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36.食べ物チートは終わらない

パーティも終盤に差し掛かろうとしていた。

大人達は程よく酔っ払っていた。

ニーナちゃんとルークくんはフリードに寄りかかって仲良く寝ていた。


「パーティも終盤になってきたので、主役のライルにお言葉をもらおうか」

村長がそういうと、みんなが俺に注目した。


急なことで俺が少しテンパっていると、お父さんが耳打ちしてくれた。

「このタイミングでいいぞ」

「なに?」

「疾風の斧の家!」

「わかった。やってみる」


こそこそ話が気になったのか、村長が口を開く。

「何こそこそ話しとるんだ?ライル、村のみんなに一言もらえるかな?」


俺は立ち上がり、みんなが見えるところに移動して口を開く。

「今日は僕なんかのために、パーティを開いてくれてありがとうございました!

作ったマヨネーズも気に入ってもらえてよかったです」


酔っ払った大人達からやじが入る

「うまかったぞ!」

「また作ってね!」

「ストロングボアの料理のローストなんとかの作り方も教えてくれ!」


「「「「「え?」」」」」

酔っ払ったブライズさんの発言にみんなが驚いた。


みんなが驚いてる中、村長がブライズさんに問いかける。

「ブライズ、あの料理はお前が作ったんじゃないのか?」

「俺が作ったのはスライスして野菜と炒めたやつ。まあそれもテンパってた俺を見たライルくんが指示してくれたんだけどね。もう一個のローストなんとかっていうメインの料理はライルくんが1人で作ったんだよ。」


会場は一瞬静まり返ったが、すぐに騒がしくなった。


「ライルくん!あの料理の作り方を教えて!」

「うますぎたぞ!あの料理はすごい」

「あの子に矢を当ててたら、食べられなかったのか。。。」

「あなたには負けないわよ!」

「ライルすげぇな!」

「わたしにも作り方を!」



すぅーーーーー

この騒がしさを鎮めるため、俺は大きく息を吸った。

「僕と父カインと母マイアは、この村の発展を望んでいます!僕が授かったエクストラスキルは、微力ながら村の発展のお手伝いができると思います!その証明のために今からスキルをお見せします!」



・・・・・・・・

会場が静まり返った。



「今から、スキルを使うので移動をお願いします!」

そういってもみんなキョトンとしている。


その様子を見たゴーレが助け舟を出してくれた。

「みなさま、今からライル様がスキルを使います。ですので、私の誘導についてきてください」


みんなが我に返ってゴーレについていく。

「ありがとうゴーレ」


▽ ▽ ▽


『秘密基地』のディスプレイを開きマップを表示させる。

いつのまにか小屋作成がLV3になっていた。


○小屋作成LV3

 任意の場所に小屋を建てることができる。

 カスタマイズすることができる。

 (作れる建物:物置・小さな家・中型の家)


「お!これなら予定より派手にお披露目出来るぞ」


マップでA5を選択し、【小屋作成】をタップ。【中型の家】をタップすると[エリアを選択してください]と出て来た。

小さな家とかと違い、範囲の調整ができるようだ。


A5エリアの下半分を選択した。


[カスタマイズをしますか?]

【YES】タップする。


カスタマイズを見てみると、部屋割りや家具がつけられるようになっていた。

俺はディスプレイをタップして、いろいろ設定してみた。


3LDK 2階建て

簡易ベッド×3

テーブル

椅子×4

風呂

トイレ

キッチン


【決定】をタップすると、[作成しますか?]と表示された

「よし、やるか」


俺はゴーレに視線を向けると、ゴーレは小さく頷く。

村人と疾風の斧はゴーレに注目している。


「みなさま、お待たせしました。今回のパーティに参加いただいたBランクパーティの疾風の斧の皆さんは、依頼が村の近くであるため、この村を数日間拠点にしてくれるとのことです」


村人から歓声と拍手が響く。


「そんな疾風の斧のみなさんの泊まる家を、今からライル様がエクストラスキルを使って作成いたします」

ゴーレの話を理解してる人が少なく、キョトンとしてる数名いた。


「では、ライル様!」

ゴーレの合図に合わせて俺は【YES】をタップした。


バッフン


木造の大きなログハウスが目の前に現れた。




▽ ▽ ▽




お披露目は大失敗だった。

村人はお酒と想像できない現象のせいで、何が起きたのか全く理解できず放心状態で家に帰っていった。


そのせいで、パーティの片付けはカイン家とブライズさんとチャールズ兄とカシムと疾風の斧でやっていた。


「みんなすみません。なんかすみません」

俺は何について謝ればいいかわからないが、とてつもなく申し訳なくなった。

そしてお披露目が失敗すると思っていなかったので少しふてくされていた。


そんな俺にカシムとチャールズ兄が声をかけてくれた。

「あの師匠のスキル凄かったよなチャールズ兄」

「そうだね。僕も頑張りたいな」

なぜか二人は俺のことを師匠と呼び始めていた。

カシムに至っては数分前にライバル認定されたはずだったのだが。


ブライズさんはお父さんにぐちぐち言われ続けていた。

酔っぱらった勢いで、変なタイミングで料理の事を話したからだろう。


俺達は会場の片づけを進めた。

ゴーレ達がいてくれたので、思ったより早く片付けが終わった。


俺は疾風の斧に家の使い方を教えるために一緒に家に向かっていた。

「ライル。なんかありがとな。パーティはあんな感じで終わってしまったが、うまい飯も食えて、酒も飲めたし、村人にはヒーローのように扱われて、そしてこのすごい家に泊まれるなんて。」

「いやーなんかすみませんね」


ヒューズさんと話しているうちに、家に到着した。


疾風の斧は家に入ると、ログハウスの出来に驚いていた。

「「「広すぎ!!!」」」


驚いてる疾風の斧を横目に俺は家の説明を始めた。

「とりあえず、1階にはリビング・ダイニング・キッチン・風呂・トイレがあって、2階には部屋が3つ、全部の部屋にベッドがあるからどの部屋にするか3人で相談してくれ」

「ライル、お前出会った時と喋り方とか違くないか?」


俺は疲労とお披露目が大失敗に終わったことでだいぶふてくされていた。

「今日は疲れたし、俺に矢を放った疾風の斧の皆さんの前では良い子にしなくていいかなーって思いまして!」

「ライルくん性格も悪くなってる」

「トイレと風呂の使い方はゴーレに聞いておいてください。それで皆さんの明日の予定は?」

「明日は一旦休む予定だけど」

「それなら、明日のお昼過ぎに伺います。おやすみなさい!疲れました!おやすみなさい!」


俺は疾風の斧の返答も聞かず家に帰る。


「あー疲れたー!絶対うまくいくと思ったんだけどなー!」

叫びながらベッドに潜っていった。


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