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362.ペパイドの計画

「ああああああ!なんで王都に降ろすポーションの数がこんなに少なくなるんだ!!!」

私は王家や騎士団からの報告を聞いて頭を抱えた。


いままで王国内のポーション事業を支えていたのはペパイド領だった。

それを数年前に出来た商会になんで奪われなければならないんだ。


粗悪品のポーションは学園みたいなどうでもいい場所にしか卸していない。

王国や騎士団にはバレていないはずなのに。

なぜ注文数が減るんだ!


ライル商会。


学園内でアホな同僚が噂している平民のライルがやっている商会。

あのバカ2人と揉めたのも、その平民だと聞いている。

それにドラゴンシュガーの解毒薬を作ったのも、その商会。


許さん。

平民ごときがどうやったらそんなものを作れる。


スライムか?

ベンクトールが前に言っていた。

ポーションを作るスライムをテイムしていると。


そういうことか。

スライムにポーションを作らせて、それを売っているんだな。

それならそのスライムを奪えばいい。


ライル商会。いやライル。

お前だけは許さない。

絶対に地獄を見せてやるからな。




▽ ▽ ▽




学園が再開した。

俺は言われていた通り、朝から学園長室に来ていた。


「おお。ライル。ちゃんと話すのは初めてだな」

「そうですね」

学園長は入学式で見かけただけだった。


「今回の件、本当に助かった。ありがとう」

学園長は深々と頭を下げた。

「いえ、気にしないでください」

シスターミアナの手柄を奪ってる気が少ししてしまった。


「ところで教員達から聞くに、選択授業の3科目で卒業試験を受ける許可が出ているみたいだな」

「そうですね」

「過去最速の卒業になるし、ライル達は優秀と聞いている」

「ありがとうございます」

「今日、卒業試験の内容ついて会議をするから明日には伝えられると思うぞ」

「試験の内容?」

俺は首を傾げた。


「国王様からライル達の実力がしっかりわかる物にするようにと命命が出ている」

「え?」

「ワシは優秀な騎士か冒険者との模擬戦でいいとは思っているから、そんなに嫌そうな顔をするな」

学園長に言われて、めんどくさがっていることが顔に出ていたことに気付いた。


俺は学園長との会話を終わらせ、第3演習場に向かった。


▽ ▽ ▽


オステオさんとの久々の組み手は気合が入る。


「ライル」

「はい」

「ドラゴンシュガーが平民街に流れたのは知っているか?」

「あー聞きました」

俺はオステオさんを攻撃しながら話を聞く。


「その捜査を黄盾騎士団がすることになった」

「そうなんですか!?」

「学園で始まった事件だから、学園に出入りしている私達が国王様直々に命を受けた」

「なるほど。犯人疑惑がある2人のことは当然知ってますよね?」

「ああ。まあ証拠がないからな。それにあの2人だけではドラゴンシュガーは作れない。家が関わっている可能性もあるから慎重に動かなくてはならないんだ」

「そうなんですね」

オステオさんはめんどくさそうな表情をしていた。

オステオさんレベルでも、貴族関係はめんどくさいみたいだ。


「オステオさん」

「なんだ?」

「久しぶりに全力を出したいんですけど、本気で防御してもらえます?」

「はは。いいぞ、来い」

俺はオステオさんから距離を置いた。


「ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!」

俺は限界まで風の矢を出す。


「さすがに厳しいか」

オステオさんは苦笑いした。


「ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!」

やっぱり2年前の戦闘のおかげで、同時発動の限界値がだいぶ増えている。


俺はオステオさんを指差す。

風の矢はオステオさんの正面に飛んで行く。


1か所に向かって飛んで行く風の矢は透明な壁にぶつかって、次々消えていく。

風の矢が消えるたびにオステオさんの表情が笑顔になる。


「これはまずいな」

オステオさんはそういうと大盾を取り出して構えた。

風の矢はまだ透明な壁に防がれている。


ガキン!


風の矢が残り4本になったところで透明な壁が無くなり、風の矢がオステオさんの大盾に当たる。

俺はすぐに魔力操作をし、風の矢の軌道を変える。

しかし今まで全く動かなかったオステオさんの華麗な身のこなしで風の矢は大盾に弾かれてしまった。


「くそー!あと少しだったんだけどな」

「ははは。まさか破るとはな」

オステオさんはなぜか嬉しそうだ。


「私のエクストラスキルを個人で破った奴は初めてだぞ」

「一点集中して物量で押せばいけるかなと」

「なるほど。まあ強度も調整できるから、次は破られることはないだろう」

オステオさんは自慢げに言った。


「そしたら、違う案を考えますよ」

「楽しみにしている」

オステオさんとの組み手は本当にためになった。




▽ ▽ ▽




「えーまずは夏の卒業試験についてだが」

学園長は教師陣を集めて、会議を始めた。


いつもなら私には関係がない話だったが、今回は違う。


「卒業試験を受ける者が2人。こちらは帝王学と経営学は筆記の試験で魔法学は模擬戦で問題ないか?」

「はい。珍しく卒業まで在籍している平民の生徒なので、授業で習ったことを理解していれば合格ができる試験でいいかと思います」

魔法学のバカ女教師が偉そうに言った。


「問題は今年の春に入学した、ライルを含めた15人だな」

学園長がそういうと、ヤイダラールのアホが口を開いた。


「経営学の卒業試験はまだ早いので受けさせない予定です。魔物学は『テイム』を取得してい者は卒業資格ありとする予定です」

「問題は武術と魔法学の卒業試験だな」

「はい。武術と魔法学の卒業試験は今までと同じ試験にするのは難しいと感じています」

「そうみたいだな」

学園長は悩んでいた。


私は挙手をした。

「ペパイド先生。なにか意見がおありか?」

「はい。今年はその15人以外にも武術や魔法学で優秀な生徒が多く居ると聞きます。なので武術と魔法を両方使った対戦会を行うのはいかがでしょうか?」

「ほう」

学園長の反応は良さそうだ。


「武術と魔法学を選択していて卒業資格が欲しい生徒が参加をする勝ち抜き形式の対戦会です。上位4人には2科目分の卒業資格、上位8人には1科目分の卒業資格にすれば生徒もやる気が出ると思います」

「それはありだな」

これで学園長の許可が出れば、私の計画が進められる。


「よし。ペパイド先生の案で動き始めよう。私は国王様に闘技場が使用できるかの確認を取ろう。ペパイド先生に今回は運営を任してもいいか?」

「はい。もちろんです」

バカのおかげで私の計画が進んだ。

ヤイダラールのバカの視線が気になるがそんなものどうでもいい。


この卒業試験でライルを潰してやる。




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