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337.王都行き前日

明日、王都へ向かう。

見知らぬ土地と久々の野営が楽しみだ。


パーティまで暇なので、家でのんびりしている。

野営は馬車の中だし、フリードとライムとノコも付いてくるから何の問題もない。


のんびりしているとガルスタンとマデリンがやってきた。


「ライル様。新作を持ってきました」

「お!何の新作?」

「その前に[鬼速]をマデリンに渡してもらえますか」

俺はマジックバッグから[鬼速]を取り出して渡した。


マデリンとガルスタンは何か作業を始めた。


「できました。この2つのブレスレットを付けてください」

「あーうん」

俺は小さく宝石が付いたブレスレットを両腕につけた。


「片方に魔力を込めてみてください」

「うん」

右腕のブレスレットに魔力を込めると服がいきなり変わった。

俺が着ているのは[鬼速]だった。


「え?え?」

「マデリンが作った着替えの腕輪です。来ている服と腕輪に入っている服を入れ替えます」

「え?すごくない?」

「はい。マデリンの最高傑作です」

マデリンは少し照れながら口を開いた。


「今回のために急いで作ったので、改良や軽量化はまだまだできると思います」

「すごいよ!本当に」

マデリンは笑顔になった。



「なんで2つあるんだ?」

「もう片方には新しい鬼将軍シリーズ[武鬼]が入っています」

「着てみてもいい?」

「ぜひ」

左腕のブレスレットに魔力を込めた。


服が変わり、冒険者っぽい革鎧になった。

「おー。これが[武鬼]」

「はい。[鬼速]と違い、完全防御特化です。ブーツの底が凹凸でなので踏ん張りやすくなっています」

「ほー」

「一番変わっている部分はグローブです。鬼速のグローブは物を1つずつ収納出来たと思いますが、武鬼のグローブは4つずつ入れられます」

「おお!」

「先日の訓練の様子とヒューズさんの話を聞き、作りました」

ガルスタンは自慢げだった。


「既に武器が入っています」

「まじ?」

「はい。使ってみてください」


俺は武鬼のグローブを使った。


最初は両手に片刃の斧が出てきた。

「これは武鬼斧。武鬼のグローブ専用武器です」

「どうゆうこと?」

「この斧とグローブに双子石という特殊な石を使っています。投げても手元に戻ってきます。ただ向き次第では自分に刺さりますので練習してください」

「え!まじかよ」

「はい。オラの成功率は4割でした」

ガルスタンは少し恥ずかしそうにしていた。


次は突起が付いた六角の金棒が2本出てきた。

「これは鬼潰棒です。鬼合金製です」

作り手の力なのか、重心がズレず振りやすい。


最後に出てきたのは鎖だ。

「鬼鎖です。えーっと鎖です。鬼合金で作ってはいますが、ただの鎖です」

これは本当にただの鎖みたいだ。


全ての武器が腕に馴染む。

さすがガルスタンと言ったところか。


「ありがとう。大切に使うよ」

「いえ。改良が出来たらまたお持ちしますので」

そう言ってガルスタンとマデリンは帰って行った。



俺は庭に出て、武鬼斧を投げてみた。

グローブに魔力を込めると斧が帰ってくる。


「ミスった!」

俺は腕に当たりそうな斧をギリギリで避けた。


「これは練習だな」


▽ ▽ ▽


夜になり、レストランライルに従業員が集まった。


「えー明日から弟子数人と王都に行きます。王立学園の入学と国王に謁見するのが目的です。俺が居ない間、何かがあったらヒューズさんとガッツさんに頼ってください。家が出来たら帰っては来ますが、移動期間はどうしても帰れないので」

「「「「「「「はい!」」」」」」」

「2年寝てても、ライル商会がしっかり稼働してたのであんまり心配はしてないですけどね。とりあえず俺達の送迎会兼みんな頼んだよ会なんで、いつものように好きなだけ飲み食いしてください」

「「「「「「おおおお!!!」」」」」」

「新作もあるので楽しんで」


俺はあいさつを終えて席に戻った。


するとアヤノがマジックバックから次々と料理を出す。

最初はピザだ。

俺も昔作ろうと思ったが、チーズが無くて断念していた。


「トマトソースとオークベーコンのピザとシーフードピザとチーズピザです。チーズピザはハチミツをかけて食べてみてください」

アヤノが出したピザをみて、ブライズさんとチャールズ兄の目付きが変わった。


「アヤノちゃん。これは何だい?チーズですよね?」

「アヤノさん!これってパンですか?パンですよね?」

アヤノは質問攻めにあっていた。


ブライズさんの発言的にチーズはこの世界にあるみたいだが、ここまで質がいいのはないのだろう。

チャールズ兄はパン生地に反応したんだろう。

パン屋でピザを出すのもありだろう。


アヤノは質問に答え、再び料理を出した。

キムチの盛り合わせと納豆パスタ。

納豆パスタにはしっかり板ナッツ海苔が掛かっていた。


料理を出すたびに料理人に捕まるアヤノを見て、俺は爆笑していた。


▽ ▽ ▽


デザートのチーズケーキを堪能し、みんなも落ち着き始めた。


「ライル様」

「どうしました?」

セフィーナさんがやってきた。


「明日からよろしくお願いします」

「お願いします」

「実はお願いがあるのですが」

「はい?」

いつもお世話になっているセフィーナさんのお願いは聞くしかない。


「延期に延期を重ねた、私とカレンの戦闘訓練をお願いしたいです」

「あー」

遥か昔に約束をしたようなしなかったような。


「わかりました。武器とか防具は?」

「用意してます」

「王国へ行く道中にやりましょうか」

「はい。お願いします」

俺はセフィーナさんとカレンさんの訓練の約束をした。



次はアースがやってきた。

「ライルさん。白米探しは任せてください」

「よろしくね。他の植物でもいいから」

「はい」

アースの白米を食べたい欲は中々高いみたいだ。


「王都で奴隷関係の情報があったら教えてください」

「いいけど」

「確定ではないですが、ゼネバースが奴隷の販路を増やそうとしているようで、ワイアットにも繋がっている貴族が居るかもしれません」

「そういうことか」

「貴族の子息や孫なら口を滑らしてくれることもあるので」

「学園で情報が取れるかもって話ね」

「そうです」

アースはそれを伝えると、店を出て行った。




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