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356.蒸留酒酒造

昨日の夕飯はものすごく盛り上がった。

イタロが何を食べても喜んでくれるから、どんどん料理を出してしまった。


本日も学園は休み。

今日こそはのんびりしようと思っていたが、アースがヤルクに帰ってくるので蒸留酒酒造を作ることになった。

蒸留酒酒造を取得して、残りが1ポイントになった。


ヤルクに帰って、さっそく設置をしようとするとウィンドウが目の前に現れた。

[蒸留酒酒造はワイン酒造所に隣接させることをお勧めします]


俺は素直にワイン酒造所の横に蒸留酒酒造を設置した。

バッフン!


ワイン酒造所の横に同じような建物ができた。

中に入ると、ワイン酒造所と繋がっていた。

そして中央には知らない大人の女性型のゴーレムがいた。


「えーっとどなたですか?」

「ライル様。私です。エリムです」

「え!」

ワイン酒造所の管理をしていたマネージャーゴーレムのエリムの姿が変わっていた。


「蒸留酒酒造のおかげでマネージャーゴーレムエリートになり、ワイナリーゴーレムが10体追加されました」

「おお!凄い」

「はい。生産量も今までと変わらずやっていけます」

表情が変わらないはずなのに、エリムが笑っているように感じた。


「では蒸留酒酒造の使い方をお教えしますか?」

「ちょっと待って!呼びたい人がいる」

俺がそういうと、ゴーレがアースとアヤノを連れてきた。


「え?」

「同期してますので」

本当にゴーレは優秀だ。


▽ ▽ ▽


エリムの説明を3人で聞いた。

ワイン酒造所と同じで材料をマジックボックスに入れれば、ワイナリーゴーレム達がタンクに入れてくれるみたいだ。


「何を作りたいとか作れるかとかは、エリムさんと話せばいいんですか?」

「はい。私は秘密基地内の情報を同期していますので、作れるものの提案をすることができます」

「ほーではまず」

アースはノリノリでエリムと相談を始めた。


「焼酎はこのヤルクイモ3種類で作ってもらって。栗もいけます?」

「栗焼酎も可能です」

「ではそれもお願いします」

アースは本当にノリノリだ。


「アースさん。ブランデーもお願いします」

「わかってます。白ブドウとリンゴでブランデーもお願いします」

「はい。問題ありません」

「ウォッカは小麦でいけますよね?」

「はい。果物を使って香り付けも可能です」

「じゃあ何種類かお願いします」

「わかりました」

ワイナリーゴーレム達は一斉に動き出した。


「ライルさん。必ず探し出さないといけないものが出来ました」

「え?」

「大麦です」

アースは真剣な表情で俺に言った。


「大麦か。学園に留学生が居るから聞いてみるね」

「ありがとうございます。私はナハナ迷宮国で探してみます」

「うん。よろしく」

蒸留酒は完全にアース任せだがいいだろう。


俺は蒸留酒酒造を後にした。


▽ ▽ ▽


「ライルさん」

王都に帰ろうとしたら、アヤノに止められた。

「これを食べてください」

アヤノに渡されたのは焼き芋だった。


「これが白いヤルクイモ以外の2つです。名前も決まっていて紅玉・紫苑。焼酎用が白銀と言います。紅玉はネットリとした甘みが強い種で、紫苑はホクホク系でこちらもしっかり甘みがあります」

「おーいいね」

「ガルスタンさんに焼き芋器を作れないか聞いています」

「おっけ!じゃあ任せていい?」

「はい。出来上がったら、屋台販売にしてもいいですか?」

「うん。任せるよ。孤児院の子供達が怪我しないのなら」

「わかりました」

アヤノ嬉しそうに去っていった。



王都に帰ると、弟子の女子達が集まっていた。

よく見るとクラリと知らない女子もいた。


「あっ!ライルさん」

「いらっしゃい。今日はどうしたの?」

「ライルさんにお礼が言いたい子がいて、経営学の授業でみんなと顔なじみになってたから話しながらライルさんを待ってたんです」

「なるほどね。待たせちゃってごめんね」

「いや勝手に来たのは私達なんで。それで紹介してもいいですか?」

「うん」

俺が頷くと女の子が前に出た。


「ルサンナ・トカザックです。トカザック領主の孫です。ルサンナとお呼びください」

「えー俺はライルです」

トカザックという名前は聞いたことある気がする。


「それでルサンナ様はなんで俺にお礼を言いたかったんですか?お会いしたことありましたっけ?」

「一方的ですが武術と魔法学の授業でお見かけはしました。お礼を言いたいのはベンクトールを静かにさせてくれたことです」

「ベンクトール?」

「えーっとベンクトール・ザダのことです」

「あー」

ザダ子爵の息子の名前を初めて聞いた気がする。


「ベンクトールを静かにさせた?」

「はい」

ルサンナ様はベンクトールとの関係について話してくれた。


ザダ領とトカザック領は漁業が盛ん。

王都で海産物を販売するのも、その2つの領だけ。


ザダはそんな状況が気に食わないため、トカザックの海産物の運搬を盗賊などを使って妨害をしていた。

トカザックは盗賊を捕まえて依頼者を履かせたが、ザダは盗賊が嘘を言っていると言って認めなかった。

確実な証拠が得られないため、対策としてトカザックは運搬の警備を増やした。

チバラス家にも警備の協力を頼むことで、ザダ家からの邪魔は入らなくなった。


細かい嫌がらせはあるが、大きな問題にはならない日々が続いた。


しかし5年前、ルサンナ様とベンクトールの学園入学が被った。

ベンクトールはルサンナ様に嫌がらせを頻繁にしてきた。

ルサンナ様はそれに屈しはしなかったが、煩わしく感じていた。


最終学年になって、あと1年間我慢すればいいと思っていたがベンクトールからの接触がなかった。

横柄な態度もせず、静かに学園生活をしているベンクトールに違和感を感じた。

使用人に原因を探らせたところ、俺との揉め事について知った。


最初は信じていなかったが武術と魔法学の授業を見て確信し、交流があるクラリに頼んでうちに来たとのことだった。


「本当にありがとうございました」

ルサンナ様は頭を下げた。


「いやいや。たまたまですが力に慣れたのならよかったです」

「耐えれる嫌がらせですが、正直めんどくさかったんです。あの陰湿野郎は平民の生徒数名にも指示を出してたので、本当にだるくてだるくて」

ルサンナ様は本当に嫌だったみたいだ。


「もしベンクトール?に何かされたら言ってください。すぐに殴り倒すんで」

「ありがとうございます」

ルサンナ様は再び頭を下げた。


「差し出がましいんですがお願いがありまして」

「え?なんですか?」

「はい。できれば私もクラリのように友人になってもらえませんか?」

「いいですよ。うちの子達とも仲良くしてもらえてるみたいなんで」

「本当ですか!?ありがとうございます!!」

ルサンナ様は笑顔になった。


話も終わり、うちの子達との交流のためにクラリとルサンナ様を夕食に誘った。

ゴトフやイタロも呼んでみるのもありかもしれない。


俺はすぐに食事の準備を始めた。




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