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363.卒業試験

朝礼で卒業試験の話をされた。

武器も魔法もありのトーナメントらしい。


俺は2教科分の卒業資格が欲しいからベスト4を目指さなくちゃいけならしいが、大問題が起きた。

弟子達の気合が半端ない。


男女別のトーナメントらしいが、男子の弟子は7人いる。

ベスト4になるためには多くて4人倒さないといけない。

正直しんどい。

魔法ありな事だけが唯一の救いだった。


卒業試験は25日後、それまでにどうにか魔力循環を使えるようにしないと。


▽ ▽ ▽


魔物学の授業は心が安らぐ。

ジェネッタ先生のモンスターはみんな可愛いが、一番可愛いのはスノーキャットだ。

授業にいるスノーキャットは2代目らしい。


元々テイムしていたスノーキャットは進化をしてスノーキャットリーダーになったらしい。

そのスノーキャットリーダーが卵を産み、そこから産まれたのが授業にいるスノーキャットだという。


ジェネッタ先生の家系はみんなテイム系のエクストラスキルらしく、息子夫婦は王都で馬と馬系のモンスターのレンタル業をしていて、ワイアットで1番人気の店みたいだ。


娘夫婦はジェネッタ先生のテイムしたモンスターの研究のために、ポロデ領で牧場をしているという。

卵を産む原理や、進化などについて研究しているらしい。


『テイム』も卵も進化も俺が気になっていたことだったから、話を聞くのが本当に楽しかった。


今日もジェネッタ先生の話を聞きながらフリードを撫でいると、怒鳴り声が聞こえた。


「なんで懐かないんだよ!」

騒いでいるのはベンクトール・ザダだった。


ベンクトールの周りからモンスターが離れていく、その様子を見てベンクトールは泣きそうな顔をした。

「怪我はしてませんか?」

授業のサポートをしているジェネッタ先生の娘さんが声をかける。


「うるさい!平民が!」

ベンクトールは娘さんの手をはたいた。


俺は立ち上がり、ベンクトールを睨みつけた。

ベンクトールは俺に気付き、目を逸らした。


俺が睨み続けるとベンクトールは背を向けて、その場から立ち去った。


▽ ▽ ▽


授業が終わり、家に帰るとゴーレが家の外を見ている。


「どうしたの?」

「この家を監視している者が3人程いるみたいです」

「は?」

トーナメント対策で大変なのに、まさかの面倒事だ。


「襲ってくる様子は?」

「今のところはなさそうです」

「あーじゃあ襲ってきたら考える?」

「警戒はしておきます」

ゴーレはそう言って、フリード達の元へ向かって行った。



俺とチャールズ兄はいつものように夕食の準備を始めた。


すると庭から物音がした。

弟子達がまだ訓練しているのかと思ったら、ゴーレがキッチンに入ってきた。


「マスター」

「どうしたの?」

「襲撃者を3名確保しました」

「え?」

まさかこんなに早く襲撃してくるとは。


「襲撃者はライムを狙っていたみたいです」

「は?なんでライムを?」

「わかりません。しっかり返り討ちにされ、装備と武器が全部なくなっています」

「はぁー。見せしめはラドニークさんに何か言われるかもだから、縛って庭に放置しておいて」

「わかりました」

ゴーレはすぐに庭に向かった。


どこかの貴族がテイムモンスターを狙ってきたのだろうか。

尋問は夕食の後でもいいだろう。


▽ ▽ ▽


夕食を食べ終え、庭に来た。

裸の男が3人縛られている。

口もしっかり塞がれていた。


「ゴーレ、起こして」

「わかりました」

ゴーレは襲撃者の1人を蹴り飛ばした。


「んっ!」

男は呻きながら目を覚ました。


俺はその男に近づく。

「襲撃者さん。誰の指示で襲撃したんですか?あと目的も教えてください」

「んん!!ん-!」

「ああ。喋らないつもりなんですね」

俺は鬼潰棒を取り出して、襲撃者の方に振り降ろす。


「んんんん!!!」

痛みで叫んでいるようだ。


「答える気になりました?」

「んん!んー!んんんん!」

「これだけされてもまだ喋らないですか」

「んん!!!!」

男は必死に首を横に振っている。


俺は武鬼斧を取り出す。

それを見た男は震えだした。


「話さない気なら、殺してもいいですね」

俺は武鬼斧を振り降ろす。

武器斧は男の頬と一緒に口に巻かれていたシモン糸を切った。


「はぁーはぁー。喋ります!喋りますんで!命だけは!」

「喋ってくれるんですか?」

俺は笑顔で男の話を聞くことにした。



男から話を聞いた。


男は王都の近辺を拠点にしている盗賊団の下っ端。

王都にいる貴族の子供にテイムしているスライムを奪われたから取り返してほしいと依頼があったらしい。


「完全に騙されてるよ」

「は?」

「俺貴族じゃないし」

「え?」


男が所属している盗賊団は元々貴族に仕えていた者が多く、貴族に恨みがある者が多いらしい。

貴族の荷物を狙った犯罪しかしていなく、平民を狙ったり殺しをしたりは基本的にしないらしい。

義賊のつもりで活動しているのだろう。



「はぁーめんどくさいな」

「マスター。この3人はどうしますか?」

「うーん。ラドニークさんの所に連れてって。盗賊団がまだうちを狙ってるらしいから、全員捕まえるつもりと伝えておいて」

「わかりました」

ゴーレは盗賊3人を引きずって連れて行った。




▽ ▽ ▽




「おい!ちゃんと盗賊達には依頼したのか?」

「はい。今夜から動き出すそうです」

「私達からの依頼だとはバレていないな?」

「はい。あの盗賊団は貴族や悪徳商人しか狙わないという噂があります。なので標的が貴族だと言うことにしております」

「いいぞ」

私は使用人の返答に満足した。

あのバカガキ2人の100倍は使い物になる。


「それであれの準備はできそうなのか?」

「はい。今進めております。男が5人、女が4人用意できそうです」

「わかった。入学の手続きをするから早めに集めておけ。それともう1つの方も頼むぞ」

「わかりました」

使用人は頭を下げて部屋から出て行った。


これで私の計画は進む。

私が長い年月をかけて作ったドラゴンシュガーを台無しにした責任はしっかりとってもらうからな。




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