的な勝利だ。

アマゾネス女は試合中1歩も動くことができなかった。

ここまで圧倒的だと少しかわいそうに思ってしまう。



もう1つのステージでも決着がついた。

フォンが名も知らぬ生徒を倒していた。



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