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369.モンスターサーカス③

打ち上げは大盛り上がり。

やはりライル商会の料理やお酒は負け知らずの様だ。


ジェラルドンさんの奥さんは、公演でペガサスに乗っていた人だった。

サーカスのテントもテント内のマジックアイテムも奥さんのテルマリアさんのエクストラスキルらしい。


俺はジェラルドン夫妻と話し込んでいた。

「次の公演はいつなんです?」

「うーん。まだ決めてないですね。今回出費が多くて」

「え?そうなんですか?」

「ここの土地を借りるにも相当お金がかかっているんです。それに屋台の発注もありますし、団員も多いので経費が掛かるんです」

ジェラルドンさんは酔っているのか嘆いていた。


「ライル様。こんな素晴らしい興行は支援すべきです」

「え?」

セフィーナさんは真剣に俺の目を見ている。


チケットを買いに来た時に金銭面が厳しい雰囲気を感じていたので、今日の公演を見て支援するか決めようと実は思っていた。

セフィーナさんも乗り気みたいだし、双方にメリットがある形を考えてもいいかもしれない。


「うーん。俺は良いと思うんだけど、なんかお互いが得をするような形にしたいよね」

「それはそうですね」

するとゴトフが口を開いた。


「ライル商会が公演の時に屋台を出すのはどう?」

「え?」

「今日みたいな料理の屋台だけじゃなくて、ライル商会の商品を売る屋台も作って」

「でもサーカスに付きっきりにできる人材はいないしな」

ゴトフはなぜかドヤ顔をしている。


「公演場所にグリフォン運輸が料理人を運べばいいじゃん」

「ああ。ありだねそれ。サーカスでもライル商会の宣伝をしてもらえば、お互いに得があるか」

俺はゴトフの意見を参考にして、頭の中でまとめた。


「まあ提案は明日にしよう。ジェラルドンさんも酔ってるみたいだし」

「そうだね」

俺達はジェネッタ先生に伝言を頼み、家に帰宅した。



▽ ▽ ▽



翌日、俺とゴトフとセフィーナさんはモンスターサーカスを訪れた。


「えっと、お話とは何でしょうか」

ジェラルドンさんとテルマリアさんは何故か緊張している。


「昨日話そうと思ったんですけど、ライル商会と提携しませんか?」

「「提携?」」

ジェラルドンさんとテルマリアさんは首を傾げた。


「ライル商会とモンスターサーカスで協力できないかなと。ライル商会はサーカスに資金提供や公演の時の屋台を提供。サーカスはライル商会の宣伝をする」

「ええ!そんな好条件で?」

「屋台に関してのすべてこちらで用意するので売り上げはすべてもらいます。今まで屋台にお金を払ってた分が無くなるって感じです」

「ぜひ!ぜひお願いします!」

ジェラルドンさんは俺の手を握ってきた。


俺達は細かい内容を詰めて、サーカスを出た。


▽ ▽ ▽


俺とゴトフはモンスターサーカスとの提携をすることになったので話し合いをすることにした。

議題はワカチ山にいるゴトフについてきた人達についてだ。


従者をしていたサジュムとターティーには『秘密の通路』について教えているが、他の人には教えていない。

今後はどうするのかを真剣に話し合った。

その結果、ゴトフと俺で簡単な面談をすることになった。


基本的に悪い人間はいないはず。

何故なら、公爵家で働いていたのにゴトフが始める新事業についてくると決断した人達だからだ。

俺が懸念しているのは、チバラス公爵家にライル商会の情報が筒抜けになることだ。

チバラス公爵は悪い人ではないが、権力者に弱みを握られたくない。

ゴトフはそんなことにならないようにしてくれるとは言ったが、やっぱり貴族に対しての苦手意識は抜けない。


14人の面談は数時間かかった。

結果は全員合格。


合格理由はゴトフへの忠誠心が高い事と、全員が『騎乗』をちゃんと取得していた事。

これでサジュムとターティーを入れると16人の従業員だ。


元メイドが5人、元兵士が4人、元執事が2人、元料理人が2人、元馬丁が1人。

俺は14人に指示を出した。

元メイドと元料理人には『料理』を取得するためにブライズさんの所の手伝い、元兵士と元執事はライル商会の商店の手伝いをするように言った。

元馬丁にはグリフォンの世話をお願いした。

モンスターサーカスへの人員はグリフォン運輸の任せることになった。


ゴトフはみんなを集め、口を開く。

「えーっと。ライルの言うことを聞けば必ず成長する!だからみんなも全力で取り掛かってくれ!」

「「「「おおおおおお!」」」」

ゴトフの言葉にみんなの士気が上がった。


▽ ▽ ▽


俺はゴトフ達と別れ、ヤルクダンジョンに籠った。

さすがに卒業試験までに魔力循環をできないようにしないと弟子達に負けてしまう。


俺は森帝のロッドを手に取る。

目を瞑り、魔力を身体に循環させる。


「え?あれ?」

すぐに上手くいった。


動いてみると少し乱れたが、これは一歩前進したかもしれない。

だが何が要因だかわからない。


俺はすぐにステータスを見た。

ステータスには『集中』があった。

「まじかー」

魔力循環をしながら動く訓練に切り替えた。



「ワープ!」

ワープすると魔力循環が途切れる。

「ワープして魔力循環を維持するのが最終目標になりそうだな」


俺はワープを使わずに身体を動かす訓練に変更した。

攻撃のモーションをしても飛び跳ねても魔力循環は途切れない。

『集中』はなかなかいい作用をしてくれているみたいだ。


元々目標としていたと身体強化を意識してみた。

下半身へ魔力循環を意識して地面を蹴る。

「うお!!」

いつもの3倍は跳び上がり、身体への反動もない。

成功したみたいだ。


「これなら卒業試験に間に合いそうだな。森帝のロッド無しでも出来るようにしないと」


俺は卒業試験を想定して、訓練を続けた。


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