334.入学準備
ゴトフとクラリは早朝にヤルクを出発した。
クラリはクララさんが付き添いなので心配はない。
ゴトフはグリリに乗って帰るのと従者を先に帰らせているから、初めて一人で野営をするらしい。
それをワクワクした表情で伝えてきたのが本当に不安だ。
一応チバラス公爵用のお土産を持たせたので、色々上手くいったら嬉しい。
俺は学園に入学する弟子達を集めた。
鬼将軍の剱は5人全員。
鬼将軍の剛角はアメリア。
鬼将軍の鋭牙は6人全員。
そしてフィンとフォンだ。
正直、弟子達は卒業を目指していない。
俺の目的はこの国をしっかり知ってもらうのと、得意な選択科目で同世代のレベルを知ること。
それとライル商会の名を知らしめる目的だ。
鋭牙は獣人だから魔法が使えない。
選択科目で3つなんて無理に決まってる。
鋭牙とフィンとフォンは悪意を持った人間もいるってことをちゃんと理解してもらいたい。
「よし。じゃあ飛び級のための試験をします」
俺はゴトフから過去の進級試験をもらっていた。
「90点以下を1回でも取った人は学園入学は無しだから、頑張ってね」
「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」
みんなは学び舎の教室に着席した。
「じゃあフォーリアさんお願いします」
「はい。では開始!」
▽ ▽ ▽
試験の結果は予想通りだった。
女の子とチャールズ兄は全員満点。
男共はケアレスミスがあったけど90点以上だった。
無事全員合格。
「じゃあみんな入学は決定!王都に行くまでの同行者はどうしようか」
「「「「「「「はい!!はい!!」」」」」」
みんなが一斉に手を挙げた。
なんでめんどくさい移動の同行をしたがるのかわからなかった。
「えーっと。じゃあ同行者は4人。それ以外は『秘密の通路』を繋ぐのをヤルクで待つ」
「「「「「「「「わかりました」」」」」」」」
元気よく返事をすると、弟子達は集まっていた。
同行者をどうやって決めるか話し合っているみたいだ。
話し合いなら問題ない。
俺はみんなを置いて、訓練をしにヤルクダンジョン向かった。
▽ ▽ ▽
ゴトフ達が帰宅して3日。
やっと『体術』を取得した。
『スキルホルダー』に『体術』が入っているので、入れ替えを久々にすることにした。
【スキル】
○エクストラスキル
ガチャ(封印)
○パッシブスキル
スロット1: スキルホルダー
スロット2: 料理
スロット3: 棒術
スロット4: 体術
スロット5:
○通常スキル
スロット1: 風魔法LV5
→エアショットLV8
→ウィンドアローLV7
→エアアームLV6
→癒しの風LV6
→ウィンドカッターLV5
スロット2: 秘密基地 LV10
→畑作成LV4
→柵作成LV6
→小屋作成LV13
→厩舎作成LV4
→道作成LV4
→秘密の通路作成LV2
→芝生作成
→魔力線作成
→建築物移動
→設置アイテム移動
→ダンジョン移動
→植物成長促進
→地面硬化
→癒やしの空間
→幸福の空間
→奇跡の空間
スロット3: 鑑定
スロット4: 掃除
スロット5: クリーン
スロット6: 暗視
スロット7: 水泳
○スキルホルダー
隠蔽
騎乗
『隠蔽』と『騎乗』を外した。
『体術』によって他のスキルを取得できるかどうかを試すためだ。
今まで通りガッツさんと武器無し魔装とワープありの訓練とヒューズさんといろんな武器を使う訓練を始めた。
ガッツさんとの訓練はだいぶ良くなった。
『ワープ』が使えるだけで、ガッツさんと正面で戦わなくて済む。
前に一度ガッツさんを投げようとしてみたことがあったが、何か掴めそうだったので何回か挑戦している。
身体に魔力を循環させるのが成功すれば、ガッツさんを投げれるかもしれない。
ヒューズさんとの訓練は前に挑戦した短剣と投げナイフを主に練習していく。
そのほかに珍しい武器も試すことになった。
盾や棍棒と槌。
【戦場の毒花】と【鬼将軍の重鎧】に使い手がいるので、明日から来てもらうことにした。
ヒューズさんの考えにしたがって色々試すことにした。
▽ ▽ ▽
翌日。
【戦場の毒花】と【鬼将軍の重鎧】となぜかガルスタンとマデリンが来ていた。
昨日のうちに色々ヒューズさんが頼んでいたみたいだ。
まずはヒューズさんと金棒と盾を使うエルデオとの模擬戦だ。
ライムが居るから武器はいつも使っているものになった。
試合開始するとヒューズさんは斧でエルデオを襲う。
エルデオは盾で防ぐが、ヒューズさんの猛攻は止まらない。
奇跡的に盾で攻撃を弾くことができたが、ヒューズさんは弾かれた力を殺さずに斧を飛ばした。
斧はヒューズさんの後ろへ飛んで行く。
これはさすがにヒューズさんが劣勢と思ったが、ヒューズさんがエルデオを盾ごと蹴り飛ばして試合は終了した。
エルデオの巨体を蹴り飛ばしたのもそうだが、攻撃を弾かれた瞬間に抵抗せずに斧を飛ばした選択は凄かった。
その様子を見た【戦場の毒花】と【鬼将軍の重鎧】は次々ヒューズさんに模擬戦を頼んだ。
時間が足りないのでガッツさんも参戦し、レベルの高い模擬戦になった。
今回は完全に見て学ぶ会だ。
みんなの動きを吸収するために必死に見続けた。
▽ ▽ ▽
今日の模擬戦で凄かった試合は【戦場の毒花】の盾使いと魔法使いvsガッツさんかヴァイオレットvsヒューズさんだ。
ガッツさんは猛攻でほぼ防御無し。
魔法も殴って威力を消した。
【戦場の毒花】の盾使い達は頑張って攻撃を防いでいたが、少しずつ消耗していった。
ヴァイオレットは例の大槍を使用した。
物凄い攻防だったが、ヒューズさんは涼しい顔をしていた。
分身なんかに騙されないし、最終的には槍を弾き飛ばして殴って試合終了させた。
ヒューズさんが一番力を出したのはヴァイオレット戦だったように思えた。
ライムが回復した後、ヴァイオレットはすぐに再戦を希望してた。
負けたのがよほど悔しかったみたいだ。
訓練を終えて【鬼将軍の重鎧】に武器の扱い方を聞いていたら、嬉しい話を聞いた。
デスヘルで鬼将軍の弟子達がものすごい勢いでモンスターを討伐していると。
しかもパーティではなく少人数でやっているらしい。
弟子達の気合も凄いみたいで安心した。
ガルスタン達はなぜ見学に来ていたのだろう。
まあ模擬戦で傷ついた防具をすぐ修理してくれたからいてくれてよかった。
▽ ▽ ▽
ヤルクダンジョンに行くと俺のサイズにぴったりな棍棒2本と斧2本、小盾と槌2つが鎖でつながった物が置いてあった。
「え?何これ」
「ガルスタンが昨日のうちに用意してくれた」
ガルスタン達が見学していた理由が分かった。
「これと短剣と投げナイフをいろいろ使っていくぞ」
「わ、わかりました」
俺は入学まで間に合わないと分かりながらもすべての武器を使ってヒューズさんと戦った。




