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357.学園交流会

夜になり、みんなが集まってきた。

ゴトフ、クラリ、ルサンナ様が到着した。


ルサンナ様とゴトフは元々知り合いだったらしい。

そういえばゴトフからトカザック家がどうたらって聞いた気がした。


みんなは弟子達と仲良く話していた。


「マスター」

「どうしたの?」

「イタロ様がお客様を連れていらっしゃいました」

「え?友達がいないイタロが?」

「はい。同世代の方なので、学園の生徒だと思います。それに近くに護衛と思われる人間が数人います」

「わかった。客間に案内して」

「はい」

ゴーレは返事をするとすぐに門に向かった。


俺はゴトフに事情を説明して、客間でイタロを待った。


少し待つとイタロと少年が客間に入ってきた。

その少年をみたゴトフは立ち上がったので、俺も立ち上がる。


「ハン王子。チバラス公爵家7男のゴトフ・チバラスです」

「ライルです」

ゴトフがかしこまったので、俺もかしこまった。


「そうかしこまらないでくれ。俺はハン・ガト。ガト王国の第一王子だ」

まさかの他国の王族がうちに来た。

ゴーレが気付いた護衛の理由がよく分かった。


「えーっとハン王子はどうして我が家にいらっしゃられたのでしょうか?」

俺が質問すると、ハン王子は気まずそうな表情をした。


「それについては僕から話していいかな」

イタロが申し訳なさそうに口を開く。


「今日、ハン王子と同じ留学生ということで交流をすることになったんだ。学園での生活や、ワイアット王国の貴族との交流などをお互いに話したんだ」

国のトップの子息同士、情報共有することも必要だろう。


「それで僕が話しちゃったんだ。ゴトフやライル達のことを」

「なるほど」

「そうしたら。ハン王子が気になってしまって」

イタロがそういうとハン王子は恥ずかしそうにした。


「ハン王子も僕と同じで友達がいないみたいで」

「え?」

「いつも一緒に入学した護衛と行動しているせいで、なかなかしゃべりかけてくれる人がいないみたいで」

「なるほど」

ハン王子は本当に恥ずかしそうにしている。


「平民のライル達は普通の友達のように接してくれるって話したら、ぜひ会いたいと言われたので」

「連れてきたってことね」

「はい」

イタロは申し訳なさそうに頷いた。


「ハン王子がいいのなら、うちで夕食を食べて行きます」

「いいのか?」

「外にいる護衛の人達がいいのなら」

「え!」

護衛に気付いているのに驚いたみたいだ。


「確認してくる。待っててもらえるか?」

「はい。ゴーレ、付いて行って」

「わかりました」

ハン王子とゴーレは門へ向かって行った。


▽ ▽ ▽


無事、ハン王子は護衛の許可を得た。

護衛から室内には入らないが庭に入る許可を求められたので了承した。


「ライル。ありがとう」

「いえいえ」

「ライルもゴトフも俺のことはハンと呼んでくれ。言葉も崩してほしい」

「いいんですか?」

「こちらからお願いしたい」

「わかったよ」

「はい」

俺とゴトフはハンの要望を受け入れた。


大広間に行くと、弟子達が料理を並べていた。

「おっ!準備してくれてたの?」

「うん。師匠が忙しそうだったからね」

チャールズ兄も本当に優秀。


「じゃあもう1人お客さんが来たから紹介するね」

俺はみんなの前に立つ。


「えーっとガト王国から来たハンだ。学園に通ってるから、みんな仲良くするように」

「「「「「「「「はーい!」」」」」」」」」

弟子達は元気よく返事をした。

ハンが王子と知っているのか、クラリとルサンナは顔を引きつらせた。


「じゃあ交流会を始めよう」

そういうとゴーレがみんなに飲み物を配った。


▽ ▽ ▽


俺はクラリとルサンナ様と話している。

なぜか問い詰められている。


「ライルさん。ハン王子を呼び捨てにするなら、私も呼び捨てにするべきではないですか?」

「そうですか?」

「はい!ぜひルサンナとお呼びください」

「わかりました」

俺がそういうと、ルサンナは嬉しそうにしていた。


「ニーナちゃんにライルさん達がなんであんなに強いか聞いたんです。そうしたら特訓と言ってたのですが、どのような特訓をされてるんです?」

ルサンナは興味津々に聞いてきた。


「うーん。普通ですよ」

「そうなんですか?私もぜひやってみたいです」

「俺もやってみたい。あの強さには憧れる」

ルサンナだけではなく、ハンも特訓がしたいと言い出した。


「やめた方がいいですよ」

「「え?」」

目の奥が真っ黒になったゴトフが口を開いた。


「僕はその特訓をしたことがあるけど、生半可な気持ちじゃ絶対にやっちゃダメです」

「どんな特訓だったんだ?」

「午前中はAランク冒険者と素手で組み手、午後はAランク冒険者と武器を使った組手」

「素晴らしいじゃないか」

「本当にそう思います?」

ゴトフの目がどんどん黒くなっていく。


「怪我をしてもポーションを飲んで再開、疲れて倒れてもポーションを飲んで再開。休みなしでAランク冒険者がボコボコにしてくるんですよ。相手は自分のことを思ってやってくれてるっていうのが伝わってくるせいで、苛立ちすらできない。毎日毎日同じ内容を繰り返す。ボコボコにされて、回復されて、ボコボコにされる」

ゴトフの発言にみんなが引いている。


「ラ、ライルさん。これが特訓ですか?」

「うちでは軽い方ですね。相手がAランク冒険者なんで。弟子達は数百匹のモンスターと戦わせましたね」

「数百匹・・・」

引いてるイタロとルサンナとハンを見て、クラリさんが口を開く。


「私の姉がライル商会に所属している冒険者なんだけど、ゴトフと一緒に特訓したいって言ったら止められたの」

「え!?」

俺も初耳だった。


「ライルさんは、カラッカの冒険者に鬼将軍と呼ばれて恐れられるぐらい厳しいって。死ぬ気で強くなりたいと心から思わないと心が折れちゃうって」

「「鬼将軍・・・」」

クララさんは説教確定だ。


「そんな厳しくないからね。ゆるーく助言とかもできるから。まあ学園で学べると思うんで必要ないと思うけどね」

俺は鬼将軍のイメージを消すために必死に話した。


「ちょっと厳しくてもいいから、僕はライルに魔法を教えてほしい」

イタロはまっすぐ俺を見て言った。


「私は助言をもらえたら・・・」

ルサンナは申し訳なさそうにいう。


「俺は戦い方を教わりたい」

ハンも真剣そうだ。


「あーわかった。学園が休みの日なら教えるから」

俺は3人の勢いに負けて、魔法や戦い方を教える約束をした。




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