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321.スキルの取得

クラリ様はクララさんに預けた。

多分あの感じは昨日のことを説教されるのだろう。


疾風の斧はクラリ様が来ているのでヤルクにいる。

代わりに雷虎の拳がデスヘルに行っている。

本当にガッツさんには感謝だ。


俺はゴトフを連れて家の庭に来た。

ニーナやルーク、それに鋭牙も来ている。

テイムモンスター大集合だ。


ゴトフはその光景を見て目を輝かせていた。

「ライル!これは触れてもいいんですか?」

「うん。だけど人間と同じで痛がったり嫌がったりするから、テイムしている人に確認を取りながら触りな」

「わかった」

ゴトフはモンスター達に飛び込んでいった。


「うわぁ!ライル、このスライムに触ってもいいかい?」

「いいよ。ライムっていうんだ」

最初にライムに目が行くなんてセンスのある子だ。


俺はゴトフがモンスター達と戯れているのを見ながら、弟子達と話した。

「みんなってどうやって『テイム』を取得したっけ?」

「えーっといつの間にか?」

「そうだね。いつの間にかだね」

ニーナとルークはフリード達とよく遊んでいたからそれだろう。


「私達もいつの間にかです」

「「そうです」」

ジョシュ達は確か秘密基地に忍び込んでたマシュー達と遊んでた。


「ヒューズさんはライムとダンジョンに籠ってた。意図的に取得させたのはノヴァだけか」

出来ればゴトフに『テイム』を取得させてあげたい。


「ハーマンは確かエクストラスキルでトサカを懐かせてたらテイムが取得できたんだったっけ?」

「そうでしたね」

ゴーレが答えてくれた。


ゴトフが『テイム』に近いエクストラスキルを持っていれば早いんだが。

「ゴトフ!エクストラスキルって教えてもらえる?」

「え?『天空の調教師』だよ。空を飛ぶモンスターと仲良くなれるらしい」

「は?先に言えよ」

「え?」

まさかのテイム向きのエクストラスキルだった。


俺はノコとラーちゃんとライドンと優先的に戯れるようにさせた。


「エクストラスキルと『テイム』に関係性があるなんて知らなかったよ」

「なんで知らないんだよ!家とか学園で教えてもらえないのか?」

「うーん。聞いたことなかったよ」

「まじかよ」

俺はこの世界のスキル取得の知識の偏りが気になった。


努力だけでは取得できないのは何となくわかる。

センスや元々の素質みたいなものはある感じがする。

だけど『料理』とか日常的に使えるスキルの取得者が少なすぎる。

これは平民だからか?

いや、ゴトフもスキルの取得が少ない。

『剣術』しか取得していないし、『天空の調教師』もレベルが上がっていなかった。


俺は少し面白い事を思いついた。


「ゴトフ!」

「どうしたの?」

「ゴトフの家って厳しい?」

「厳しいってどういう面で?」

「ゴトフが勝手に色々するのを煙たがる?」

「うーん。そんなことないかな。跡継ぎも決まっているし、僕は家を出ても何も言われないと思う。あっ!別に仲が悪いわけじゃないよ。自由って意味ね」

「なるほど」

俺は学園入学までにゴトフを大改造してもいいんじゃないかと思い始めた。


「ゴトフ。変わりたくないか?」

「え?」

「俺に学園までの数十日を預けてみないか?」

「え?え?」

俺の怪しい発言にゴトフもさすがに怪しんでいるみたいだ。


「覚えられそうなスキルを全部試してみないって話」

「え?いいの?」

「ああ。俺もスキルがどうやったら取得できるか知りたいからさ」

「僕でいいならやるよ」

「よし。じゃあ計画を練るから、そのままみんなと戯れてて」

「う、うん」

俺は講師になりそうな人間を集めることにした。


▽ ▽ ▽


講師は集めた。

戦闘系のスキルはヒューズさんとガッツさん。

料理系のスキルはブライズさん。

鍛冶系のスキルはガルスタン。

薬学系のスキルはシスターミアナ。

大穴で『聖魔法』をシスターユーアから取得できないかと思っている。


王都まではだいたい20日かかるらしい。

フリードなら16日くらいにはなるだろう。

入学は春らしいのでこの実験ができるのはたぶん30~40日くらい。

どうにかゴトフにはこの期間でスキルの大量取得をしてもらおう。


『テイム』取得のために、ラーちゃんには基本的に一緒に居てもらうことにした。

朝と晩の食事はブライズさんに指導をしてもらいながら自分で作らせる。

あとは順番に習ってもらおう。



▽ ▽ ▽



ゴトフは学び舎の庭に来ていた。


「えーっとライル。今日は何するの?」

「今日は初日なので優しめだよ」

「うん。それで何をするのかな?」

ゴトフは不安そうだった。


「Aランク冒険者のガッツさんと体術の稽古です」

「え!」

「怪我しても、シスターユーアが回復してくれます」

「嘘だよね」

「本当!頑張ろう!」

ガッツさんとシスターユーアがやってきた。


「貴族の坊ちゃんを殴らなくちゃいけないのか?」

「殴るんじゃなくて稽古です」

「ライルにやるような稽古でいいのか?」

「最初は優しめで」

「わかった」

ガッツさんは少し申し訳なさそうにしていた。


「ゴトフ!頑張れ!」

「わ、わかったよ。うわあああああ!」

ゴトフは声をあげながらガッツさんに向かって行った。


▽ ▽ ▽


ゴトフの体術は本当にぼちぼちだった。


『剣術』を取得しているからか、身体の動かし方は悪くなかったように見えた。

ゴトフの目の奥が暗くなるのを感じたが俺はやめなかった。


シスターユーアも後半は目を逸らしながら回復をしていた。

初日だからしょうがないだろう。


「ライル。午後も何かするの?」

「午後はAランク冒険者のヒューズさんの斧術の稽古です」

「・・・」

ゴトフは何も答えなかった。


▽ ▽ ▽


ヒューズさんとの稽古も終わった。

ゴトフの身体は無傷だが、心が死んでいるようだった。


「じゃあ晩飯を作りに行こう!」

「う、うん」


ゴトフを従者の2人が心配そうに見ていた。

たぶんゴトフから稽古をすると聞いていたのだろう。

全く口出しをしてこなかった。


レストランライルに向かう途中、アヤノがやってきた。


「ライルさん!これ作ったんで食べてください!」

渡されたのはチョコだった。

口に入れて噛んでみると中にアーモンドが入っていた。


「お!うまい。ゴトフも食べて見な」

「う、うん」

ゴトフがアーモンドチョコを口に入れた。


「あ、甘い!」

ゴトフの目から生気を感じられた。


「頑張った後の甘いものは最高でしょ?」

「うん。明日も頑張れそうだよ」

「よかった!明日も同じ内容だから、へばったらどうしようって思ったよ」

「え!」

ゴトフの目から生気が無くなった。


俺はそれを見て見ぬふりをして、レストランライルへ向かった。




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