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371.卒業試験①

ついに明日、明後日は卒業試験だ。

弟子達の気合は入りまくっていた。


試合は男子の1回戦が2つのステージで行われ、それ以降は片方で男子の試合、もう片方で女子の試合が行われる。

ルークの1回戦が第1試合の為、俺達は朝から応援に行く予定だ。


1日目は男子の1回戦と2回戦、女子は1回戦を行う。

2日目に準々決勝と準決勝と決勝を行う。


1日目が全体のスケジュールはハードだが選手は多くて2試合だから問題はないだろう。

問題があるのは2日目。決勝に行く人は3試合しないといけないし相手のレベルも上がる。

出来るだけ弟子には当たりたくない。


目覚めてから、弟子達が本気で戦っている姿を見れていない。

だから不安はあるが、それ以上に楽しみだ。


俺は瞑想をしながら魔装と魔力循環を繰り返し切り替える練習をし続けた。



▽ ▽ ▽



卒業試験1日目。


1~8試合目に出場する弟子は早めに出発した。

俺はギリギリ9試合目なので、ルークの試合に間に合えば問題ない。

ゆっくり食事をして、出発の準備をした。


俺とカシムとチャールズ兄とビッツは馬車に乗って、闘技場に向かう。

馬車が数分進むとゴーレが声をかけてきた。

「マスター」

「どうしたの?」

「武装した敵が10人程います」

「は?」

街中で襲ってくるなんて馬鹿すぎる。

盗賊ではないはず、可能性があるとしたら卒業試験関係の嫌がらせだ。


俺達は武器を持って、馬車を降りた。

10人近い冒険者のような恰好をした奴らが居た。


「何の用?急いでるんだけど」

「あ?お前を殺したら金がぐわっ!」

俺は魔力循環ですぐに距離を詰めて、腹に鬼潰棒を突き刺す。

ワープと違って攻撃に速度が乗るから当分は起き上がれないだろう。


「ごめん。話してる途中で攻撃しちゃった」

俺の速さに他の奴らは驚いている。


シュッ!シュッ!シュッ!


俺に近い男に矢が刺さって倒れる。

カシムの矢だ。

「いいんだよね?やっても」

「うん。時間ないし、話はしなくていいか」

俺がそういうとチャールズ兄とビッツが走り出す。


ビッツは男達の周りを4足歩行で走り回る。

男が攻撃をしようと近づくと、ビッツの罠を踏んで痺れて動けなくなっていた。


チャールズ兄はめんどくさそうに大盾を振り回して、男4人をまとめて吹き飛ばす。


「ははは。これと戦うのはえぐいな」

3人の戦闘を見て、卒業試験で戦いたくないと心から思った。

残りを倒そうとしたがカシムとゴーレがすでに倒していた。


「時間もないし連れて行こう。闘技場に黄盾騎士団の人がいるだろうし」

「わかりました。すぐに縛り上げます」

ゴーレは俺の話を聞きながら、襲撃してきた奴らを縛りあげて装備を剥いでは破壊を繰り返していた。



馬車に乗り込んで進むと、またゴーレが話しかけてきた。

「マスター」

「また?」

「はい」


俺は襲撃の多さに頭を抱えた。


「よし。ルークの試合に間に合わせるために、すぐに倒すぞ」

「「「はい!」」」


俺達は再び馬車を降りて、戦闘を始めた。


▽ ▽ ▽


闘技場に到着すると、授業に付き合ってくれた騎士の人が居た。

「ライル!リゴベルト様とオステオ様が探してたぞ」

「すみません。来る途中に襲撃されて」

「え?」

「ゴーレ」

ゴーレはほぼ裸の襲撃者24人を引き摺ってきた。


「これは私達が預かる。みんなはすぐに控室に向かってくれ。1階の奥だから」

「わかりました」

襲撃者はゴーレと騎士に任せて、俺達は控室に急いだ。


控室にはハンとゴトフが居た。

他にも何人かいたが、名前は憶えていない。


「ライル。遅かったじゃないか」

ハンが心配そうに言ってくる。


「ごめん。普通に襲撃された」

「え!」

「大丈夫だった?」

「まあね」

ゴトフは心配そうにしていた。


「それで今はどこまで進んでる?」

「今はフォンの試合。僕達は全員勝ったよ。反対の控室に居るルークも勝ったよ」

「よかったー」

「ルークの相手は確実に学生じゃなかったけどね」

「うん」

2人はルークの試合を思い出すかのように話し出した。


「たぶん冒険者か傭兵だと思う。普通の生徒じゃ絶対勝てなかった」

「ねじ込まれた謎の人物ってやつね」

みんなが気にしていた謎の人物の1人は早々にやられたみたいだ。


「まあ心配することはないでしょ。1回戦で他の謎の人物と戦うのは?」

「僕らの知り合いだと、次の試合のジョシュと14試合目のカシムだね」

「なら平気だね」

「2回戦で当たる可能性があるのはライルと僕だけどね」

「えー。めんど!」

俺も戦わないといけないのを知って、心の底からめんどくさいと感じた。



俺達は控室内の階段を使って2階に上がった。

そこで試合が観戦できる。


ステージを見るが、フォンの姿が無かった。

もう1つのステージでは知らない生徒が戦っていた。

「あれ?フォンは?」

「呼びましたか?」


振り返るとフォンが居た。

「あれ?もう試合終わったの?」

「はい。しっかり勝ちました!」

フォンは嬉しそうに言うので、俺は頭を撫でた。


「試合開始は合わせるから、あの試合が終わらないと次の試合が始まらないね」

「なるほどね」

俺は名も知らぬ生徒達の試合が終わるのを待った。


▽ ▽ ▽


名も知らぬ生徒達の試合が終わり、フィンとジョシュの試合になった。

ジョシュの相手は例の謎の人物らしい。

こっちの控室に居るはずだったが居なかった。

やっぱり誰かがねじ込んだから別に控室があるのだろう。


ステージを見ているとフィンとジョシュが見えた。

フィンの相手は名も知らぬ生徒。

こっちの試合はまったく心配していない。


ジョシュの相手は10歳くらいの男の子だ。

装備を見るからに魔法をメインで戦うのだろう。


審判をする騎士が試合開始の掛け声をかける。

「はじめ!」


ジョシュは掛け声と同時にステージを4足歩行で駆け回る。

男の子はジョシュに向かって火の矢を飛ばす。

魔力操作もしっかりできているようで、火の矢はジョシュを追尾する。


ジョシュは男の子に向かって走り、男の子を飛び越えた。

火の矢は男の子に当たりそうになるが、水の盾に防がれた。

ジョシュは相手の自滅を狙ったみたいだけど、そんなに簡単にはいかないみたいだ。


男の子が再び魔法を放とうとするが、ジョシュは岩喰の牙槌で腕を攻撃する。

男の子は攻撃を避け、巨大な水の拳をジョシュに向かって放つ。


さすがにこれはまずいかと思ったが、ジョシュは水の拳に飛び込んでいく。

そして両腕を巨大化させて水の拳を弾く。

その勢いのまま男の子を殴る。

男の子は吹き飛ばされ戦闘不能になった。

ジョシュは無事に勝利した。



フィンの試合を見ようと思っていたが、ステージにフィンの姿はなかった。

早々に試合が終わっていたみたいだ。


やっぱりあの男の子はただの生徒じゃない。

言い方が悪いが、この学園ではあの魔力操作は身につかない。

それに獣人であるジョシュの攻撃を避けれるのは、経験値がそれなりにないと難しい。

だいぶ若く見えたが、何者なのだろう。



控室にジョシュが戻ってきた。

「おつかれ」

「勝ちました!ライル様!」

ジョシュはブンブン尻尾を振っている。


「おめでとう。相手はどうだった?」

「強かったです」

ジョシュの尻尾の勢いが増す。


俺がジョシュの頭を撫でていると声をかけられた。

「ライルさん。試合準備をお願いします」

「ああ。俺の番か」

俺は特に何もせず、ステージに向かった。


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