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351.魔物学

昨日のヤイダラール先生との話し合いで、俺達は次の武術と魔法学の卒業試験を受けることになった。

しかしあまりにも早すぎるため、授業の受け方が色々と変わった。


魔法学は休み。

武術の授業では、他の生徒とは別で魔法有りの戦闘訓練をすることになった。

さすがにヤイダラール先生だけでは無理なので、助っ人を呼ぶらしい。


卒業試験も今までと同じではなく、特別な試験を学園内で話し合って決めるとのことだ。


「まさか昨日だけでこんなことになるなんてな」

俺は午前の授業がないルークと学園の厩舎でのんびりしていた。

ルーク以外の弟子はみんな経営学を選択していた。

ゴトフもクラリも経営学の授業に出ているので、下手に歩き回らない方がいいと判断した。


厩舎にいる理由はもう1つある。

午後の魔物学の授業にテイムモンスターを連れて行くからだ。

『テイム』を既に取得している人は是非とのことだった。


昨日ヤイダラール先生に確認したら、最大2匹にしておけと言われた。

『テイム』を取得している生徒が稀にいることがあるから連れてきていいと言われているが、ゴトフを含めて7人も取得しているなんて魔物学の先生も思ってないだろうとのことだ。


俺はフリードとライム、ニーナはグーちゃん、ルークはライドン、ジョシュがマシュー、ベラがイムニ、ララがロズ、ゴトフがグリリを連れて行く予定だ。


ヒヒーン!

ポニョ!ポニョ!

フリードとライムは喜んでいるようだ。


厩舎でフリードの毛づくろいをしていると、3人の生徒がやってきた。

「お前がライルだな」

「ああ。そうですけど」

「俺はリリヤド・シチールだ」

背が大きい小太りの貴族は自己紹介をした。


「ライルです」

俺は猫かぶりモードで頭を下げた。


「お前が今話題の商会の商会長なのは本当か?」

「話題かはわかりませんが、商会の商会長をやっています」

「ははは。気に入った。武術の授業で強さも見たぞ」

「ありがとうございます」

「お前は今日から俺の配下だ」

「は?」

このデブはいきなり何を言い出すんだ?


「まずは昼食にお前の商会の美味い料理を用意しろ」

「それは無理ですね。それに配下になることも難しいです」

「は?何言ってるんだ?シチール家と敵対するのか?」

「そうだぞ!リリヤド様はシチール男爵家の方なんだぞ!」

「逆らったら、商会なんてすぐに潰せるんだぞ」

取り巻きの2人が騒ぎ出した。

本当にめんどくさい。


「厩舎でそんなに声を荒げていいんですか?」

「「「は?」」」

「ここにはこいつらみたいに狂暴なモンスターもいるんですよ」

俺はそう言いながらライドンを撫でた。

するとライドンは俺の気持ちを察したのか、3人に向かって叫んだ。

ギャーウギャー!


「「「ああああ」」」

リリヤドと取り巻きはライドンにビビッて厩舎から走って逃げて行った。


「配下にはなんないからな!」

俺は逃げていく3人に向かって叫んだ。


「なんだったんだろ」

「そうだな。男爵より辺境伯の方が力あるだろうし、なんかあったらラドニークさんに対応してもらうか」

「それがいいかもね」


俺とルークはリリヤドのことを忘れて、テイムモンスター達と戯れた。


▽ ▽ ▽


午後になり、ゴトフの案内で特別棟にやってきた。

当然テイムモンスターも一緒だ。


魔物学の授業は、『テイム』を取得しているメンバーとビッツとカイリとネネが選択している。

ビッツ達は魔法学を選ぶ意味がなかったため魔物学を選択した。


「楽しみだな」

「うん!」

特別棟には広めの庭があり、なぜか今日はそこに集合みたいだ。


庭につくと、7人の生徒がすでにいた。

武術や魔法学に比べるとだいぶ少ない。


生徒の中にはザダ子爵の息子も居た。

この授業を選択しているということは、本当に俺達のテイムモンスターを欲しかったのだろう。

俺の顔を見るとすぐに目を逸らし、距離を置かれた。


少し待つと、エプロンをした元気が良さそうなおばあさんがやってきた。

「まあ。今年は本当に多いのね」

おばあさんは俺達を見て驚いていた。


「皆さんこんにちは。私は魔物学を教えるジェネッタです」

「「「「「「「よろしくお願いします」」」」」」

「元気が良くてよろしい」

ジェネッタ先生は満面の笑みになった。


「今日は最初の授業なので、私達と私の孫のテイムモンスターと交流してもらおうと思います」

ジェネッタ先生がそういうと、特別棟からたくさんのモンスターを引き連れた女性がやってきた。


モンスターは本当にたくさんいた。

スノーキャット、フォレストキャット4匹、ファジーシープ2匹、ホーンラビット3匹、ストーンドッグ、スモールバイソン。

見たことのない種類が多く、俺は少しワクワクした。


「じゃあ皆さん、好きにモンスターと交流してください!気を付けることは孫に聞いてね!」

それを聞いた生徒達が恐る恐るモンスターに近づいて行く。


「既にテイムモンスターが居る子はこっちに来てちょうだい」

俺達はジェネッタ先生の元へ向かった。


「あらあら。今年は『テイム』を取得してる子も多いのね」

そう言いながらジェネッタ先生はフリードを撫でる。

「うん。この子はあなたとの生活に満足してるみたいよ」

「わかるんですか?」

「わかるわ。あなたお名前は?」

「ライルです」

「あなたがライルね。ヤイダラール先生に話は聞いてるわ」

ジェネッタ先生は嬉しそうに笑った。


「ということはここにいるみんなはライルの商会の子?」

「そうですね」

「こんなに『テイム』を取得しているなんて、すごいわね」

「『テイム』の取得方法について実験もしてたんで」

「そうなの?あとで詳しく聞かせて頂戴」

ジェネッタ先生はそういうと、俺達のテイムモンスターに触れていった。


「うん。みんなあなた達と一緒に居れるのがうれしいみたいよ」

それを聞いたみんなは嬉しそうに笑った。


▽ ▽ ▽


ジェネッタ先生はものすごく話が合う人だった。


『テイム』の取得方法は素質とモンスターとの交流が大事というのは共通していた。

ジェネッタ先生はそれに加えて、交流しているモンスターの感情が重要だと思っているようだ。

俺もテイム系のエクストラスキルとの関連について自分の考えを伝えた。

すると思った以上に話が盛り上がってしまった。


「いたっ!」

先生と話していると、突然生徒の1人が声をあげた。


声をあげた生徒を見ると手から血を出していた。

「大丈夫ですか?」

先生は慌てて生徒の元に行く。


「すみません。スモールパイソンの角に気を付けるように言われてたんですけど」

「気にしなくていいわ。さあこれを傷口にかけて」

そう言ってジェネッタ先生は生徒にポーションを渡した。


生徒はポーションを傷口にかけた。

「ん?」

血は止まっているようだが、傷が塞いでいない。


「ライム。お願いできる?」

ポニョ!ポニョ!


ライムは怪我をした生徒に近づき、傷口にポーションをかけた。

「え?え?」

いきなりポーションをかけられて生徒は驚いている。

傷は塞がり、元の状態になった。


「ライル。ありがとうね」

先生は俺にお礼を言った。

「大丈夫です。うちのライムは『ポーション生成』のスキルを持っているんで」

「凄いわね。学園から支給されるポーションも、もっと効き目があればいいんだけど」

「支給品なんですか?」

「そうよ。まあ私の授業ではめったに使わないからいいんだけどね」

ポーションの質については少し気になったが、まあ支給品だからしょうがないだろう。




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