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326.お土産献上会

俺はカラッカの街に来ていた。

メンバーはヒューズさんとガッツさんとゴーレだ。


ゴトフはジェイクに任せて、クラリ様はクララさんに丸投げ。

デスヘルにも冒険者が増えて、業務はほぼ無くなった。


「俺達も行くのか?」

「まあ俺が王都に行ってる間はヤルクの要ですから」

「あー。こういうのはガッツだけでいいだろ」

ヒューズさんはずっと文句を言ってる。


「そうですね。ガッツさんの方が貢献してるから、疾風の斧の家はいらないですね」

「本当に俺に任せろ」

さすがに家は没収されたくはないようだ。


話していると、カラッカ邸に到着した。

使用人は俺を見ると、すぐに客間に案内してくれた。


いつものように少し待っているとラドニークさんが来た。


「ライル!今日はどうした?ガッツとヒューズまで連れて」

「「お久し振りです」」

2人はラドニークさんに頭を下げた。


「学園の入学日を知りたいのと、俺が王都にいる間の問題解決係の紹介に来ました」

「おー近くなったから、正式な日程がわかるぞ。えーっと44日後だな」

「入学してから謁見でいいんですよね?」

「そうだな。入学式後で調整しよう」

「わかりました」

国王との謁見は本当に憂鬱だ。


「数日前には王都にいるようにします。それでご相談なんですが、王都の土地を買いたくて」

「いいぞ。手配するが、少し学園から離れるがいいか?」

「はい。馬車で通うようにします」

「私は少し早めにヤルクを出るから、王都に付いたら王都のカラッカ邸へ来てくれ。場所はセフィーナが知っている」

「わかりました」

ヤルクとデスヘルの領主代行をしているセフィーナさんを王都に呼ぶってことは、俺のスキルですぐ帰れるとわかっているのだろう。


「入学って俺しかできませんか?」

「ん?どういうことだ?」

「うちの弟子で18歳になってない子が居るので」

「そういうことか。入れることはできる」

「それはエルフでも獣人でも?」

「ああ。だが差別思想の人間はいるぞ?」

「大丈夫です。そんなことにうちの子は負けないので。それに過去の進級試験を見ましたが、あれくらいならヤルクの学び舎で教えてます」

「そうか。なら大丈夫そうだな。それで何人だ?」

「追加で14人です」

「多いな!まあわかった。手配しておこう」

「ありがとうございます」

事前に弟子達には確認を取っておいた。

17歳のゾーイとルーシーはゴーレが居ない間のライル商会の雑務をしたいと言っていたので、入学はしないことにした。


「あと卒業後の話ですが」

「どうした?」

「チバラス公爵の七男のゴトフ・チバラスを代表にして商売を始めようと思ってます」

「ほー」

「チバラス領を拠点にする可能性があるのですが、何か問題がありますか?」

「うーん。問題はない。だが念のためゴトフには前もって領主にその旨を伝えるように言ってくれ」

「わかりました」

「チバラス公爵は悪い人間ではないから問題はないと思うが、変に拗れないためにもライル商会はカラッカ家の後ろ盾があると前もって伝える必要がある。利益関係はチバラス公爵とうまくやればいい」

「ありがとうございます」

さすが後ろ盾って感じだ。


「そういえば、カラッカの街から冒険者がデスヘルに向かっているようだな」

「そうですね」

「この前話した後に、冒険者ギルドでいろいろやったようだが?」

「そうでしたっけ?そうだったとしてもギルドマスターの怠慢が原因じゃないですか?」

「お前はほんとに」

ラドニークさんは頭を抱えた。


「カラッカの街は好きですしお世話になっているので、何かあったらこの2人を頼ってください」

「ああ。そうしよう」

ヒューズさんとガッツさんは頭を下げた。


「あ!じゃあやります?」

「ん?何をだ?」

「お土産献上会」

「いや、いい!前のが全然残ってる!」

俺はラドニークさんを無視して、お土産を並べて行った。


「おい。やめろ!そんなにいらないぞ!ガッツ!ヒューズ!止めろ!」

「申し訳ありません。カラッカ辺境伯。こうなったこいつは止まらないです」

「絶妙に怒れない嫌がらせが得意なんです」

俺は3人を無視して、お土産を出し続けた。


▽ ▽ ▽


ヒューズさんとガッツさんは冒険者ギルドマスターを説教すると言うので別れた。


俺とゴーレはヤリネさんの奴隷商に来ていた。


「ライル様。どうなされました?」

「いやお土産を」

「え?」

「牛肉が好きなんでしたよね?」

「は、はい」

「生の魚とか食べれます?」

「寿司を食べたことがあります」

「おーじゃあ!」


俺はうちで作った料理をどんどん出していく。

ヤリネさんは焦った様子もなく、嬉しそうにマジックバックに入れて行った。


「これは牛肉に近いミノタウロスの肉です!それとショートケーキという甘い物も持ってきてます!」

「ショートケーキは食べたことありますよ。クリスマス?でしたっけ?」

ヤリネさんは本当に異世界に詳しい。


「他にもいろいろ置いていきますんで、従業員の人でも奴隷の人でもいいので分けて使ってください」

「お心使いありがとうございます」

ヤリネさんはラドニークさんと違って焦らないから、少し不満だった。


▽ ▽ ▽


ヤルクに戻ってくると、ちょうど冒険者の団体が街に到着したみたいだ。

カラッカか他の領から来たのだろう。


団体の中に見覚えのある獣人の女性が居た。


その獣人は俺と目が合うと、こちらにやってきた。

「ライルさんですよね?」

「えーっと。ごめん。会ったことあるのは覚えてるんだけど」

「ですよね。カラッカの冒険者ギルドで鬼将軍の弟子を担当していたタリアです」

「あー!」

マリーナさんの仕事を引き継いだ人だ。


「思い出しました!すみません忘れてて」

「いえいえ」

「タリアさんはなんでヤルクに?」

「マリーナさんからデスヘルの副ギルドマスターとして働いてくれないかと言われたので来ました。ちょうどデスヘルに向かう冒険者の方が居たので馬車に乗せてもらったんです。ヤルクで1泊して、明日デスヘルに向かう予定です」


デスヘルの副ギルドマスターってことは、色々教えてもいいか。


「タリアさん。馬車に乗せてもらう予定の冒険者にはヤルクで予定が出来たと伝えてください」

「え?え?」

「伝えたらすぐ冒険者ギルドに行きますよ」

「は、はい」

タリアさんは冒険者に話に行くとすぐに戻ってきた。


俺はタリアさんを冒険者ギルドに連れて行き、『秘密の通路』でデスヘルの冒険者ギルドへ移動した。


「え?ここは?」

「マリーナさーん!!」

動揺しているタリアさんを無視してマリーナさんを探した。


「何?ライルくんよね?」

「そうです!ヤルクでタリアさんと会ったので連れてきました」

「なるほど。すぐ行くわ」

少し待つとマリーナさんがやってきた。


動揺しているタリアさんを見て、声をかける。

「タリア。あとで色々説明するから、手伝ってもらえる?」

「は、はい」

タリアさんはわけもわからん状態で仕事の駆り出された。



俺は様子を見てマリーナさんに話しかけた。

「マリーナさん。職員は増やさないんですか?」

「うーん。考えてはいるけど、ライルくんが誰か連れてきてくれるし、『秘密の通路』があるからどうにでもなるわ」

「ならいいですけど」

「これからはデスヘルの副ギルドマスターをタリアにお願いして、ヤルクの副ギルドマスターをカリムさんにお願いするつもりよ。それで両方のギルドマスターを私がやれば問題ないわ。商人ギルドも同じようなシステムでやるってアイザックが言ってたわ」

「大丈夫なんですか?本部とかに何か言われないですか?」

「言われないわよ!ちゃんと報告はいれてるもの。本部は把握していれば経営方針に関しては文句言わないのよ。じゃないと私がいきなりヤルクの冒険者ギルドマスターになれないわよ」

意外と知らないシステムだった。


「不正や悪用が無ければ介入してこない。どちらかというと国側に許可さえもらえればいいの。ここの場合はカラッカ領ね」

「なるほど。そう言えば本部に行った話しましたっけ?」

「戦場の毒花がどこから来たかを聞いてるから、何となく察してるわよ」

「そうでした」

重要なことじゃなければ無理に聞いて来ないのは本当に助かる。


「職員が足りなかったら言ってくださいね!どうにかするんで」

「わかったわ。ありがとう」


俺はマリーナさんと別れ、ヤルクに戻った。




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